第六話【さぁ対面だ!】
遅くなり申し訳ございません。
仕事がオフだったのに職場から電話が来て行くことになりました。
皆さんはブラック企業にお気をつけください。
来た、来てしまった。
ステイメン家から馬車で3時間、ダナト邸へ来てしまった。
アイシスがここに来るのは二度目である。殺人のあった裏の森は相変わらず鬱蒼としていて夜会の時よりも不気味だった。
森を見ていたくなくて門の方を見てみると門の前に執事服を来た壮年の男性が何人もの侍従とみられる人を連れ控えていた。
「ようこそおいでくださいました。アイシス・ステイメン様。私目はレイン坊っちゃまのお付きの執事で執事長のジーヤと申します。この度は坊っちゃまの想い人にお会いでき感激でございます」
ジーヤに恭しく頭を下げられアイシスは少し微妙なきもちになった。
それはジーヤに頭を下げられたからではなく、レインの想い人だと言われたからだったがアイシスは必死にそれを隠し、頭を下げる。
「いえ、こちらこそ。レイン様のお付きということは私も多く会うということですもの。よろしくお願い致しますわ」
完璧!
「そんな、おそれ多いことでございます。やっと坊っちゃまが想い人を連れてきて下さったのです。私達はとても感激しておるのでございますよ」
ジーヤが目に涙を溜めながら感動している。
どれだけの間心配させてたんだレイン様。
「おいおい、そんなに驚くことかな?それともう坊っちゃまはやめてくれって!私はもう26だ。坊っちゃんが通る歳ではないよ」
レインがジーヤの言葉に突っかかる。その様子が少し子供っぽくてアイシスはクスっとしてしまった。
そしてアイシスはレインが26歳だということを初めて知った。
そういえばレインの事は全く知らないんだなとアイシスは少しショックを受けた。
ほとんど関わったことがなかったのだから至極普通なことなのだが、それでも婚約者となった今知っていなければならないことだった。
ショックを受けているアイシスの横ではレインとジーヤがなにかを小声で話している。何を言っているのか分からなかったが、わざわざ小声で話すということは私は知らなくてもいい事、あるいは知ってはいけない事であると予想し、アイシスは会話には交ざらなかった。
相談事は終わったのかレインが少し大きめの声に戻した。
「それでは私達は父上達のところに挨拶に行ってくるよ。終わったらシシー、アイシスとお茶をするから中庭に用意をしておいてくれ。さぁ行こうかシシー、エスコートをさせてくれ」
いきなりメイドや使用人達の前で手を取るのは少し恥ずかしかったが、ここで取らなければレインに恥をかかせてしまうと思い、出来るだけ優雅にレインの手を取る。
「有難う御座います。レイン様」
「あぁ、それでは行こうか」
そしてアイシスは最初にして最大の関門、相手方の両親に会う事になった。演技であることを悟られてはいけないと思い、アイシスは気を引きしめた。
「そんなにかたくならなくても大丈夫だよ。二人とも穏やかな方達だからな。まぁ暗殺をするときには容赦がないんだけどな」
少し笑って言うレインにアイシスはアハハと曖昧に笑いながら内心では「笑えねぇよ」と盛大に突っ込みをいれたい気分になった。
レインにエスコートされながら少しの間屋敷を歩いていくと当主の部屋らしい扉の前でレインは止まる。
「さぁ中に父上と母上がいる。中に入ろう」
してアイシスにとっての閻魔の裁断所に入ることとなった。
今回も読んでくださりありがとうございました。
仕事で全然投稿出来なかったので今夜もう一話投稿しようと思います。