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クラスメイトを全員殺された俺はその魂を武器にして復讐する  作者: アキライズン
終幕 その6

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49話 対決

 

「ああ、なんだ、そこにいたのか」


 目の前に現れたシャルロッテを見て最初に抱いた感情に自分でも驚く。

 怒りで我を忘れると思っていた。

 だが、すでにそんなものは超越している。

 殺したくて殺したくて堪らない。

 だけどそれはまだまだずっと先だ。

 すべてを奪う。

 俺からすべてを奪ったように、すべてを奪ってから殺す。

 その感情はまるで……


「久しぶりね」


 シャルロッテが笑う。

 その笑顔はこれまでで最高の笑顔だ。


「とてもとても会いたかったわ」

「俺も会いたかった」


 初恋に似た感情。そうか、憎悪と愛情は表裏一体なのか。


 右腕と共に飛んでいったボウガン『矢沢やざわ』を見る。

 腕などどうでもいいが、彼を拾わなければならない。

 刀を持ったシャルロッテを牽制しながら、『矢沢』を取ろうとする。


「全員っ、一斉っ、射撃っ!」


『矢沢』を拾いあげようと屈んだ時にシャルロッテが叫んだ。

 これまで逃げ惑うだけだった救世主たちが、俺に向かってスキルを放つ。


 石つぶて。雷。弾丸。針の山。

 様々な遠距離スキルが向かってくる。


 黒鎧『鰐淵わにぶち』を発動し全身を硬質化する。

 それでも連続して攻撃を受け、ダメージが蓄積していく。


 拡声器『小日向こひなた』の将軍ジェネラルスキルで叫ぶ。


「止まれっ!」

「止まるなっ!」


 シャルロッテの声が重なる。

 攻撃は止むことはなかった。


「小日向をレンタルしたのか」

「ええ、このスキルは敵に使うより、味方に使うほうが効果的よ」


 知っている。将軍ジェネラルスキルはもともとそういうスキルだ。


「でも残念ね。もうあなたに味方はいない」


 それも知っている。

 お前のせいでみんな死んだ。



 魔王を倒したクラスメイトたちは、地球に帰れると信じていた。

 城の地下、研究室にある返還装置の前まで、シャルロッテに案内される。

 最初に異変に気がついたのは大吾だいごだった。


「気をつけて、りょうちん」


 小声で大吾が言う。


「この場所、スキルが使えない」


 シャルロッテが変換装置の前で、生き残ったクラスメイトたちにお辞儀をする。


「みなさん、ご苦労様でした」


 その言葉と共に銃を持った大勢の兵士達が研究室に現れた。


 何人もの犠牲を出して、ようやくたどり着いた目的の地。

 だが、そこで待っていたのは最後の絶望だった。



「シャルロッテ」


 名前を呼ぶ。

 救世主たちの攻撃は激しさを増していく。


「シャルロッテ、シャルロッテ、シャルロッテ」


 何度も何度も彼女の名前を呼ぶ。

 いつのまにか、左足もシャルロッテに切断されていた。


 殺したい。いや、まだだ。いやだ、殺す。まだだ。この女を殺したら終わる。終わらせよう。終わりたくない。殺す。まだだ。殺す。殺す。まだ。殺。殺。まだ。殺……


 あの時と同じだ。

 究極の二択を迫られたあの時、無駄とわかっていても、俺はシャルロッテに懇願した。

 仲間を助けて欲しいと。

 何度も何度も名前を呼んだ。


「無駄よ。その名前も、なにもかも、全部嘘だもの」


 あの時と同じ言葉に俺の中の何かがプツリと切れる。


 大砲『名波ななみ』を取り出し、シャルロッテに向ける。


「あら、私は最後じゃないのかしら?」


 その声は聞こえていたが、俺には届かなかった。

 

 轟音が鳴り響き、シャルロッテの頭が吹っ飛んだ。



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