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クラスメイトを全員殺された俺はその魂を武器にして復讐する  作者: アキライズン
第七幕

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72話 本元 博 その2

 

「これが第二部隊及び第八部隊とゴーレムの戦闘記録です」


 テントの中で、小日向こひなた君にスキルで撮影した映像を見せる。

 テントの生地をスクリーンにして、転写させた。


 記憶レコードのスキルは、ビデオカメラをドローンのように飛ばして、撮影することができる。

 今回は戦場となる砂漠の上空からカメラで撮影した。

 第二部隊とゴーレムの戦闘を参考にするための記憶だった。


 椅子に座ってそれを見る小日向くん。


「これでゴーレムは全滅したと思うか? 本元ほんもと二等兵」

「は、はい、いえ、サー、イエッサー、完全に制圧したと思われますっ」

「……そうか、予想外だったな」


 小日向君は、第四部隊の時のように、第二部隊が負けることを望んでいたのだろうか。

 疑問には思うが口には出さない。


(やはり、小日向君には、あのことは黙っていたほうがよさそうだ)


 ゴーレムとの戦闘の後、宇佐さんが砂漠でビデオカメラを拾う所を記録していた。

 どう見ても自分と同じ、スキルで作られたビデオカメラだ。


 自分と同じスキルを誰かが使っている? 

 クラスメイトにはそんなスキルを持つ者はいない。

 だとすれば、可能性があるのは、あの女、シャルロッテしかいない。

 シャルロッテと繋がりがあると、あらぬ疑いをかけられ、邪魔者として排除されるかもしれない。 

 記憶した情報を編集し、ビデオカメラの所をカットした。


「このまま第二部隊、混合第八部隊とは合流せず、先陣をきってもらおうか」

「そ、それは……」


 あまりにも、と言おうとした時だった。


「失礼しますっ、小日向軍曹っ!」


 天幕に安藤あんどう君が入ってくる。

 緊急事態なのか?

 声が上擦り、息が上がっていた。


「どうした、安藤三等兵。なにがあった」

「サー、イエッサー。多数の反応が近づいていますっ! その数、現在200以上っ!」


 なんだ、その数は!?

 教会で遭遇したゴブリンの倍以上だ。


「教会方面から真っ直ぐこちらに向かっていますっ! ち、近づくにつれ、その数が増えていってますっ!!」


 どういうことだ?

 魔物の種類は一種類じゃないのか?

 一体、何が起こっているのか。


「ビ、ビデオカメラを飛ばして、何が来ているか確認しましょうか?」

「いや、必要ない」


 小日向君は即答する。


「すぐに出発の準備だ。そいつらが来る前に我々は城を目指す」

「だ、第二部隊や第八部隊と合流するのですね」

「いや、我々は別の経路で砂漠に入る。彼らには足止めをしてもらおう。安藤三等兵、みなに伝達せよ」

「そ、それはっ」

「サー、イエッサー」


 僕の声に被さるように、安藤君が敬礼してテントから出て行く。


「必要な犠牲だよ、本元二等兵。彼らはもう記憶しなくていい。城までの道を撮影してくれ」


 逆らうことなどできなかった。

 もはや、僕はクラス委員長でもなんでもない。


「……サー、イエッサー」


 そして、僕が彼らを撮影することは二度となかった。





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