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2 変わってしまった美奈子



「は???」


「あの、だから、私彼氏が出来たの。」


「えっ?いつの間に?」


「先月の一週目の日曜日に友達の彼氏の友達を紹介されたの。」


「あっ、用があるって言ってた日か?」


「そう、それからスマホでやり取りしてて、何度か遊びに行ってたから。」


「え?ソイツの事好きなのか?」


「うん、そうだね。いいなって思って、告白されたから。」


そ、そんな……。


俺が何年も努力してダメだったのに、たった一月で?


「そ、そうか。相手はどんなヤツ?」


「えっとね、大学生で、バンド活動とかしてる人。」


え?そんなヤツが好みだったのか?


知らなかった……。


「そうなのか……。」


「うん、だからね?彼氏に悪いから、これからはちょっと拓海とは距離を置きたいの。」


失恋して、幼馴染としても疎遠になるのかよ……。


「わ、わかった。今まで一緒に居てくれてありがとな。」


「うん、拓海と居て楽しかったよ。拓海も彼女見つけなよ!」


「あ、ああ。ありがとう。」




こうして、俺の初恋は終わった。





しばらくして、友達経由で美奈子の話を聞いた。


美奈子は彼氏と主に夜に会っており、ライブハウスやバーに入り浸っているそうだ。


歓楽街でも二人を見かけたという話を結構聞いた。


振られたとはいえ、心配だった。


学校で見かけた美奈子は、綺麗な黒髪から茶髪へと変わっていた。


近所で私服姿も見かけたが、随分と派手になっていた。


彼氏に染まっていく美奈子を見ているのが辛かった。


早く美奈子を忘れたかったが、どうしても目で追ってしまう。


そんなある日、美奈子の友達から相談があると言って呼び出された。



「ごめんね?拓海君。あの、凄く言いづらいんだけど……。」


なんだろう、美奈子の事だとは思うけど……。


「あのね、美奈子、今あんまりいい話聞かないでしょ?」


「うん、何となくは聞いてる。」


「そう。私ずっと美奈子と仲良かったんだけど、今の彼氏と付き合い始めてからは、あんまり話とかしてないの。」


「え?そうなの?」


「うん、今の彼氏を紹介した子とは、私あんまり仲良くなくて…。」


「そうなんだ。」


「そう、それでね?ちょっと信じたくないんだけど、美奈子が援交?かパパ活?みたいな事してるって聞いたの。」


「はあ?!あの美奈子が?なんで?」


「それがね?彼氏に頼まれたっていう話なの。」


……ふっざけんな!!!!!


「私も美奈子と話そうとしてるんだけど、なんか避けられてて……。」


「……わかった。俺からも話をしてみるよ。」


「そう?拓海君だったら幼馴染だし、話を聞いてくれるんじゃないかって思ったの!」




なんで…。何でこんな事に?


嘘だろ?美奈子……。





居ても経っても居られず、その日の夜、美奈子に電話した。


「もしもし?拓海?何の用?」


「悪い、ちょっと話出来ないか?」


「何?何の話?」


「大事な話があるんだ!頼む!」


「……わかった。近所の公園でいい?」


「ありがとう!今から向かう!」




公園に着いて少しすると、美奈子がやって来た。


「話って?」


「あ、ああ。ちょっと俺も信じられないような噂を聞いたんだ。」


「噂?どんな?」


「美奈子がパパ活してるって噂。」


「へえ、それがどうしたの?」


「それがどうしたって……。ホントなのか?」


「ワケがあるのよ。拓海には関係ない。」


「そんな……。ワケってなんだよ?」


「だから言ってるでしょ?拓海には関係ない!」


「関係ないって……。心配なんだよ!美奈子の事が!」


「それが余計なお世話なの!私とカレの問題なの!」


「そうだとしても、どんな理由があっても、美奈子にはそんな事して欲しくない!」


「だから!余計なお世話だって言ってるでしょ!!」


「彼氏に言われてそんな事してるのか?」


「うるさい!ホントにウザい!関係ないって言ってるの!」


「そうなんだな?彼氏に言われて仕方なくそんな事してるんだろ?」


「……話ってそれだけ?だったら私帰る。もう話しかけないで!」


「美奈子!!悪いことは言わない!そんな男やめとけって!!」


「うるさい!!!」


「おい!待てって!美奈子!!」



美奈子は走って行ってしまった。


どうして……。


なんで美奈子がそんな事しなきゃいけないんだよ!


どうして付き合ってる彼女にパパ活なんてさせるんだよ!


こうなったら……彼氏に会って直接聞いてやる!!


こんな事やめさせてやる!!






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