序章 〜本編的貢による自己紹介〜
僕は小鳥遊貢。
ここはオーストラリア北東ビチレブ島フィジーという国のナディ。
僕はここで育った。
でも生まれたのはここらへんではないそうだ。
ちなみにここは白人と黒人が同じくらい住んでいるけど僕みたいな黄色人種は僕以外では余りいない。
まあ当然といえば当然だけど。
ああ。
言うの忘れてたけど僕は17歳。
育ててくれたオバサンは2年前に亡くなって今はオバサンが遺してくれた一軒家で一人暮らし。
まあこれくらいで身の上話はいいでしょう。
さあこの辺で歴史を振り返ってみようかな。
今はC.A.(COSMOS AGEの略。
宙暦という今の年号だよ。
)0054。
なぜ年号が変わったかというとA.D.3641(西暦のこと)日本という国がM.C.S(MOON COSMOSSTATIONの略。
月の宇宙ステーションのこと)を作ったことから始まったんだ。
そしてその後西暦3070年に日本とアメリカ、イギリスが合同で超運算機構、MARIAという人工頭脳を開発し、それを脳に移植し、グラディエーターと呼ばれる強化人間を生み出したんだ。
今じゃ珍しくもないんだけど昔は道具みたいな扱いをされてたんだって。オバサン曰く
「人は自分が知らないものを認めようとしない愚かな生きもの。」
なんだって。まあ少し同感。
あ。ちなみに言うのまた忘れたけど僕もMARIAを持ってるんだ。普通は移植手術をするんだけど僕のは生れ付きなんだ。オバサン曰く
「あんたはやっぱり闇に生きる者。」
だって。なんでだろう?まあいいや。で、MARIAの機構とそれをサポートする機械を少し紹介するね。
まず、MARIAとはさっきも言ったけどコンピューターの数億倍の演算速度をもつ人工頭脳。
普通は前頭葉に移植されるんだ。
そして感覚や運動を司る色々な神経を操り、倍加や色々なものへの干渉ができるようになるんだ。
例えば、外界認証能力5倍と設定すれば色々な感覚器からの情報伝達速度及び思考速度が通常の(普通の人間の)5倍にのびる。
具体的に言うと1分が60×5=300秒に感じられるんだ。
でも体は普通にしか動かないから、通常は運動能力も5倍するんだ。
これで5倍に引きのばされた時間のなかでいつもの感覚で動けるんだ。もちろんやりすぎは危ないけど。
次に超合金、S.I(SPECIALITY IRONの略。
特別な鉄っていうこと。
)に超微細電子回路を刻み込み、それで容量を増やし演算がさらに大規模に干渉できるようになる、D.W(DANGER WEPONの略。直訳すると危険な武器)を紹介するね。これは主に大剣の形に作る。
そのほうが回路がたくさん刻めるからね。
それとMARIAをつなぐものは、手なんだ。
手にも体のあちらこちらから情報が行き来してるから、剣の柄に干渉すればもうつながるってわけ。
ちなみにこれで戦うグラディエーターのことを僕らは騎士って呼んでる。
騎士はその大容量の剣をふるい直接ダメージを与えるけどそれだと隙も大きいし、何より相手がグラディエーターだと不利なんだ(普通グラディエーターは遠隔攻撃が主流だから)。そこで編み出されたのが剣とMARIAで生まれる大容量で自分のまわりの空気を丸ごと干渉する“自我の発生”と呼ばれる技術なんだ。
まあそれを発動するにはかなり熟練した技術が必要だし、MARIAの他のプログラムをすべてシャットダウンしなきゃいけないんだ。
そんで他のグラディエーターについては出てくるたびにこんなふうに紹介するから。
おっと。あとひとつ(だと思うけど)言い忘れてた。昨日アメリカ西海岸でグラディエーターによる大規模戦闘があったらしいよ。
朝からニュースはそれで持ちきりだ。
さあて、仕事を始めますか。
「〜セイントプレースへようこそ〜」