第二話【あんたが犯人?】
こんにちは。ラムロックです。
話の区切り方ってどうすれば良いのかわからず人によっては変なところで区切られているかもしれません。
不快に思った方は申し訳ございません。
別室に連れていかれている間、アイシスはとっさのことに声が出ず代わりに色々なことを考えていた。
(あわわわ、お姫様抱っこ!お姫様抱っこ初めて!ていうかこれ怖い!落とされたらどうしよう!重くないよね?私結構痩せてると思うんだけど!ていうかそんな場合じゃないよ!近くで殺人が起こってるんだよ!もしかしたら貴族を狙ったものかもしれないし、次は私かもしれないじゃない!は、あのとき私が見てたことバレてるかも!嫌だぁぁ)
とここまで考えるのに10秒。それから今の状況を整理しようとするがうまくいかず、途方に暮れ思わず上を見上げる。男性の顔が見えた。
今まではそれどころではなく気にしていなかったが改めて男性の顔を見てみるとアイシスは今度は驚きで声を出せなくなった。
男性はとてつもなく顔が整っており、最近夜会で人気があり、且つこの夜会を開いた人物。レイン・ダナト伯爵令息だった。
アイシスは別の意味で頭が真っ白になった。我ながら頭のなかがなかなか忙しいと思ったがその今の状況に全く噛み合わないその思考を不意に言葉で遮られた。
「急で申し訳ないがまずはこの部屋に入るよ。色々と聞きたいことがある」
アイシスが聞きたいこととは何だろうと不思議に思ってると部屋にある椅子の上に座らされた。下ろされてホッとしているとカチャリと音がした。ギョッとして手を口元に添えようとしたが、それはできなかった。
なんと手を鎖で繋がれていた。
「な、な、なんですかこれ?」
「すまない、話をするためにはこうしなければならないんだ」
「なんで話をするのに鎖が必要なんですか?」
「まぁまずは質問させてくれ」
こんな状況で質問されることといったら先程の殺人を目撃したことに限られる。話せば動いてくれるかもと思ったが、よくよく考えてみればまず殺人について知っているということはすごく怪しい気がした。もしかしたらこの人が犯人かもしれないと思いアイシスは冷や汗が止まらなかった。
(ああ、お父様、お母様、先立つ私をお許しください)
「先程テラスで何を見た?」
「………」
「もう一度問おう、先程テラスで何を見た?」
言えない。今の質問で確実にレインが殺人に関与していることを確信したアイシスは口を割るものかと口を閉ざした。
「……言わなければ殺す」
殺すと言われてしまえば黙っているわけにもいかず、アイシスはテラスで見たことを話す。言わなければということは少なくとも言えばまだ生きられると思ったからだ。
「う、裏の森で殺人が行われているのを見ました。」
「そうか、誰にも見られないように目立たない場所で目立たない殺し方を命じたはずなんだけどな」
「やっぱりあなたが犯人なんですか?」
アイシスはここで聞いてしまったらそれこそ後に戻れないとわかっていたが、それでも人を殺すよう命じたことになにも思っていないようなそぶりに反射的に食って掛かってしまった。
「今質問をしているのはこちらだ。どうやって現場を見た?」
アイシスは殺されるのは嫌だったが、どうせ聞き出した後に殺すのだろうと思い、死ぬのならこの男を困らせて死のうと決めた。
しかしアイシスはこのあと言われたことによりあっさりと陥落した。
「話せば殺さないでいよう。誓約書も書こう。魔力を馴染ませたものだから絶対に反故にはできない」と誓約書、通称【ギアス】を懐から取り出す。
なんと言う魅惑!絶体絶命のピンチで殺さないとギアスに誓うのであれば確実に生きられる。
レインはギアスを発動させ、誓約をする。アイシスはそれに少し安心しつつ自分の秘密を暴露した。
「私は身体に障害があって魔法が使えないんです。瞳以外の魔力孔がつぶれているので瞳にしか魔力を巡らせられないんです。その代わりに瞳への魔力感度は高いので集中すればどんなに遠くても見ることが出来るんです。千里眼と言うものらしいのですが私もその辺り良くわかっていません。」
その説明にレインは少し驚いたような顔をしたが、すぐさま元の柔和な顔つきに戻った。
「私が気になったことの説明がついたな。では、私のことも話そうと思う」
読んでくださりありがとうございました。
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※ギアスとは、魔法を使った誓約書であり、両者の魔力を反映させて使うもの。交わせば誓約の魔法に縛られ、誓約を破れば身体を縛っている魔法が暴走する。