04.ラブラブ大作戦(1)
昼休みから放課後まで練りに練った作戦は放課後のホームルームの終わりのチャイムが開戦ののろしとなった。
先ずは学校案内と称してじっくりと弟君の情報収集だ!
紅ちゃんへのお別れもそぞろに、ああ、これも試練!
『桜井さんのお陰で二人を引き裂こうなんて夢から醒めました。邪魔はしません』
『やったね、紅ちゃん!』
『ありがとう、朱音ちゃん!』
こうしてより親密になっていくんだ!紅ちゃんが好きで、紅ちゃんは恋とか愛とかで好きになってくれないから、だから親友としていっぱいいっぱい好きになって欲しい。
「桜井さん」
早くしないと、紅ちゃんはきっと…また…
「悪い癖は直らないものですね。……朱音ちゃん?」
「なに、紅ちゃん」
あれ?紅ちゃんの声がした気がするんだけど、弟君しかいない。あれ??
「俺です。学校を案内してくださるというから着いてきてみれば…」
「う、ごめんなさい」
あれは弟君の声真似だったのか…。だけど似てた気が。二卵性ってこんなに似るんだっけ?
「顔に出やすいとこも本当……似てるより似せてるんですよ」
「えっと…碧君が?」
「互いにです。性差がありますから、どちらか一方では無理が生じるでしょう?幸い、身長も変わりませんし」
確かに紅ちゃんは長身さんでモデルさんみたいだけど、弟君は男の子の中じゃ低い方だ。
「貴女の疑問に答えたところで、俺も聞いていいですか?」
「うん、もちろん」
「貴女はあの人のどこがいいんです?」
「へ?えっと、ハル?」
「違います。俺の、姉を名乗ってる方です」
やっぱり凄い嫌われてるのかな、紅ちゃん。
「紅ちゃんと一緒にいる理由って事?」
「まあ、そんな感じです」
「理由なんてないよ。好きだから、一緒に居たいんだよ」
「そうですか」
なんでそんな微妙な顔をするの?喜んでるのか悲しんでるのか。
『大丈夫よ。…で泣かないで。私が友達に…親友になってあげるから』
そういえば紅ちゃんも似たような顔をしてた。初めて会った時。入学式で泣きじゃくる私に言ってくれたのだ。その時、涙を拭いて見上げた紅ちゃんの顔。なんだか懐かしむように胸がドクンとはね上がってた。
ああ、一目惚れだったのだ。
そんな優しい紅ちゃんと親友になって、どんどん好きになって、好きだから、好きになる。いつの間にか抜け出せなくなってた。
「大丈夫!弟君もきっと紅ちゃんの良さが分かるよ!!」
「いや、そうじゃなくて。第一、弟君って何ですか?!」
先ずは、紅ちゃんとハルの事をよく知ってもらわないと!
「頑張るぞ!おー!!」
気合いも十分に、弟君の手をとり、紅ちゃんとハルの居るであろう場所へと向かって走った。
途中、先生に怒られて、小走りになったけど。