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クラスメイトを全員殺された俺はその魂を武器にして復讐する  作者: アキライズン
第三幕

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38話 救出

 

「どうしていずみくんが助けに行くのっ!」


 佐々ささきさん達と第四部隊を助けに行くことを洞窟でみんなに話したら、名波ななみさんに怒鳴られた。


「昨日、無茶したばかりじゃないっ! また同じことする気なのっ!!」


 普段大人しい子が本気で怒るとかなり怖い。

 本気で俺を心配してくれているのだろう。


「違うんだ。一人で行くわけじゃないし、俺は補助しかしない。もしもの時に男手が必要なんだ」

「それなら、田中くんでいいじゃないっ」

「いや、田中くんやみんなには他にしてほしいことがあるんだ。そっちのほうがリスクが高いかもしれない」


 そう言うとようやく名波さんは少し落ち着いてくれた。


「なんだ? 面倒なことはしたくないぞ」


 田中くんがやる気なさそうに頭をかいている。

 しかし、彼の協力なしではこの作戦は成功しない。


「昨日、逃げた二匹のリザードマンをなるべく無傷で捕まえて欲しい。怪我をした第四部隊の人を連れてきたら河合かわいさんの傷変換(ペインチェンジ)で治すために」

「えぇええっ! またあれ使うのっ! 嫌だよ、超怖いんだからっ!!」

「リザードマンを探すのが面倒だ」


 予想通り、二人は文句を言ってくる。


「大丈夫、位置はワタシの虫が把握してるから、罠とか作って、上手いことやっちゃおう。ほら、名波さんも手伝って」


 宇佐うささんが強引にみんなを押して、洞窟の外に追い出していく。


「ちょっと、押さないでよ、宇佐さんっ。泉くんっ、無茶したら駄目だからねっ!」


 四人がその場を離れ、洞窟には時任ときとうさんと佐々木さん、そして、シャルロッテが残る。

 シャルロッテは俺の方を見ながら微笑むだけで、一言も話さない。


「たぶん全員は助けられない。残酷な二者択一を迫られるかもしれない。覚悟はしておいて」


 時任さんの言葉にうなづいた。

 彼女の予知スキルには変えれる未来と変えられない未来があるという。

 全員無事に助かるという未来は存在しないらしい。


「死なないでね」


 最後にシャルロッテが口を開いた。


「あなたが死んでしまうとつまらなくなるわ」

「死なないよ。もう無茶はしない」


 しばらくシャルロッテと見つめ合う。


「ちょんわっ」


 洞窟に戻ってきた宇佐さんが変なかけ声と共に俺とシャルロッテの間に入る。


「はい、二人、見つめ合うの禁止。今度キスしたら怒るからね」


 宇佐さんに背中を押され、俺も洞窟の外に追い出される。


「また、後でね」


 シャルロッテが俺に向かって手を振っていた。




「もうすぐ着くよ。警戒しといて」


 佐々木さんに後ろから抱えられて、飛んでいる。

 重力を操るスキルにより、俺の体重はゼロに限りなく近いらしい。

 なるべくスキルの負担を避けるため、俺と佐々木さんの二人だけで第四部隊への救出に向かうことになった。


「あれはっ!」


 かなりのスピードで草原を抜け、切り立った崖に辿り着く。


「いい、あくまでも救出が目的よ。無茶はしないで」

「うん、わかってる、佐々木さん」


 うなづいて、前方の崖を凝視した。

 その上空に、鳥のような何かがたくさん飛んでいる。

 ざわっ、と全身の毛が逆立つ。

 それは鳥と人間が混ざったような、不気味な魔物だった。


「泉くんっ、あれっ!」

「う、おっ」


 思わず息を飲む。

 異臭が鼻をついた。第四部隊のみんなが鳥の化け物に食われている。

 動いているのは一人だけだった。

 鰐淵わにぶちくんだ。

 身体中から血を流し、ボロボロになりながら、戦っている。


「こっちだっ、逃げるぞっ、みんな来い!」


 そこに一人、鳥の化け物の群れに飛び込む男がいた。

 久米くめくんだ。

 飛び込むと同時に、その身体が十人以上に分裂する。

 分身のスキルかっ。


「助けるよっ。泉くんっ!」

「ああっ!」


 全員助けることは出来ないと言われていた。

 だけど、全滅寸前のこの状況は思った以上に絶望的だった。

 震えながら、救出に向かう。


 それはこれから始まる大きな絶望の、ほんの入口に過ぎなかった。




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