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クラスメイトを全員殺された俺はその魂を武器にして復讐する  作者: アキライズン
終幕 その10

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102/121

89話 声

69話 70話 79話 89話 禁話

を変更しました。


融合設定はなくなります。


 

 柊木ひいらぎが仕掛けた爆弾により、城は跡形なく吹き飛んだ。

 降り注ぐ瓦礫に埋もれ、身動きがとれなくなる。

 柊木に向けて放つはずだった大砲『名波ななみ』を、そのまま頭上に向けて撃ち放った。


 爆発音と共に、周りの瓦礫がぶっ飛んで自由になる。

 黒鎧『鰐淵わにぶち』で硬質化したが、かなりのダメージを負ってしまった。

 柊木は俺と共に自爆しようとしたのか。

 彼にも、自らの命を賭けて守るべきものがあったのだろう。

 耳につけたイアホン『音峰おとみね』を作動させる。

 生前、皆を回復してくれた癒しの歌は、今は俺にしか聞こえない。


「……音、小さいな」


 俺の寿命は、スキルの多用によって、もうほとんど残っていないようだ。

 全開まで回復すれば、そこで寿命が尽きるかもしれない。

 身体の損傷は激しいままに、回復を停止する。



 時間がない。

 このままでは、シャルロッテに会うまでに終わってしまう。


 辺りを見渡すと、すべてが瓦礫に埋もていた。

 城の地下。

 シャルロッテがいるはずの研究室の入り口を、ここから探さなくてはならない。


 軋む身体で大量の瓦礫を一つずつ退けていく。

 もう、吹っ飛ばすような派手なスキルは使えない。


「……シャルロッテっ!」


 たとえ心臓が止まっても、必ず息の根を止めてやる。

 俺には、もう復讐しか残っていない。


『……わたしの分まで頑張ってね』


 河合かわいさんの声が聞こえてきた。

 自分の命を投げ出して、俺の命を救ってくれた時と、同じ言葉だ。


「ああ、もうすぐだ。もうすぐ、終わらせる」


 血塗れの手で瓦礫をかき分ける。

 そうだ。みんなの復讐は、手の届くところまできているんだ。


『……また、お前と喧嘩したかったよ』


 今度は矢沢やざわくんの声が聞こえてきた。


「まってろ、終わらせたら、すぐにそっちに行く」


 俺の寿命が近づいているからなのか。

 クラスメイトたちの魂が宿った武器から、次々と言葉が流れてくる。


『……みんな、泉くんをお願い』

『私は撃たない』

『えー、テステス、聞こえますか? うっさーです』

『さ、さっさんです』

『とっきー、です。三人合わせて、うざっときです』

『じゃあな』

『あと、よろしく』

『俺様の仲間に、手を出してんじゃねぇええっ!!』


 野田のださん、名波ななみさん、宇佐うささん、佐々木(ささき)さん、時任ときとうさん、佐藤さとうくん、加藤かとうくん、鰐淵わにぶちくん。

 共鳴したように武器からの言葉は鳴り止まない。


「一緒だ」


 手の感覚はもうとっくになくなっていた。


「俺たちは、ずっと一緒なんだ」


 瓦礫の隙間から差し込んだ手が、何かを掴む。

 それが何かわからぬまま、力を込めて、引き上げると、周りの瓦礫と共に、ガコンッ、大きな鉄の扉が押し上がった。


 そこに地下へと続く階段が続いていた。


「……シャル、ロッテ」


 そこに彼女がいることがわかる。

 隔てるものは、もう、何もない。

 これが正真正銘、最後の戦いだ。


『行くよっ、涼ちんっ!!』


 大剣『大吾だいご』から声が聞こえて、大きく頷く。


 三年前と同じように。

 俺たちは、研究室へと続く階段を降りはじめた。




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― 新着の感想 ―
[良い点] とにかく良かった( TДT) 泉くんには最後まで頑張って欲しい! [一言] 開始当初から読んでいます。 最後まで読みたくて読みたくて。 是非とも更新をお待ちしております<(_ _*)>
[一言] ハッピーエンドは難しそうですが、決着がつくまで見守りたいなと思います。
2020/12/02 17:01 退会済み
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