38 死兆星
今回はファイナルミッション開始しました
この星の運命は月のお仕置きの如く!
さあ、破壊の女神達はこの星をどうするのか!
ブックマークよろしくお願いします。
「あと50mです。岩盤がありますがそのまま真っすぐです。食べ過ぎないで下さい」
グワーンバリバリ・・・・
「あった・・・ラストの24つ目だ・・・・終わったよアイ」
「何言ってるんですか。さあ、ネクストステップです。でも少し上空で準備をしますので・・・ちょっと待ててください」
やれやれだぜ。プラネットイーターとなった俺はホログラムのアイと共にこの星の地下を喰い尽していた。
喰い尽したといってもむやみに、あたりかまわず大地を蝕んでいたわけではない。
ダンジョンコアのアイがこの星の歴史を紐解いた謎といえるものであった。
アイは海底神殿から地下シェルター都市に自ら出向き、この星にかつてあった高度文明と知識や歴史、そして産業技術をすべてサルベージしてきたのである。
この星は過去、地球のような多くの水が覆うような生命の泉のような惑星であった。太陽な恒星もありその星に住む知的生命体が順調に文明を育んでいた。
しかし、星の寿命というのは意外とはかないものであった。
銀河系規模の衝突という危機に見舞われたのだ。
衝突といっても二つの銀河が一つになるときに、惑星が銀河の外側にあったばかりに恒星の引力から弾き飛ばされただけなのである。
恒星の引力から外され、銀河の外に弾かれて自由浮遊惑星にいきなりになった訳ではない。
それでも数千年、数億年をかけて銀河衝突の影響が予想され対策をしてきたのであった。
それでも徐々に光のない氷の惑星になるように、恒星の公転軌道からそれた惑星は彗星のような自由浮遊惑星になるような劇的に変化するのが目に見えてわかったそうだ。
知的生命体が高度な文明を築ける星のことを、奇跡の星と呼ぶならばある時点から一気に環境が変わって文明がさほど発達できない準奇跡の星になってしまったのである。
知的生命体も大半はこの星の未来を見据えて大宇宙に飛び立っていった。
持ちろん、新たな安住の地を探す旅である。
しかし、全ての知的生命体が旅立ったわけではなかった。取り残された者は取り残された者達同士で準惑星に住むすべを見つけていたのである。
この星が生きてる限る安全な場所を確保する道である。光も大気もなくなる大地を捨て、地底に生きる場所を求めたのである。
地表の寒さが伝わらないぐらい深い場所、惑星の息吹で温まるぐらいの深い場所、そして地下水が凍らず循環するような深い場所を求めたのである。
数千年、いや数億年ものあいだ持続可能な生活をできる地下生活を目指してこの惑星の地下に数か所の都市を築きあげたのだ。
しかし、都市という者は人で成り立っているといっても過言ではない。いい人もいれば悪い人もいる。環境に適する進化というなの肉体を人工的に改造する者もいた。
そしていつでも弱者が強者の餌食になってしまう。それは人だけじゃない。ペットや食料となる獣や実験動物・・・不満や欲求は人を狂気にさせるのだ。
非生産的な閉鎖的な環境は独裁者を生み、暴力が蔓延しまいがちである。
地下都市同士の戦争や内戦、そしてクーデターといった持続可能な都市とはまったく無縁な廃墟となる都市が続出したのである。人々が消えて生きていくためのインフラだけは残る都市もあったのだ。
当然、危機的状況に対処するために宇宙に再び旅立つ者や、別の知的生命体に助けを求め、呼び寄せる者まで現れる。
それとは関係なく、地表に生命反応のない自由浮遊惑星を他の奇跡の星の知的生命体が偶然発見して私的探査や調査そして私的利用をする者もいたのだ。
地下シェルターのような安全を確保した数か所の地底都市にも闇の手を迫るのは当然かもしれない。
今回、俺とアイが地底都市跡に蔓延った悪鬼・悪魔と呼ばれる者たちの遺産をあさりに来たといった方がいいのかもしれない。
この地下の都市に眠っていたオーパーツ・・・・【秘宝ラビリンスシード】
いわゆるダンジョンの種である。
これを俺たちは未発芽といえるダンジョンの種を採掘しに来たのである。
どうしてここにあることがわかったのはアイが地底都市の資料から探しあてたからである。
【秘宝ラビリンスシード】についてアイが詳しく説明をしてくれた。
