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「5日目:Another view」

 その日の夜、私は夢を見た。時折見てしまうその夢は、私にトラウマを思い出させようとしてくる。


 『おはよう。今日も早いね』


 彼は笑みを浮かべて、そんな挨拶を交わしてくれる。その記憶は私にとって大事な思い出であり、私の心を乱す思い出だ。


 『――僕はこの世界でも良いよ。例えこの先、僕が君の事を忘れても僕は君を思い出す。それがもし逆であっても、僕が君を振り向かせれば良いだけだ』

 「良いの?そんな事言って。私、こう見えてもガードが堅いから。君の事を拒絶するかもよ?」

 『それは大丈夫かな。だって君は……』


 夢は途切れ途切れに違う場面を見せてくる。脈絡もなく、前触れもなく、ただ私のトラウマを思い出させてくる。

 気持ちが昂ぶっているからこそ、その結末は私にとってはトラウマになってしまうのだ。


 『――僕が君を守るよ。これは何物にも変えられない僕の気持ちだ。でもごめん。約束を守れそうに無い』

 「ダメっ、行かないで!それ以上、その力を使わないで!君だけが、私の生き甲斐なの!だからっ……」

 『ダメだよ。君をこの世界に留めて置くのは僕が許さない。だって、君は僕よりも輝いてるんだから。そんな君に僕は憧れて、好きになったんだ。そんな君が、危険に晒されるなら……僕はこの〈赤い夜〉を破壊する』


 その言葉がどういう意味を示しているのか、私は理解しているし知っている。だからこそ、彼の行動を止めたかった。

 いくら誰かを助ける為とはいえ、彼の取った行動は悲しい結末しか生まないから。


 『一つだけお願いして良いかな』

 「一つだけじゃなくて、君の頼みなら何でも叶えるよっ。だから私も……んっ」


 彼は優しく私と唇を重ね、気恥ずかしそうに笑みを浮かべて言った。相変わらずの照れ屋な部分もあって、言った言葉を決して曲げない彼。

 憧れて好きになったと彼は言っていたけれど、私だって同じだ。同じなのだ。私も彼に惹かれ、憧れて、好きになった。


 『ずっと一緒に僕と……』

 「っ……待って!――っ」


 手を伸ばした状態で、視界を覆っていたのはいつも見ている天井だった。私は自分の腕で視界を覆い、胸から込み上げてくる感情を必死に抑える。

 だが、次第に耐えられなくなっている自分も居る。いや、正直に言えば限界だ。

 そんな事を思った瞬間、自然と言葉が漏れ出てしまうのであった。


 「辛いよっ……私は君と……また」


 やがて涙が出てきてしまい、もう自分でブレーキが出来なくなってしまう。

 そのせいで私は、思っても居ない言葉を出してしまうのであった。


 「……嘘つき。また好きって、言ってくれるって言ったのにっ……嘘つきっ」


 その苦しさを感じながら、私は夜の街に出向いた。自分の中にあるトラウマを抱えながら、私は抑えられなくなってしまった感情を、気持ちを、満たすためだけに……。


 「すぅ……すぅ……」

 「お、お邪魔しまーす。寝てる、よね?」


 そして私は、寝息を立てている彼にくっ付いて、小さい声で呟くのだった。


 「おやすみ。私の大事な人……」

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