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8 聖地

道草の回ですがトラブル発生


ビースト・パレードに遭遇!

渓谷の中腹あたりのつき出した岩場におりたった俺たちは渓谷深部を見下ろしていた。


「ついにビーストパレードも始まるとは・・・早すぎる・・・」


麒麟から飛び降りて光の精霊ウィルがつぶやいた。


火の幼女精霊は俺の尻に両手で押して、崖から落とすいたずらをした。


「わーー!押すなよ。ビックリしたー。落ちたら洒落になんないぞ!」


「渓谷を手荷物だけもっている獣人たちの心境と同じだよ。命からがら、安住の地を求めこの大地をさまよっているんだ。」


火の幼女精霊が俺にそういうと、光の精霊も今の緊急段階を教えてくれた。


1.この異世界が崩壊の危機に精霊が察知すると緊急精霊会議が招集される。


2.野生動物や危機察知が高い野獣・魔獣・ドラゴンは逸早く暴走して逃げて【逆モンスター・スタンピート】精霊に助けを求める。


3.昆虫・鳥といった小動物がいなくなり野生動物もいない状況でようやく危険を察知した獣人・亜人たち同士が談合を行い避難をおこなう。


4.魔人と呼ばれる者達は精霊が管理しているダンジョンや塔などのラビリンスを占拠して身の安全をはかろうとする。


5.安全な場所に避難できなかった獣人や亜人が隠れ里や避難場所を魔人といった魔族に占有されて追い出されたといった場合に、安全な場所を目指して放浪する【ビースト・パレード】


6.魔族侵攻【デビル・マーチ】によって地殻変動や天変地異が人間にも危険察知されたとき人間と魔族の最終戦争が行われる。


1から6段階に分けてと説明してくれた光の精霊は、俺にすべての精霊を招集して、この地に神の来訪もしくは、救世主の再誕を願うことしか危機を奪する方法はないと説いた。


俺はヒジリの手を強く握りしめた。ヒジリも俺の瞳をじっと見つめながら頷いている。


俺はヒジリが薄々魔族侵攻と呼ばれる状況になったときは、この世界の聖女兼勇者として、戦いに身を投じる覚悟を感じた。


「ヒジリ・・・フェーズ5だ。もう猶予はないみたいだ・・・ごめん。多分・・・俺のせいだ」


「違うよ。違うよ。私が先にこっちに来ていたんだもん。遅かれ早かれ私は勇者になる道を歩かなければならなかったんだもん。でも、やっぱヒデにーは凄いよ。もう邪神は倒したんでしょ。魔王は私が倒さないとね!楽勝楽勝!イージーモードだよ」