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誰もはいらなくなって利用もされないダンジョンが誰かに拾われて他の大地に移動するために【秘宝ラビリンスシード】になるとも言われる。
ダンジョンの種は廃坑のようになったダンジョンから生まれるのには理由があったのだ。ダンジョンマスターと言われるダンジョンのガーディアン倒され、ダンジョンコアが盗まれたり壊されたりするとダンジョンが自然と消滅する。しかし、消滅前にダンジョンコアは最後の仕事として【秘宝ラビリンスシード】を残すといわれている。
その【秘宝ラビリンスシード】にもランクがあるのだ。あまりにも凶悪なダンジョンで誰も入らなくなったダンジョンがあえて【秘宝ラビリンスシード】になる場合があるのだ。
人食いダンジョンと呼ばれるぐらい、人も寄り付かない程にダンジョンポイントを集めまくったダンジョンが自然消滅するが如く【秘宝ラビリンスシード】になったケースである。
それは悪鬼悪魔が魂を集めるが如く、ダンジョンを蠱毒の実験場として使っていたからである。
ダンジョンが蠱毒をするにはうってつけな理由としては、この地底でも大地でもいいが、この惑星の環境にあった最強個体をつくり、霊的存在である悪魔や妖魔のような存在から実在に乗り移ることを目的としたからである。
この奇跡の星から準奇跡の星に落ちた星にはびこる魑魅魍魎なる怨念の塊もダンジョンから生まれる悪鬼のような魔人の体を得ることにも使われたのだろう。
もちろん、魔人の体を得るために霊的存在なる悪魔たちもこの地底都市に残る住民の弱き心につけ込むことはたやすかっただろう。
上手く【秘宝ラビリンスシード】を活用できれば持続可能な生活どころか巨満の富さえ手に入る可能性があるからだ。なおかつ、地上の大地にダンジョンが出来ればかつての世界を取り戻せる可能性があるから悪魔の取引に乗ったことは非難されなかったのかもしれない。
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アイは俺に言ったのだ。
「地上にある生きたダンジョンはマスターのお父様たちが、無理やり精霊たちの力を利用して【秘宝ラビリンスシード】に変えてしまったのよ。それも・・・精霊の管理していたダンジョンをすべて・・・」
「どういうことなんだ。精霊の管理していた生きたダンジョンって?」
「惑星崩壊の危機を知った魔族たちが精霊の管理するダンジョンに逃げ込んで占拠したのは知っていますよね。ダンジョンを使って悪い魔族たちを生贄にしたのよ・・・そして【秘宝ラビリンスシード】を作って回収したんです。さすが元勇者、頭が切れ切れです」
「新たな魔王を生まないため・・・なのか・・・」
「そうです。心の弱い者を追い出して占拠する魔族は元勇者にとってはDPにしてもいい存在なんですよ・・・多分。それに元勇者は心弱き魔族や奴隷のように捨てられた魔族は亜人たちと一緒に避難させるところが人道的です」
俺の知らないところで、オヤジはいかんなく能力を発揮してたのか・・・
俺は少し悔しくもあり、すごく尊敬してしまった。
そんな俺にアイはオヤジたちの知らないであろう、古代からの原住民が住んでいた地下都市に遺産である【秘宝ラビリンスシード】をすべて回収を目指したのだ。
【秘宝ラビリンスシード】を回収すれば、霊的存在である悪魔ははびこる可能性があるが、生物兵器と呼ばれる魔王のような者が魔族を率いて世界の生態系を激変させるような実害を頻繁に起こすことがなくなるのだ。
俺は感慨深く【秘宝ラビリンスシード】を磨きながらダンジョンに転送した。
「そうだ言い忘れました、隔離していた精霊たちが元に戻りましたよ。さあ、準備ができました。早く次のステップに取り掛かりましょう」
「次のステップってなんだよアイ。俺にしかできないのかよ」
「マスターしかできないです。それに精霊たちもヒジリさんもヒイロさんもいろいろと仕込んおります。女神様に至っては創造できないようなプランを実行しております」
俺の知らないところで物々しくはじめっているようだ。
食い下がって聞いて、プレッシャーがかかっては上手くいくことでも行かなくなる可能性を考慮しているのであろう。さすが小心物の俺を理解しているようだ。
