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クラスメイトを全員殺された俺はその魂を武器にして復讐する  作者: アキライズン
第五幕

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54話 如月 焔

 

「ふせろっ! 矢沢やざわっ!」


 砂漠の砂に足を取られながら大きく振りかぶる。

 野球部のグラウンドとは比べ物にならない最悪な足場。

 だが、外すわけにいかない。

 ストライクを取らなければ仲間が死ぬ。

 右手に作った炎の玉を思い切り投げつける。

 火の玉は伏せた矢沢の頭上スレスレを通過して、魔物の顔面にぶち当たる。


 ばんっ、と魔物の顔面が粉砕された。

 砂で出来た魔物。

 それをゴーレムと矢沢が呼んでいた。


「悪いっ、助かったっ!」


 遠距離からの攻撃を得意とする私と矢沢は、魔物に近距離まで近づかれたら、圧倒的に不利になる。

 だが、このゴーレムという魔物は、多少の攻撃では怯まない。

 近距離戦闘者のいない私達の部隊にとって、かなり相性の悪い相手だった。


「ヤバイわ、こいつら目がないから魅了チャームのスキルつかえないわ」


 さらに宗近むねちかのスキルも使えない。


「ねえ、あたし、役に立たないから帰っていい?」


 最初からそれが分かっていれば、宗近を連れてはこなかった。

 早瀬はやせ野田のだのスキルもここではおとりぐらいにしか使えない。


「矢沢っ、もう少しだっ、持ち堪えろっ!」

「ちっ、今9回裏くらいか、如月きさらぎ ほむら


 まだまだ山のようにいるゴーレム達。

 せいぜい1回裏が終わったところだろう。

 それでもやらなければならない。

 誰かが、誰かの部隊がやらなければならない事だ。


 ただ、小日向こひなたの思い通りということが気に食わなかった。

 生き延びて、一言、いや一発ぐらいは殴ってやりたい。



「渓谷を抜けた所に砂漠が広がっている。その入口に多数の魔物反応があった。君達、第二部隊に先陣をきってもらいたい」


 小日向の司令室に呼ばれ、そう言われた。

 将軍ジェネラルスキルを使っていない。

 私はサーイエッサーとは答えなかった。


「何故、スキルで命令しない?」

「使わなくても君が承諾すると思ったからだ。如月 焔一等兵」

「ふざけるな、第四部隊のように捨て石にするつもりだろう。受けると思うのか?」

「そうか、なら仕方ない」


 小日向が右手をあげると、隣で立っていた安藤あんどうが敬礼する。


「第三部隊隊長 如月きらさぎ 八千代やちよ一等兵を呼んでくれ。彼女たちに頼むことにする」

「貴様っ!」

「そういえば、あの部隊には矢沢二等兵が好意を抱いている 瀬能せのう二等兵もいたな。矢沢二等兵にも意見を聞いてみたらどうだ?」


 聞くまでもない。矢沢は間違いなく、自分が先陣を切るというだろう。

 それは、私も同じ事だった。


「ロクな死に方しないぞ、小日向」

「もちろんだ。すでに覚悟はできている」



 妹の為、好きな人の為、私達は戦っている。

 負けるわけにはいかない。

 コールド負け寸前のゲームでも諦めるわけにはいかなかった。


「いくぞ、矢沢っ、完封してやれっ!」

「おらぁあああっ!!」


 大量の火の玉と光の矢がゴーレム達に降り注ぐ。


 それでも、ゴーレムの群れはまったく止まらなかった。



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