ヒジリはテヘペロっとしながら右手で目の横に人差し指と中指を指して微笑んだ。


そのときだった、前方の渓谷の一部が崩れ始めたのだった。ドワーフの親子やリザードマンのカップル、猫人や犬人のグループなどの亜人達が巻き添えになろうとしている。


壁を伝って逃げようとするアラクネや後方にジャンプする兎人。そして、崩れないように飛び出した巨人族数人。足元で逃げまどう小人たち。


危機を脱するためにエルフらしい耳長い亜人が土魔法を壁の修復をする。亜人達はお互い助け合いながら先を急いでいる。


俺とヒジリは互いに胸をなでおろした。だが、火の幼女精霊は崩れた壁の上にファイヤーランスを3本放った。


俺は幼女精霊を静止しようとしたが、光の精霊が指を指しながらフォトランスを放った。


「あそこに魔族がいる。落石犯人は4人以上だぞ!対岸はまかせろ!」


俺は何を見てたんだ。ヒジリも同じように感じたのか、白虎に飛び乗り被弾している魔族のもとに向かった。そのあとを朱雀が並走する形で飛び去った。


俺も麒麟に飛び移り光の精霊を抱きかかえ岩陰に隠れている魔族を迎撃に向かった。


対岸の岩陰にフォットランスが羽に刺さり動けなくなった鳥人の亜人族のハピーが数人怯えていた。


「罠があるの。罠が・・・違うんだ!ビースト・パレードを止めないとダメなんだ。みんな死ぬんだ。危険が待ってるのよ・・・」


パニックを起こしたケガをしているハピー。逃げようとしているハピーの集団を俺の背中から飛び出した玄武が羽の一部を石化させた。


俺は状況を伝えようと対岸のヒジリに声をかけようとすると、すでに変身して鞭を振り回して朱雀に乗っている。


「ヒデにー。聞いてこの先の大砂漠のオアシスに魔王軍の罠があるんだって~」


バルキリースタイルのヒジリの後から数羽のハピーが整列してついて、こちらに向かってくる。


俺は少し安心したが、過剰防衛をする味方を加味しなかった。スタートダッシュできなかった分、取り戻そうために青龍がここで正義を振りかざそうとした。


青龍は空に一気に昇り曇天する。雷がおこり雨を降らし始めた。だんだんと、雨量が増える。いつの間にか渓谷に大洪水を起こそうとする。


流されないように必死で崖を上る亜人たち。


それを助けようと、朱雀に乗りハピーの軍団を魔物使いのスキルで指揮するヒジリ。ムチが雷のように容赦なく音をたてながら叩きこむ。


その度に、ビキニアーマが黄金色から青白く光輝く。


渓谷に流れる川の水かさがどんどんと増す。巨人族たちも流されはじめた。必至で巨人族によじ登り、腕や背中につかまっている小人族も次々に流され始めた。


光の精霊とアイコンとをとっていた幼女精霊は炎の化身に変化した。まるでゲームに出てくる地獄の炎を纏った悪魔、いや、召喚獣のような姿となった。


炎の化身は軽く飛び跳ねると、一気に青龍のもとに行った。青龍の腹に特大のパンチを放ち、回し蹴りで竜顔を吹っ飛ばす。すぐさま角を掴み渓谷に叩き落とした。


洪水となった濁流に飲まれる青龍を見ながら、光の精霊は俺に精霊魔法を詠唱させた。


「森羅万象、この世の理をもって是を行使する・・・・・・」


光の精霊の言葉をなぞるように、俺は光の精霊の手を握りながら復唱する。


いつの間にか俺はスライムの姿にかわり、激しく洪水を起こしている狭い渓谷に大きな空地を創るかの如く円形の大きな広場が広がった。渓谷を吹き飛ばすよう見る見る平野になっていく。水かさが低くなり、洪水から渓谷の間に浅い湖を創る。その湖に俺は光の精霊と一緒に沈む。まだ光の精霊が発した詠唱を木霊させながら復唱し続ける。


湖の底に突然、大きな穴が開く。お風呂の栓を抜いたように一気に水が抜ける。

そのまま、流された亜人達はもろとも水が抜けていった。


水が抜けきると、今まであった渓流の姿が蘇る。あるのは大きな水たまりだけ。


でも、俺はわかっていた。


そして、大きな水溜りから水の化身が巨大な青龍を引き連れこの渓谷に飛び出した。

大きな水しぶきをあげながら二重の虹をつくる。


レビアタンのような水竜に変化した青龍の背中には流された全ての亜人たちが捕まっていた。


力を使い果たした水の化身は新たな水の幼女精霊になり、レビアタンと化した青龍はもとの姿に戻っていった。


ゆっくりとであるが、川下から、巨大な島亀が巨人族などの亜人をのせてこちらに向かってきた。やはり、雲に乗りながら如意棒を操る岩の化身から幼女精霊となった。


「間に合った。水の精霊も土の精霊もオーブになっていたから変身出来たんだ」


光の精霊は俺の秘めた力を利用してビーストパレードの危機を救ってくれた。


「良かった。でも、もとの人間の姿に戻してくれよウィル」


俺が光の精霊に頼むと快くスライムの俺に向かって詠唱してくれた。


しかし、俺はいつの間にか、意識がなくなっていた。


何時間たったのかわからないが、目覚めた時には、バルキリースタイルからもとの姿に戻ったヒジリの膝枕をされていた。


「良かったヒデにー。目が覚めたのね。ウフフ。可愛いんだから」


今一状況が飲み込めなかったが直ぐにわかった。


今の俺は人間の姿だが、見た目が若返っている。まるで中学生低学年か小学校の高学年のような生意気盛りの背伸びをした少年そのものだった。


俺は指先から足、そして、ズボンの中を確認した・・・なんだよ邪神のままかよ!


アッーーーーーーーーーーー!血の気が引いた!


「エッ‼・・・・あの~・・・ヒジリが着替えをしてくれたのかな・・・みた?」


ヒジリは斜め下を見ながら頬を赤らめ口ごもった。


アウトー!死にたい。そうだ!記憶消去の魔法を教えてもらおう!光の精霊はどこどこ?俺はあたりを見回した。


アレー・・・火の幼女精霊に水、土の精霊?・・・と、あと・・・二人の幼女精霊がいる・・・


やりやがったなー。光の精霊と雷の精霊!俺の力を吸い取り、オーブになって進化しやがった!