ここで反発してもいい結果が出ないことがわかっている俺はアイの指示通りにすることに決めた。
「アイどうすればいいんだよ」
「今から転送しますので。そこからこの星のマントルとまでとは言いませんがマグマが吹きあがる付近まで食べちゃってください。穴の横幅はダンジョンがすっぽる入るぐらいの幅でお願いしますね。その穴を40個程・・・・掘る場所は追って指示しますね」
「また無茶苦茶な・・・でもマグマが出るくらいの深さなら余裕かもな。アイじゃあすぐに転送してくれ!」
転送された俺はもくもくと大地を貪った。
何も考えず、暴食の神の如く大地に風穴を開け続けた。
大地に開いた大穴は古代の神聖な儀式に使うようなたたずまいはマグマから突然拭き出しそうになるほど、大地の息吹の如く神秘的な様相を醸し出していた。
大地にあいた暗闇から見える真っ赤な燃え上がる血液のようなマグマはこの星が生きたがっているようにも感じた。
俺はアイの指示の下、この星に40か所の穴を開けきった。
アイは大きく頷きながらもブツブツ言っている。
「どうしたんだアイ。この後どうすればいいんだ」
「この大陸に8ヶ所で反対側の半球には2か所で・・・もう一度計算しないと・・・マスター少し時間を下さい。ヒイロさんとヒジリさんと豊穣の女神の娘さんが来ますから・・・」
「え?え?来るって?何するの・・・」
訳も分からなくて少しすねたふりでもしようと思ったとき、強大な俺の体にダイビングしてくる不届き者が・・・・
ぽよ~ん、ぽよ~ん・・・・
「あのー私もいいですか!」
「いいよ~」
「楽しいから。早く来なさい」
ばゆーん。ちゃぽ~ん。ばる~ん・・・・
おいおい、お前ら~!俺は許可してないぞ。
ヒジリとヒイロは久しぶりに精霊攻殻武装をしている。それともう一人、【祈りの大森林】で出遭ったユニコーンに乗った少女も精霊攻殻武装をしてプラネットイーターをソファークッションのように堪能していた。
そこにもう一人の美少女が・・・生命の女神の娘も遅れてやってきた。
「いいなーなんで私を誘ってくれないんですか・・・それにこの荷物はどうしたらいいんですかー」
あーあーかわいそうキャラに決定しちゃったよ。ヤンデレのダークエロフになっていた罰だな。大丈夫・・・需要はあるぞ!ガンバレ・・エフ!
それにしても女性陣はかなりパワーアップしてるんじゃないか?
前に見た精霊攻殻武装より更に派手になってる。顔や腕や生足も・・・露出しているところは魔法文字?や紋様みたいなタツーが刻まれている。カラフルな攻殻武装にも負けない天女や天使のような高貴なローブが女性らしさの中にも強さが出ている。
それに武器ともいえる背中に生えた天使のような羽までもが攻殻武装になっている。
まさに攻殻武装戦乙女のようだ。
ヒイロはエフが来たのを確認すると、荷物を受け取り指示を出した。
「さあ、ここからは時間が勝負よ。あまり時間がないからね」
「ヒデにーも手伝ってよ。あと二つのお月さまが落ちてくるからよろしくね」
久しぶりに感情がついてこない・・・・何を言っているのかわからない状態になった・・・
「早くい来ましょう。私みたいにおいてかれますよ旦那様」
「えふ・・・二つの月ってあれの事だよね」
俺は真っ暗な空に浮かぶ大きな月を指さした。汗をみじましたエフは愛想笑いを浮かべながら答える。
「お月さまがだんだん大きく見えませんか。近づいてきてるんです。二つの月があちらの大海に落ちますから早くいきましょう」
「おーいヒジリー!!何するんだよーー!!聞いてないぞ」
「いいから私たちに力を貸してくれればいいのよ。気持ちよく出してくれればいいんだよ」
「ヒジリ・・・お兄ちゃんはそこらへんにいる犬や猫じゃないんだから、みんなの前で何を気持ちよく出せばいいんだ!」
ピンと来たヒイロはニヤニヤしながら俺の肩に首をのせて髪を撫でてくる。
「いっぱい出していいんだからね。みんなで一緒にいきましょう」
「私が先にいくよ。いっぱい使うからね」
「もういっちゃうの~私も早く出してスッキリしちゃう」
おいおい何だよ!この展開は!絶対アイの奴の作戦だろう・・・
もう読めたよ・・・
俺のエネルギーを吸い取る気満々だな。あーあ。わかったよ。俺もその言葉に乗ってエネルギーを出しまくってやろうじゃないか!
