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クラスメイトを全員殺された俺はその魂を武器にして復讐する  作者: アキライズン
第六幕

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73/121

63話 野田 文香 その3

リメイク版です。

ここから展開が変わります。

リメイク前の過去未来入れ替わり展開はなくなります。

 

 もう駄目だと思っていた。

 入れ替わりのスキルも使いすぎて、しばらく使えない。

 ほむらさんも、矢沢やざわくんも、力尽きる寸前だった。

 だが、そこにクラスの暴れん坊、鰐淵わにぶちくんが現れる。


「オラァァアアアアッ!!」


 ゴーレムの群れのど真ん中で暴れる鰐淵くん。

 その戦闘力は凄まじく、ゴーレムたちが紙細工のように、次々と破壊されていく。


「あ、危ないっ!」


 背後からゴーレムが鰐淵くんを殴ろうとする。

 まだスキルは使えなかった。

 必死に彼に向かって叫ぶが、その声は届かない。


 ガンっ、という鈍い音が響く。しかし……


「ふんっ」


 まるで気にもとめず、ゴーレムに裏拳をかます。

 その顔面が一瞬で吹っ飛んだ。


「すげー、鰐淵無双だな、これ」


 いつのまにか第七部隊を抜けた宇佐うささんが背後に立っていた。


「宇佐さんっ!」

「おひさ。元気だった?」


 宇佐さんから預かっていた機械の蛍。

 胸ポケットに入っていたそれが宇佐さんのところへ飛んでいく。


「渡しといて良かったよ。すぐ場所がわかったからね」

「う、宇佐さん」

「よしよし、怖かったね。もうだいじょうブイ」


 私を抱きしめ頭を撫でてくれる。


「とっきー、さっさん達は?」


 少し離れたところに時任ときとうさんが立っていた。

 空を見上げてじっ、としているが、その顔は少し険しい。


「おかしい。まだ来ない。先に着いてるはずなのに……」

「道に迷ったのかな? あっ、嘘っ! あれっ!」

「なんで、低空飛行っ!?」


 宇佐さんが指さす先に、佐々木さんが見えた。

 地面スレスレを飛んでこっちに向かってきている。

 彼女は誰かを抱えていた。

 いずみくんだ。

 なんだか暴れているようにも見える。


「さっさんっ!!」


 バランスを崩した佐々木さんが、砂漠の砂に突っ込む。

 泉くんと絡まりながら、砂漠を転がっていく。


 先に立ち上がったのは泉くんのほうだった。

 なんだか、様子がおかしい。

 目の焦点があっていない。

 ブツブツと何か呟いている。

 この症状を見たことがある。


 第七部隊の隊長だったあかつきさんと彼の姿がかぶる。


「うっさーっ、とっきーっ! 泉くんを止めてっ!!」


 佐々木さんが大きな声で叫ぶ。

 打ち所が悪かったのかまだ起き上がれない。


「泉くんっ!」


 何が起こっているのかわからないまま、私も泉くんに向かって叫んだ。

 完全に泉くんは正気じゃない。

 虚な目のまま、ゴーレムに向かって近寄っていく

 その手にはナイフが握られていた。

 まさか、スキルではなく、そんなものでゴーレムと戦うつもりなのだろうか。

 それはもうただの自殺行為だ。


「うぁ、うあああぁああぁっ!!」


 泉くんが狂ったように叫ぶ。

 その声にはあらゆる悲しみが含まれていた。

 嫌な予感がした。

 まさか、第八部隊の誰かが……


 泉くんは無謀にも一体のゴーレムにナイフを振り下ろす。

 それは簡単に弾かれて、泉くんが尻餅をつく。

 そこにゴーレムの拳が振りおろされようとしていた。


「駄目ぇっ!!」


 ギリギリで冷却期間クールタイムが終わった入れ替わりのスキルを発動させる。


 私とゴーレムの位置が入れ替わり、泉くんを見下ろす形でその正面に立つ。


「う、あ、ぁぁあぁっ」


 それに気づかないほど、泉くんは正気でなかった。

 ナイフを落としたようで、両手で砂漠の砂を何度も掻き分けて探っている。


「……なにがあったの? 泉くん」


 私の声にも気づかない。


「なにがあったのっ!!」


 もう一度、大声で叫ぶ。

 嫌な予感が止まらない。

 第八部隊に何かが起こったことは間違いなかった。

 あそこには私の親友がいる。

 そして、ここにはその姿を見せていない。


「……ななみん、名波ななみは無事だよね?」


 私の言葉にようやく反応し、泉くんが驚いたようにこちらを見る。


 その顔を見た時、私は親友が死んだことを確信した。






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