もじもじしながら光の幼女精霊はお辞儀しながらウインクした。♡


怒れないよー!ズルすぎるよー。思わずいい子いい子してしまった。


それとは対照的に、雷の精霊はワザとヤンキー座りをして見せつける。


火の幼女精霊と同じぐらい、たちが悪いこの雷の幼女精霊は許さないと拳を握る俺がそこにいた。


「雷幼女を殴るなら私を殴って」


おバカな火の幼女が嬉しそうにパンツを脱いで俺に尻を向けてきた。

「ヨダレを垂らしながら尻をフリフリするな!どM精霊!」


その横で雷幼女もパンツを脱ぎだした。


何だろう。こいつらに絡むと俺が損するような気がする。ヒジリもヒクヒクしながら顔を赤らめこっちをジッと見ている。悪い病気がうつる危険性を感じた俺は、ダメダメな幼女たちを無視して、光の精霊にたずねた。


「もとの姿になる魔法はないの?」


「また、スライムになって大地を喰らいパワーアップすればすぐに元通りになるとおもいます。そうだ!丁度ここに大きな湖となった大きな穴を利用してこの亜人達が住める洞窟を作ってみませんか」


俺の了解をとる間もなく、光の精霊は俺をプラネットイーターと化すスライムにした。


俺はあきらめて地底洞窟を造ってしまった。


「渓谷だったから、クリスタルはもちろん、貴重な金や銀の鉱石もあるよ」


大地を喰らいながらも、土の精霊幼女と水の精霊幼女が手伝ってくれたおかげで、様々な鉱石が手に入って喜ぶヒジリがいた。


喜ぶヒジリをみながら俺は密かに錬金術を覚えてアクセサリーを作ろうと密かに企んでいた。


大地から長い階段をつくり、地中に大きな空洞をつくり、海底湖付の地底洞窟を創った。


最後に、精霊たちはこの地低洞窟に命を吹き込むように魔法を壁一面に施した。すると、まるで地上と変わらぬ明かるさを放つ地底洞窟に変えてしまった。


「入口を魔族や魔獣が入りこまないように結界を張って完成です。聖女様お力を貸してください」


ここにいる、光・水・雷・火・土の幼女精霊は聖女聖を中心に互いに手を繋ぎ輪を作った。


すると、精霊たちは呪文をいっせいに唱えた。


地底洞窟全体が色調補正のようにカラフルに次々に光を発すると、もとの明るさに戻って結界が完成した。


憔悴しきっている亜人たちが地底洞窟に来ると汚れた顔や体を地底湖で綺麗にする。


地底湖はやはり、聖なる泉となっていたようで亜人達の傷や体力まで回復させた。


俺はいつの間にか人間の姿になっていて、隠れて温泉を掘り当てて作っておいた露天風呂を麒麟を含めた五獣とのとともに湯に入っていた。


露天風呂に入りたそうな五人の幼女を静止しているヒジリは涙目になっている。


綺麗好きなヒジリのことだから先にはいりたかったのかもしれないが今日だけは先に入らせてくれ・・・・・俺は風呂の中でまた落ちてしまった。


そして、また温泉からあがったばかりのような、ほっかほっかのヒジリの膝の上で起き上がった。


クッシュン!何だろう。今回はヒジリは俺に服を着させてくれなかった。


裸で妹に膝枕・・・絶対通報されるな。


その前に、俺のあそこを隠すように枕にする火の幼女精霊は必ず滅してやる!


そう誓いながら立ち上がってこそこそと服を探すと、クリーニングに出したように新品の服が用意してあった。


「「亜人さんがお礼に食料と服を分けてもらったのよ。どれがいいかな」」


彼女面をする水の精霊がそこにいた。俺はそれを軽く流しながら、旅人の服のと厚い革で出来た防具一式を選び身に着けた。


幼女精霊も各々、自分にあった服装ろ装備を身に付け褒め合っている。


俺は、なにかわからないが魔獣のジャーキーをムシャボリながら光の幼女精霊に話かける。


なぜなら、みんな少しはパワーアップしたのなら、闇の精霊のところにまで転移できないのかを聞きたかったからだ。


すると、あと一日休めば可能だと答えた。


俺がわかったというと、光の幼女精霊は外の幼女精霊にこそこそと話をした。すると、幼女精霊は複数に別れた亜人達グループに各々話をしに行ってしまった。


この時は気付かなかったが、各グループに各々、聖女ヒジリを連れ回し何かの布教活動をしているようだ。


数時間後には地底洞窟の端のほうに石柱が建ち始めていた。地底洞窟の端にある五本の柱を結ぶと丁度五芒星を形どるような正五角形ができる。


多分だが、精霊たちはこの地に新たな信仰を集め、聖地にしようとしているのかもしれない。


「やり手だな・・・」と俺が関心していると、俺の横にはいつの間にか小奇麗になったフェンリルに乗った双子の氷の精霊がいた。


俺は多分この数分後、土下座でお願いする双子の氷の精霊の姿が目に浮かんだ。


また若返るのかとがっかりしながらも、明日は必ず闇の精霊を救助に向かおうと誓った。

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