7話 部隊
「はいはーーい。皆さん、ゴブリン討伐ご苦労様でーーす。これでチュートリアルが終了といったところです」
パンパンと手を叩いてシャルロッテが壁の中からみんなの前に出る。
疲れ切っているクラスメイト達は、皆、無言でシャルロッテの話を聞いている。
「えーー、拠点である教会は守られましたが、ここで戦うだけだと永遠に戦いは終わりません。魔物達は物凄い繁殖力を持っているので、増え続けていきます」
シャルロッテはにっこりと笑う。
「ここから北に三百キロ先、砂漠に覆われた城があります。そこにいる魔王を倒せばすべてが解決して、救世主のみなさまを地球に帰すことが出来ます。さあ、頑張って、向かって下さい」
静まり返る教会。
疲弊が激しく、誰も文句の一つも言わない。
だが、その中で一人立ち上がるものがいた。
「これより、各5名ずつの班分けを行う! 名前を呼ばれたものは前に出ろっ」
「サー、イエッサー!」
小日向くんだ。
完全にバテていたクラスメイト、そして俺も立ち上がって、敬礼する。
「第一部隊。
隊長 小日向 司軍曹。
副隊長 大山 大吾一等兵。
隊員 安藤 優一三等兵。
隊員 真壁 真司二等兵。
隊員 音峰 渚三等兵」
第一部隊で呼ばれた四人が小日向くんの前に出る。
攻撃、補助、防御、回復のスキルを持っている四人。
どうやらバランスよく五人ずつに班を編成するようだ。
「第二部隊。
隊長 如月 焔一等兵。
副隊長 矢沢 栄光二等兵。
隊員 宗近 藍三等兵。
隊員 本元 博二等兵。
隊員 早瀬 加奈子三等兵」
新たな五人が前に出る。
一等兵、二等兵、三等兵というのは小日向くんが能力の強さで階級を決めているようだ。
部隊に力の差が出ないように一部隊に一人、一等兵を入れている。
「第三部隊。
隊長 如月 八千代一等兵。
副隊長 瀬能 梓二等兵。
隊員 中野 純平三等兵。
隊員 根岸 歩二等兵。
隊員 橋下 要三等兵」
「第四部隊
隊長 鰐淵 剛一等兵。
副隊長 鈴木 恭弥二等兵。
隊員 加藤 孝太郎二等兵。
隊員 佐藤 次郎二等兵。
隊員 久米 浩信三等兵」
「第五部隊
隊長 東堂 兵助一等兵。
副隊長 古橋 雅彦二等兵。
隊員 近藤 沙也加二等兵。
隊員 嶺岸 富士子三等兵。
隊員 渡瀬 望三等兵」
「第六部隊
隊長 緑川 進一等兵。
副隊長 蘇我 郁子二等兵。
隊員 手嶋 遥三等兵。
隊員 九条 詩織二等兵。
隊員 山口 真由美三等兵」
「第七部隊。
隊長 暁 弥生一等兵。
副隊長 野田 文香二等兵。
隊員 宇佐 伊都子三等兵。
隊員 佐々木 翔子二等兵。
隊員 時任 未来三等兵」
第七部隊まで編成され、残りは五人となる。
自分の名前はまだ呼ばれていなかった。
「第八部隊。
隊長 田中 三郎四等兵。
副隊長 名波 静四等兵。
隊員 森山 太四等兵。
隊員 河合 千佳四等兵。
隊員 泉 涼五等兵」
最後に自分の名前が呼ばれる。
だが、その部隊は明らかにバランスがおかしかった。
一人も一等兵が居ないどころか、他の部隊にいない四等兵と五等兵だけで構成されている。
小日向くんに聞かなくてもわかった。
お荷物部隊。
それが、俺が配属された第八部隊だった。