5 賢者・拓海
それから俺と美奈子は一切関わりが無くなった。
あれから美奈子と美奈子の両親は大分揉めたらしい。
パパ活を止めたのかどうかもわからない。
美奈子の両親は何度も説得したらしいが、美奈子が吉岡と別れたという話は聞いていない。
未だに家に帰ってくるのは遅いし、なんなら帰ってこない日の方が多いそうだ。
学校での付き合いのある友達も変わってしまったらしい。
俺に相談をしてきた美奈子の友達も、もう関わってはいないという事だった。
俺の行動は全てが無駄だったのだろうか。
恐らく美奈子は未だに吉岡と付き合っていて、パパ活も止めていないだろう。
俺はどうするべきだった?
何が間違っていたんだ?
もうわからない。
そして、現在。
俺は大学生になっていた。
あれから3年。
勉強を頑張っていた甲斐もあり、一流と呼ばれる大学に入学することが出来た。
大学入学に伴い、俺は一人暮らしを始めた。
最初は大変だったが、料理にハマったり、バイトをしたり、大学にも真面目に通い、充実した日々を送っていた。
ただ、唯一、恋愛に関しては臆病になっていた。
未だに美奈子を忘れられない、とかではない。
だが、やはり積極的に動く気にはなれなかった。
「なあ、今度さ、短大の子たちと合コンするんだけど、拓海来れねえ?」
「ああ、そうなの?……どうしようかな……。」
「お前が来てくれると盛り上がりそうなんだけどなー?」
「盛り上がる?なんで?」
「え?本気で言ってるのか?お前イケメンだし、モテそうじゃん?女の子が喜びそうだからさ!」
「そ、そうかな?」
「ああ、そりゃそうだろ!彼女居ねえの不思議なくらいだし!」
「そ、そっか。じゃあ、考えとくよ!」
「おお、来週の土曜日の夜だから、早めに返事くれよ?」
「わかった、そうする。」
「よろしくな!」
合コンか……。
あんまり気が進まないけどな……。
バイトも終わり、家に帰って来た。
風呂入って寝るか。
何の気なしにパソコンに向かう。
一人暮らしになると、AVとか堂々と見れるからいいよな。
へえ、こんな子がAVに出てるのか……。
あ!!!あれ?
これって……?!!
美奈子じゃねえか?!!
髪は短くなってるけど……間違いない!!!
アイツ、とうとうAVに出るようになっちまったのか……。
まだ吉岡と付き合ってんのかな……。
なにやってんだよ。
ここまでアイツの為にするのかよ。
アイツのどこがそんなにいいんだ?
美奈子の両親は知ってるんだろうか?
連絡……する義理も無いか。
俺や家族の言葉なんて届かないだろう。
どうしてこんな事になっちまったんだろうな。
吉岡に出会うまでは、皆の憧れだったのに。
勉強もスポーツも得意で、優しい性格。
友達も多かったし、家族仲も良かった。
ホントに、どうして……。
あ~あ、こんなことまでしちゃって……。
いや、本当に……。
「……うっ。ふぅ……。」
彼女作ろ。
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