表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスメイトを全員殺された俺はその魂を武器にして復讐する  作者: アキライズン
幕間 その3

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/121

30話 傷変換

 

 目覚めた場所は城の天板ではなかった。

 ベッドから起き上がって辺りを見渡す。

 大きな試験管にホルマリン漬けにされた魔物や、人間の赤ん坊ががまわりに並んでいる。

 部屋中にコードが所狭しと張り巡らされていて、見た事のない機械と繋がっていた。


 城の地下にある研究室。

 噂には聞いていたが、中に見るのは初めてだった。


「なんで、僕は生きているんだ」


 追放者に銃で頭を撃ち抜かれたはずだった。

 右目に弾丸が入ってきた感触を覚えている。

 だが、右目を触っても傷一つない。


「大丈夫、痛み(ペイン)変換チェンジしたわ」


 研究室の隅で、シャルロッテが椅子に座って笑っている。


「お陰で貴重な実験体ホムンクルスを一つ失ったけどね」


 彼女の背後にある試験管の中で、頭を撃ち抜かれた魔物の死体が浮いていた。


「あなたが戦えば、あの追放者に勝てるんじゃないですか?」

「まさか、借り物(レンタル)よ。回数制限もあるし、延滞料が馬鹿みたいに高いのよ」


 シャルロッテのスキル、借り物屋(レンタルショップ)

 その制限や制約はわからないが、僕が知る限り、最も強力なスキルだ。

 だが、彼女は自ら戦うことを避けているように感じる。


「僕はどれくらい寝ていたんですか?」

「1時間くらいかしら。その間に第十一部隊と第十二部隊は壊滅したわ」


 簡単に言う。何人死んだと思っているんだ。


「一人、生存者がいたので九つ目のスキルを確認できたわ。逆さ十字架の首飾り、名称は河合かわい』。偶然にも、私が今使った傷変換ペインチェンジのスキルよ」


 本当に偶然なのか?

 何かを感じずにはいられない。

 追放者とシャルロッテ。

 敵同士なのに、彼の事を語る時、シャルロッテは頬を赤らめ、高揚し、口調が変わる。

 そう、まるで愛しい人のことを話す少女のように。


「はじめての生存者ですね。五体満足なんですか?」

「右耳と左目がなくなって、左手はちぎれかけてる。全身の骨折は32箇所だったわ。傷変換(ペインチェンジ)によるものね」


 全然無事ではなかった。


「何故、生かされたのですかね」

「わからないわ。彼女の報告では、誰かと話した後、彼女の側にあった岩を踏み潰したみたい」

「誰か? 一体誰と?」


 シャルロッテが少し考えてから答える。


「その場にはいない誰か、ね。未来が変わったわ。私が見た予知では、この戦いの生存者など存在しなかった」


 予知スキルまで持っているのか。

 本当に厄介極まり無い。

 僕の計画がバレていなければいいのだが。


「もし何者かが介入してきたのだとしたら、許せないわね」


 シャルロッテの顔が恋人を寝取られ、嫉妬に狂う女に見える。


「そろそろ、本番にいかないとまずいかしらね」

「本番、とは?」


 嫌な予感がしてならない。


「ねえ、あなた、40個のスキルを持つ一人とスキルを持つ40人の集団だったら、どっちが強いと思う?」

「まさか、救世主たちを……」


 正解と、言う意味だろう。シャルロッテが凶悪な笑みを浮かべる。


「第(ゼロ)番隊を出撃させるわ」


 それは僕のクラスメイト達がいる部隊だった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