103話 佐々木 翔子
なんで、なんで辿り着かないのっ!
紫色の不気味な霧が辺りを包み込んでいる。
ゾンビの大群を食い止めようとする泉くんたちを助けるために、小日向くんが率いる本陣へと向かっていた。
飛行スキルにより、ギリギリのところまで体重は減っていたが、そんなことは言ってられなかった。
これ以上時間をかけたら間に合わなくなる。
もうすでに、1時間以上が過ぎていた。
「うっさーっ、どうなってるの? この霧、どこまで続くのっ!?」
「わ、わかんないっ、偵察に行った子達が帰ってこないのっ。この霧、変だよっ、おかしいよっ!」
うっさーのスキル、偵察の機械虫から連絡が来ない。
こんなことは初めてだ。
ただの霧じゃない。
敵の攻撃と考えるべきかっ。
「とっきー、予知は? 未来は見えないの!?」
「……見えない。ずっと、暗いまま」
まずい。一旦、飛行をやめて地上に降りるべきか。
二人を両手に抱えて、これ以上飛んでいたら、もうすぐ力尽きてしまう。
「地上に降りるわっ、急降下するから二人共、しっかり抱きついてっ」
地面に向かって、猛スピードで頭から落下する。
すぐに霧を抜けて、地上に辿り着くと思っていた。
だが……
「なんでっ! なんでずっと、霧の中なのっ!?」
これでハッキリと判明した。
これは敵の攻撃だ。
ボクたちは、霧の中に閉じ込められている。
「まずいよ、さっさんっ、救援呼びにいけないよっ」
「わかってるっ、うっさーっ、ちょっと待ってっ、考えるからっ!」
どうしたらいい?
どうしたら、この霧から抜け出せる?
早くしないと、全部終わってしまう。
地上から、救援を呼びに行った宗近さんと早瀬さんは?
彼女達も同じように霧の中にいるのだろうか?
「うっさー、偵察はどこまでいけた? ちがう、前後左右上下、どこに飛ばした?」
「全部だよ、全部飛ばした。でもみんな途中で通信が途絶えてる。わたしたちの周り、全部霧でどこまで行っても続いてるっ」
幻覚なんかじゃない。
それならうっさーの機械虫は帰ってくる。
霧に包まれ、消失したのか?
それとも帰ってこれなくなっただけなのか?
どこまでも続く霧。
いや、それならば、最初からこの惑星は霧に覆われていたはずだ。
だったら、恐らく、この霧は……
「……動いてるんだ。ボクたちと一緒に」
それに気づいたからだろうか。
紫色の霧の中で、視線を感じ、バッ、と背後を振り向く。
小さな小さな赤い目玉が、ボクを監視するように睨んでいた。
「ガスクラウドっ!!」
昔やったゲームで、雲のようなモンスターがいたことを思い出す。
その霧状の魔物は、通常攻撃が効かず、魔法でないと倒せなかった記憶がある。
「ひっ、なに、これっ!?」
うっさーが青い顔で悲鳴をあげた。
一つの目玉に気づいたとたん、一斉に何十個もの目玉が、霧の中に出現したのだ。
「絶対絶命、大ピンチってわけね」
ボクたちは、魔物の、ガスクラウドの集団の中に囲まれ、ずっと捕らえられていた。
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