翡翠
あの日見た景色、彼の子の事を僕は何度も夢に見る。田舎町にやってきた。金髪で翡翠色の眼をした女の子と遊ぶ僕。夕暮れまで遊び別れた彼の子の事を。何か大事な約束をしたような・・・・。
「なぁ母さん、昔ガキの頃俺が遊んでた金髪の女の子の事覚えてるか?」
「あーアリアちゃんの事? 彼の子可愛かったもんねえ」
「何か約束したはずなんだけどなあ」
ガシャン
母が食器を落とした。母の顔を見ると真っ青になっていた。
「忘れなさい。良い? 絶対に思い出してはだめよ」
母がこんなに強い口調になるのを俺は初めて見た。
「何だよいったい・・・・」
その日またいつもと同じ夢を見た。俺は彼女の名前を読んでみた。
「アメリあの俺約束「思い出してくれたんだね? ありがとう、嬉しいよ」
「えっ?」
景色が見た事がない、物悲しく寂しい場所に変わる。
彼女が振り向き僕に言った。
「イタダキマス」
僕が最後に見た彼女の瞳は美しい翡翠色をしていた。