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0話 復讐劇

 

 砂漠のど真ん中を歩いていた。

 血のようにあかい太陽が頭上で燦々(さんさん)と輝いている。


 そびえ立つ巨大な城が砂嵐の中に見えた。

 いくつもの砦に囲まれ、難攻不落と言われたその城は、三年前、俺達が命がけで取り返した城だ。


 三年か。

 長かったのか、短かったのか。

 高校二年だった俺も、もう成人する年になっていた。


「みんな、ここまで来たよ」


 今はもういなくなったクラスメイト達。

 彼らは全員、ここで殺された。

 だが、その魂は今も俺と共にある。


 噛み締めるように砂漠の真ん中を一歩、一歩、城に向かって歩いて行く。


「そこの者、立ち止まれ」


 砦の見張り台から武装した兵士が降りてくる。

 銃をもった兵士が一人、剣と盾を持った兵士が二人。


「入城許可証は持っているのか? 無ければ直ちに退去せよ」


 すでに銃はこちらの頭を狙っている。

 剣をもった二人も剣の(さや)に手がかかっていた。


「あの城は俺達が取り返したんだ。なぜ、入るのに許可がいる?」

「なんだ、ふざけているのか? 酔っ払いでも容赦はしないぞ」

「ふざけているのは……」


 背中に背負った大剣に手をかける。


 さあ、始めるぞ。


「お前達だろうがっ」


 大剣を抜いたと同時に銃声が鳴り響く。

 俺は飛んできた弾丸を大剣の背で弾き返す。


「な、なんだ、そりゃ」


 銃を撃った兵士は、二発目を撃つのも忘れ、俺が抜いた大剣を大きく口を開けて眺めている。

 抜いたと同時に全長1メートル程の大剣は、三倍の大きさに巨大化していた。

 前に構えるだけで、俺の身体をすっぽりと覆い尽くす。


大吾だいご。この大剣の名前は大吾だ。覚えていないか?」


 重さが1トン以上ある『大吾』を右手だけで、上段に構える。


「ちょ、ちょっとまて。お、お前、まさか、三年前に追放されたっ」


 正解、という意味を込めてにっ、と笑う。

 狂気を含んだ笑みだったのだろう。

 兵士達の顔が青ざめる。


「き、斬れ。こいつを、こ、殺せっ」


 剣を持った二人の兵士が襲いかかってくる。

 銃を持った兵士は再び俺の頭に標準を合わせようと慌てて構えようとする。


 欠伸あくびが出るほどクソ遅い。


 思いっきり『大吾』を横に振るう。

 ぶつり、と肉と骨が断ち切れる感触が三つ、その手に伝わってくる。


 始まった。さあ、みんな、始まったぞ!


 上と下とで綺麗に分かれ、半分になった兵士達が宙を舞う。

 異常に気がついたのか、砦からわらわらと武装兵士が出てきて、俺を取り囲む。


 大丈夫だ。一人も逃がさない。

 全員、ぶっ殺す。俺達がされたことをそっくりそのまま返してやるっ。


『大吾』を元の大きさに戻して、背中に背負う。


 腰に差しているあおあかの双剣、『八千代やちよ』と『ほむら』。

 彼女たちに持ち替える。


 亡くなったクラスメイトの魂は、俺が全員、武器にして装備している。


 40人。クラスみんなの共同作業だ。


 壮大な復讐劇。その終幕フィナーレが始まった。





セカンド作品


『うちの弟子がいつのまにか人類最強になっていて、なんの才能もない師匠の俺が、それを超える宇宙最強に誤認定されている件について』が第7回ネット小説大賞受賞いたしました。


2巻の発売が、明後日3月14日土曜日に迫ってまいりました。

Web版の内容を大きく修正加筆し、また1巻と同じく裏章として、完全書き下ろしを追加しております。

 

一二三書房様のサーガフォレストからの発売となります。

イラストはtoi8様です。


挿絵(By みてみん)


コミカライズも決定し、企画進行中です!

これも読書の皆様が応援してくださったおかげです。

本当にありがとうございます。


↓下から飛べますので良かったらご覧になって下さいませ。

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