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クラスメイトを全員殺された俺はその魂を武器にして復讐する  作者: アキライズン
第七幕

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76話 如月 八千代 その2

 

 地中から現れた巨大な芋虫の身体、サンドワームが砂漠から地上に出て、その全長を現した。

 学校にある25メートルプールと同じくらいか。

 ブヨブヨとした、醜い身体がプルプルと震えている。


「いくぞ、集中攻撃だ」


 根岸ねぎしが、腕をまくり上げ、両腕の肌をさらけ出す。

 そこには、痛々しいほど、無数の爪痕が刻まれている。

 そして、根岸はそこにさらに爪をたて、思いっきり引っ掻いた。


 スキル『朱榴弾しゅりゅうだん


 根岸は血液を赤い爆弾に変えて、攻撃する。

 その威力は流した血の量により威力を増す。

 根岸は、惜しむことなく、大量の血を流しながら、サンドワームに向かって自分の血を吹きかける。


 ぼんっ、ぼんっ、ぼんっ、と爆音と共に砂煙が舞う。


瀬能せのうっ、中野なかのっ!」


 後方にいる二人に声をかける。

 根岸のスキルは、気を付けないと味方にまで被害が及ぶ。


「大丈夫ですよ、ヒメは僕が守ります」


 こんなときでも中野は相変わらず、カッコつけのようだ。

 スキルで巨大な盾を出して、瀬能を守っている。


「ええ、中野くん、よろしくてよ」


 そして、瀬能は瀬能で、こんな所でもお嬢様だ。

 守られて当然だ、と言わんばかりにふんぞりかえっている。


 しかし、パニックになるより全然ましだ。

 橋下はしもとがやられたばかりだというのに、冷静な者が揃う第三部隊は、まったく体制が乱れない。


氷の刃(アイスブレード)


 根岸の爆弾で仕留めれなかった場合に備えて、鋭く尖った氷注を用意して、空中に浮かべる。

 爆風で舞った砂埃がひいていき、再びサンドワームが姿を見せた。


「ちっ、きいてないのかっ」


 根岸が舌打ちするのも無理はない。

 サンドワームは、緑色の血を少し流しているだけで、大したダメージを受けているように見えなかった。


「ショットっ」


 用意していた氷柱をサンドワームの胴体にぶつけるが、逆に氷注が砕け散る。


「硬い、皮膚を突き破るのは厄介ね」

「動きを止めてくれ、八千代やちよ隊長。一つ、弱点がある」


 ゲーム脳というやつなのか。

 根岸は、魔物の特性や弱点を、これまでのゲームの知識を活かして瞬時に見抜いてくる。


「なにをするつもり?」


 ぼそっ、と根岸が作戦を告げる。

 それは、さすがに私でも躊躇してしまうような内容だった。


「……本気で、そんなことを? まだ橋下はっ」

「死んでるよ。ピクリとも動かないだろ」


 サンドワームの口元から垂れ下がる橋下の足は確かにまったく動いていない。

 しかし、足しか見えないということは、気絶しているだけかもしれないのだ。


「大丈夫だ。責任は全部、俺が背負う」


 そう言った根岸が真っ直ぐにサンドワームに向かっていく。


「ウモォオオオオオォッ」


 この世のものとは思えない雄叫びを挙げ、根岸も飲み込もうとするサンドワームの周りに氷を作り出す。

 止められるのはおそらく一瞬だ。

 しかし、その一瞬で根岸は、手の甲を噛みちぎり、サンドワームの口の中に自らの血を吹きかけた。


「さすがに口の中は柔らかいだろ?」


 ぷくっ、とサンドワームの身体がふくれあがり、ぱんっ、という音と共に爆発する。


 飛び散るサンドワームの肉片の中に、橋下の身体が混ざっていた。














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