興奮した俺はヒイロを背中に乗せて指さした方向に向かった。
ヒイロの指示した場所にはすでにホログラムのアイが待っていた。
「おそい。もう時間が本当にないの!早くしてよ!」
「わかったわかった。準備は終わってるしイメージもできてるんだから任せてよ!みんあ行くわよ。フォメーション・ゴー!!」
「セット!アップ!OK!」
「「「OK!レディー・・・・GO!Fare!」」」
ヴォゥゥゥゥーーーン
・・・・
ドッッッカァーーーーン!
「あと4発!さあ!もう一度セット!アップ!OK!」
「「「OK!レディー・・・・GO!Fare!」」」
ヴォゥゥゥゥーーーン
・・・・
ドッッッカァーーーーン!
「まだまだ!ヒー君順次エネルギーを注入して~お・ね・が・い・・・あと3発!さあ!もう一度セット!アップ!OK!」
「「「OK!レディー・・・・GO!Fare!」」」
ヴォゥゥゥゥーーーン
・・・・
ドッッッカァーーーーン!
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
ヒイロ達は大地に向かって聖獣神砲というような物騒な巨大バズカーのような大砲を模した武器で大地に開いたマグマが露出した穴に各自5発づつ打ち込んだ。
俺はその穴からマグマが上がってこないかビビりながらも彼女達のエネルギー補給に努めた。
そして気付く・・・マグマが上がってこない・・・噴火の兆候どころかマグマがドンドン減っていく。5発目を打ち終わったときにはマグマがまったくなくなった。それどころかこの星が死んだようにマントルから湧き上がる熱さえなくなったようだ。
まさか・・・この星を殺してしまったのか!
盛大にやらかした!地球史上初!人類初だろう星殺しの聖女隊‼やばいやばすぎる!!
ヒイロは大きくため息をついてプラネットイーターの俺の上に落ちてきた・・
真似するようにヒイロもエフも豊穣の女神の娘も巨大なプラネットイーターの上に飛び込むように落ちてきた。
全員エネルギー切れでへばってしまった。俺は優しくエネルギーを補給してあげながら質問をした。
「ヒイロ・・・この星の命を止めたのか・・・殺したのか・・・」
「ちょっと違うよ。そうだな見てればいいよって言うのは無責任かな・・・このお星さまに少しショックを与えようとしているの・・・」
「ヒデにー。この星を荒治療してるのよ。つまり、半殺しにしたのよ」
「マスター騙されないで下さい。私たちはこの星のマントルを魔法で仮死状態にしたのです」
「エフそれもちょっと違うかな・・・仮死状態というより、石化の魔法をかけたんです」
「なんで・・・なんのために・・・・」
俺が慌てふためいて聞きなおしていると、彼女たちは一斉に空を指さした。
ここからでも十分大きくなった月が2つも見えた・・・
さらに大きく見える・・・
近づいてきたーーーー!!!!!
ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴ・ゴォォォォォォォーーーーーーー
ドズゥッゥゥッゥゥゥッゥゴズブグォォォッォォーーーーー!
時間さでまた爆音が!
ドズゥッゥゥッゥゥゥッゥゴズブグォォォッォォーーーーー!
そして陰謀のようにこの惑星の衛星といえる2つのお月さまが大海に落ちてしまった。
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