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クラスメイトを全員殺された俺はその魂を武器にして復讐する  作者: アキライズン
終幕 その11

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113/121

99話 研究室

 

 静かに、そして、優雅に。

 黒いドレスを着たシャルロッテが、微笑みながら俺を出迎える。

 最後に、みんなが亡くなった研究室。

 ここでシャルロッテは、クラスメイトたちに帰れると希望を持たせ、それを裏切り虐殺をはじめた。


「あら、思い出の場所なのに、随分と静かね。それとも、もう、そんな余裕もないのかしら」


 俺を挑発しているのは、使えるスキルが残り少ないことに気がついているのだろう。


 ……構わない。


 もう、これで終わりなんだ。

 たとえ、心臓が止まっても、俺は止まらない。

 ここに。

 ここに、今までのすべてを置いていく。


 いまにも破裂しそうな怒りの塊を、必死に抑えながら、冷静にシャルロッテを見据える。


 クラスメイトたちの魂が脈打つのを感じていた。

 みんな、シャルロッテに、俺たちの命を弄んできた、この女に復讐したくてたまらないのだ。


『最初にいかせて』


 声が聞こえて、背負い袋『森山もりやま』からその武器を取り出す。


 1メートル近くもある長い刀。

 鞘から抜き出すと、美しい刀身が妖しく光り、生前の姫と呼ばれていた華やかな彼女を思い出す。


「凄そうね、それ。いいの? そんなの最初に使っちゃって。切り札じゃないの? それで打ち止めになるんじゃない?」


 本当に、俺のことを心配しているようにシャルロッテが話しかけてくる。


「……黙れ」


 抑えていた怒りが、口から漏れた。

 衝動的に、反射的に、その手は動いていた。


 長刀を、姫一文字ひめいちもんじを、瀬能せのうあずさを、横一文字に振り抜いた。


 ぶんっ、という音と共に、目の前に赤い線が一本出来上がる。


 そして、きィィィィッんっ、という空気を引き裂くような音が響いた後。


 シャルロッテの胸のあたりから、その後にある緑の液体が入ったポッド、さらにその向こうにあるパソコンの画面まで。


 赤い線の引かれた直線上のすべてが、見事なまでに分断された。


「はっ、ははっ」


 上下二つに分かれたシャルロッテが笑っている。


「いいわねっ、すごいわねっ、ど派手な演出は大好物よっ!」


 次元ごと切断しても、シャルロッテは再生していた。

 綺麗に斬られた断面から、触手のようなものがうにょうにょと伸びてきて、それが身体を形成していく。


「……十九個目のスキルを確認」


 声が聞こえて、そちらに目を向けた。

 シャルロッテと二人きりだと思っていたが、いつのまにか研究室に、第三者が入り込んでいる。


「長刀『姫一文字・瀬能』。次元を切り裂き、直線上のすべてを両断する」


 柊木ひいらぎだ。

 這いつくばり、芋虫のようになっても、まだ俺のスキルを分析している。


 彼も、また、俺と同じように、止まれないのだ。


 いいよ、ついて来い。お前も俺と一緒に行こう。



「さあっ、次は何? もっと踊りましょうっ、私がエスコートしてあげるわっ」


 完全に再生したシャルロッテが、キラキラした瞳で両手を広げながら、俺の攻撃を待っている。


 次元刀を使った反動で、急速に体力が奪われ、睡魔が襲っていた。

 眠ってしまったら、もう目覚めることはない。

 一度でも止まれば、動くことはなくなるだろう。

 だが、大丈夫だ。


 魂になっても、俺と一緒に戦ってくれる仲間たちがいる。


 俺も、お前たちと共に、どこまでも。

 たとえ死んでも、魂となって、どこまでも戦い続ける。


 どんっ、と大きく足を踏み込み、前に進む。


 最後の。

 シャルロッテとの。


 終わらない戦いが始まった。



かず 様

レビューありがとうございます!

まさか連続でお二人の方からレビューを頂けるとは!

もう少しストックを貯めてから、更新しようと思いましたが、こちらも連続更新してしまいました。

ご期待にそえるよう、頑張って書いていきます。

どうかこれからもよろしくお願い致します。


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