禁話 警告
警告
この話を読んではいけません。
禁幕は世界観が崩れる危険性があります。
禁幕は本編とは関係ありません。
不快に思う方は是非読み飛ばして下さい。
頭上で爆音が鳴り響く。
柊木が城に仕掛けた爆薬は、かなり計算されて設置されていたのだろう。
時間差で爆発し、連鎖反応で城が崩壊していく。
研究室のモニターから、泉と柊木の戦いを眺めていた。
スキルの数だけなら互角かもしれないが、潜ってきた死戦
が違う。
柊木がとった最後の手段は正解だ。
しかし、それでも恐らく、泉が止まることはないだろう。
カメラが上空からのドローンカメラに切り替わる。
城の瓦礫から、最初に出てきたのは、やはり泉だった。
『……シャルロッテっ!』
すでに泉は、柊木ではなく、シャルロッテを捜している。
血塗れで、ボロボロで、今にも崩れてしまいそうなのに、復讐の炎は揺るぎなく燃えていた。
地下室に彼女がいることがわかっているのか。
瓦礫を掻き分け、その入り口を捜している。
「ゾクゾクするわね」
俺の背後でモニターを眺めていたシャルロッテが、そう言った。
柊木の幼馴染み、楓の黒い髪は、すでに金色に変色していた。
「柊木が勝ったらその身体は返すのだろう。変形させて大丈夫なのか?」
「大丈夫。勝てないから」
モニターの泉を嬉しそうに眺めながら、シャルロッテは笑う。
「彼は私にしか倒せない。そして、私も彼にしか倒せない」
「はっ、まるでロミオとジュリエットだな」
物語はクライマックスに向けて加速している。
いつまでも、ランキング上位に居続けることなどできない。
観測者達は常に新しいものに目を向け、古いものを切り捨てていく。
もう、シャルロッテはすべてを終わらせるつもりだ。
そして、最後の相手として、泉を選んだのだろう。
だったらもうこれ以上、観測者達を喜ばせなくてらいいんじゃないか?
瓦礫の中で足掻く泉を愛おしそうに眺めるシャルロッテに話しかける。
「なあ、気づいているのか?」
「なあに? ピーーくん」
俺の名前にピーー音が入る。
「あいつら、この場面も見ているぞ」
その言葉に、シャルロッテの首がギュルンっ、と真後ろに反転する。
まるでホラー映画のような、人間には不可能な動きだった。
「警告」
感情のない声がシャルロッテの口から聞こえてくる。
「このシーンを観てははいけません。禁幕は世界観が崩れる危険性があります。禁幕は本編とは関係ありません。不快に思う方は是非飛ばして下さい」
棒読みでそこまで言った後、シャルロッテが俺の頭を掴む。
物凄い力でねじられて、コルクを抜くように頭が首から引きちぎられた。
シャルロッテが天井に向かって、俺の頭を投げつける。
仕掛けてあったカメラにぶつかった瞬間に……
プツンと、すべてが暗転した。




