老害
時の流れの速さに 白い息を吐きながら
恒例以外の言葉も出ない 年の瀬の挨拶回り
全てを疑い 牙を剥いていたあの頃
ヘドが出そうだった 古臭いしきたりも
経験してみると 悪くはないもんだ
ひとの目を まっすぐ見つめれば
悪党なんて そうそういないと分かるから
デカい夢を 追わなくなって
妥協と引き換えに そこそこの幸運がやってきて
だけどまだ 諦めるつもりはない
俺にもまだ やりたい事があるのさ
なあ それがお前の全力なのか
成功の型に 収まろうとする余り
姿も見えなくなるくらい
小さくまとまろうとしていないか
自分で選んだ道と言いながら
他人に委ねる毎日じゃないか
なあ それがお前の生き方なのか
しがらみ捨てて 無敵になりたかったのに
姿も見えない奴等からの
小さな悪意に怯えていないか
自分で作った檻の中でだけ
暴れる猛獣になっていないか
時の流れの速さに 白い息を吐きながら
説教以外の言葉も出ない 年の瀬の電車待ち
また 時間と心を無駄にした
俺のやりたい事は
こんな事じゃなかったんだ
明日も仕事に……
仕事に打ち込むしかない……