15話 カウントダウン 38
シャルロッテの額を狙った銃弾は、その頭を貫き破壊する。
……はずだった。
伏せろ、と俺が叫ぶ前にすでにシャルロッテは動いていた。
それが勘なのか、シャルロッテのスキルなのかはわからない。
彼女が地面に伏せたと同時に、その頭上を銃弾が通過する。
「ぃぎゃゥ」
デブの森山くんが、声をあげて、食べていたおにぎりを地面に落とす。
その額の中心に丸い穴が開いていた。
シャルロッテが避けた暁さんの銃弾は、後ろにいた森山くんの頭に直撃し、リザードマンと同じように爆ぜて、破裂した。
「い、いゃああああっ」
隣にいたぶりっ子の河合さんが悲鳴をあげる。
頭を失った森山くんの身体が血飛沫を撒き散らしながら、後に倒れていく。
最初の犠牲者が魔物ではなく、味方によって出た事が信じられなかった。
他の部隊が俺たちから離れたのは、シャルロッテを遠方から狙撃するためだったのだ。
いつ、魔物にやられて爆発するかわからないシャルロッテを俺たち第八部隊ごと消し去ろうとした。
おそらく、それは暁さんの独断ではなく、小日向くんの指令だろう。
「まだ、来るっ、みんな、早くっ、こっちへきて!」
名波さんの叫びで我にかえる。
シャルロッテを狙った銃弾がさらに飛んでくる。
だが、そのスピードは、途中でゆっくりになり、目視できるようなスローモーションに変わった。
田中くんのスキルだ。
すでに三人は岩影に隠れている。
シャルロッテの手を引いて、慌ててそこに向かう。
地面に転がる頭のない森山くんの死体が目に入り、顔を背けながら、岩影に飛び込んだ。
「なに、なに、なに? あいつらワタシらごと殺そうとしたの?」
河合さんがパニックになって、叫んでいる。
「まあ、俺らお荷物だからなぁ。いつ爆発するかわからない女と役立たずを同時に処理できて、一石二鳥だったんだろう」
田中くんの言葉に河合さんは顔を青くして沈黙する。
「やっぱり素敵ね。あのおチビさん。思っていても中々できる事じゃないわ」
命を狙われたというのに、シャルロッテはそれを気にした様子がない。
「また是非再会したいわ。頑張りましょうね、みなさん」
にっこりと笑うシャルロッテに背筋が冷たくなる。
「泉くん……」
名波さんが震えながら、俺の服の袖を掴んできた。
「仲間を殺してまで、みんな生き延びたいの? こんなの、間違ってるよね?」
「ああ、絶対に間違ってる」
そう言った時だった。
持っていた携帯にラインの通知を知らせる音声が鳴る。
なんだ? 電波は繋がってない筈なのに。
ラインの画面を見る。
『出席番号 男子2番 泉 涼 』
『スキル 無し』
その下に新たな文字が入っていた。
『カウントダウン あと38』
38。その数字は残りのクラスメイトの人数と一致していた。




