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【プロットタイプ・執筆】持ってるだけで良い

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。

これは読者様の問題ではなく、私の問題。


詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。


注意事項2

恋心って持ってるだけで良いんだよ。

だって渡さなくても、叶わなくても、その時それで幸せなんだから。

「ねぇ、瑠衣たん。恋心って、持ってるだけで良いんだよ。別に渡さなくても良いの。叶わなくても良いの。だってその時が一番幸せだから」

そんな事を鏡花が言った。


――アンタにあげる――


自分の隣の席の子が、俺に話し掛けて来た。

「ねぇ、アンタ。放課後ヒマ?」

彼女はただそう言うと、僅かばかりに口角を上げた。


彼女との接点は隣の席という事を除いて特にない。ただこの間、学校を休んでいたので、ノートを見せたぐらいの付き合いである。

そんな彼女は屋上に繋がる踊り場の段差に腰掛けて、さっき声を掛けた時の様に口角を上げた。

「待ってたよ。アンタに聞きたい事があってさぁ、バレンタインのチョコ、何個貰った?」

この質問、人の心臓を抉ると分かっていて聞いているのだろうか? 元々、飄々として、掴みところの無い彼女とはいえ、流石に超えてはいけない一線ぐらいは知り得ていると思っていた。

つまるところ、誰からも貰っては居ないのである。

「え、もしかして言えないくらい貰ってた? なら恥ずかしがることないジャーン。胸張って十個とか、十五個とか……」

「ゼロ」

「は?」

「いや、だからゼロ個だって」

「あんさー、嘘つくならもっとマシな世界線でお願いするよ」

何故か彼女は顬に青筋を立てて、酷く苛立った様な顔でそう返した。普段の彼女からは想像も出来ない様なその顔に、思わず息を飲む。

けれども本当の事なので、これ以上正直にはなれなかった。

「……まぁ嘘でも信じてあげるよ。本当ならアンタじゃなくて、世界を殺すから」

そう言って、ゴソゴソと鞄の中を漁り、長方形の袋を取り出した。表紙には『ちまちょこ』と書いてある。所謂、正方形のチョコの中に、クッキーやらジャム等が入ったお菓子である。

なお、好物であるようで、暇さえあれば人の目を盗んで食べている。

「はいこれー。バレンタインにいっぱい貰ってるかと思ってさー、ちょっと遅れて便乗して渡そうと思ったんだよ。この間のノートのお礼。

大丈夫。市販のだから、爪とか、髪とか、血とか入ってないよ〜。

でも、誰からも貰ってないって事は、私が初めての女って訳だ」

話の脈が読めない。バレンタインは数ヶ月前に終わっているし、ノートのお礼として渡したのなら、礼は要らないと伝えた筈だ。

というか何だよ。手作りに対する殺意が凄くないか?

「良いよ、そんな。何時も沢山食べてるんだから、君の好物だろ」

すると虚をつかれた様な顔をした。拒否されるとは思っていなかった様で、言葉を失っている。

「君、やっぱ視野広いね。……其れはそれとして、手作りじゃないよ。こういうの、私から貰うのが嫌だったりする?」

「そう言う訳じゃないけど……」

「じゃあ、あげる」

そう言って胸元に強引に押し付けると、さも機嫌良さげに鼻歌を歌い始めた。女心は秋の空とよく言ったものである。

「分からないって顔してる。良いんだよ。それで。アンタが私の事どう思って様が、どうでも良いの。じゃあ、用は終わりだから、また明日ね」


――


「この女がしている事がよく分からない」

「瑠衣たん、これが『持ってるだけで良い』って事だよ」

では考察と行きましょう。

ヒロインは学校を休んで、彼にノートを借りました。

そして彼にお礼として、チョコを渡すという話。


何となく、ヒロインが彼の事を好きだと思わせる描写があります。

態々、友人ではなく彼にノートを借りる。

チョコを渡す時に『私が初めての女』。

渡して満足して鼻歌を歌う。

これが根拠。


では何故、『バレンタインチョコ、ゼロ個』と聞いて、ブチ切れたのか。『嘘つくな』と言ったのか。


彼女の言動から、『彼はモテてる』という考察が出来ます。

彼女の『バレンタインチョコを十個、十五個貰ってる』、『視野が広い』発言。

接点がないと称している彼女の好物も知った上で、『要らないよ』という気遣いが出来る。

視野が広くて気遣いが出来る人は、総じてモテます。

※持論です。

これが『嘘つくな』の理由。


ブチ切れたのは、嘘をつかれたと思ったから。

後はもし本当だったら、

『こんな良い男ほっとくとか、周りの見る目どうかしてんじゃねぇの?』

という八つ当たりもありそう。


でもきっとモテて欲しかった。自分が好きになった人が、周りからも認められて、チヤホヤされて欲しかった。ってのがありそう。

だから見捨てた世界を呪ってます。

『私の目が曇ってるってか? 周りさんよォ!!』


最初から叶わない恋で良かった。

彼が何でもない事で戸惑ったり、笑ったり、そうしているのを見ているだけで満足だった。

それを伝えても、伝えなくても、叶わなくても私は幸せだよ。

でも叶う恋になりそうだから、ちょっと御機嫌。

というのが、この話の根幹。

『え、周りが要らないって思ってるなら、告白さえ照れて出来ないなら、私が貰っても文句ないよね?』


凝った手作りチョコとか、じゃなくて比較的安価で重くなさそうなものなのも、相手に『伝わらなくて良い』っていう裏返し。


どす黒い嫉妬とか、是が非でも物にしたい。

なんてのも良いですけど、自分が隣に居なくても、ただ平凡に、幸せそうに過ごしているのを見ているだけで幸せ。なんて愛の話があっても良いと思うんですよ。


だから相手が自分を好きだろうが、嫌いだろうが、無感情だろうが、どうでも良い。

私が貴方を思って、その事で日々輝く事が何より大切。

だから明日も幸せでいてネ。


鏡花なんですけど。

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