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36 人化の法

今回は人化の法です。人が神になれる可能性があるのか

そして魔神ヒイロも人間になれるのか?


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雨宿りの帰り道 君との距離が近づく黄昏時

雨音が二人の鼓動をかき消す 涙混じりの味がする

暗くなるのか瞳を閉じたのかわからない

それでも不安なの まだ涙がこぼれてしまうのはなぜ

薄目ではにかむ眼差し 抱きしめずにはいられない

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「妄想で脳内物質が出まくってるぞ・・・勝手なバラードを息子の前で朽津さむなオヤジ。ロマンスを感じる年でも無いと思うけど!歌いながら【のぞき!】はやめてくれ。通報するぞ!」


そもそも、なんでここにいるんだよ。それにここはどこだよ!まったく!


いっとくけど、オヤジは嬉しそうにKISSしろアピールしてるけどまだ!まだ!俺は生命の女神とKISSしていないから!キリッ!


それに決してヒイロが怖いからじゃないぞ。俺は彼女を愛しているからな。決してセクシーナ美人だからってビビっているわけでもないからな!キリッ!


「ヒデオお前と会うたびに新しい女性を見かけるな。羨ましいぞ」

「すいません。そちらのおっさんは知り合いだったんですか?先ほどナンパされたのですが、あまりにもしつこくて断ったら、それからずっとストーキングされてるんですけど」


やらかしてる。あーあ。やらかしている。やっぱりな!確定だよ!ギルティ!

義母が異世界にいないからって羽伸ばしてやがったぞ!


ホントにいいネタGETだぜ!


なぜか傘を俺に渡して、オヤジは口笛を吹きながらどこかに行こうとしてる。根はいい人なんだけど・・・あーあ残念だ。


「冗談冗談!栄誉はるたかの事を知ってるわよ。前の勇者。私の大事な破壊の申し子を殺した勇者。そして・・・あなたの本当のお父さん」


ようやく笑顔を取り戻した生命の女神は泥だらけのになった服をひと掃いした。

途端に光を放つような新品のローブに変わった。


オヤジは指を天に向けるといきなり雨が止んだ。

笑いながら演出演出と言って見せた。


どうやらオヤジも生命の女神のパートナーである天候を操る神のような真似事ができるようだ。


さすが元勇者というべきか、異世界に軍隊や特殊部隊を用意できるほどの力を持っているが使い方が・・・女を落とすためだったのか・・・


でも女神をおとせるなら大金星だよな・・・俺も絶対負けないからな!キリッ!


なんだろう・・・いつもの調子が出ない。オヤジが入るといつもそうだ!ペースが崩れる。そしていつの間にか丸く収まってしまう。


今回も既にオヤジと生命の女神は打ち合わせをしている?もしかして打ち合わせは終わっていたのか?


俺はまわりを見回すとはっきりわかった。

突然の雨でわからなかったが、視界がはっきりして確信した。


そういうことか・・・・

ここは丘の上の儀式の祭場で丘の下には軍隊が異世界の人々を誘導していた。

オヤジのところに度々指揮官らしき軍人が状況説明を入れ替わりでしていた。

この世界は滅びることが確定していたのである。


女神は少し悲しそうな顔をして俺に囁いた。


「聖女をこの地に招いて祝福をあたえたけど時間が足りなかった。ごめんなさい。この地に生まれた亜人や獣たちは避難は終わってるの。後は人とペット・・・そして奴隷だけよ」


オヤジもここぞとばかりに言ってくる。

「精霊の力を借りてたからスムーズに終わったぞ」

「オヤジもしかして・・・精霊がおかしくなっていたのは・・・」

「精霊たちはパワーアップしてたけど救助する目的がちがったから無理やり力を借りちゃったぞ。精霊たちには悪かったけど・・・母さんがいてくれたら苦しまなくてもできたかもしれんが、これでも元勇者だからな。精霊の力の引き出し方は熟知してるよ」ニコ!


オヤジのやりきった笑顔がくやしい。俺たちに残りの精霊救出やら神のダンジョン制覇の裏側でヒジリのおもりと異世界救助をやってのけやがった。


まあ・・・亜人や女神のナンパの件は・・・悔しいがだまっててやろう。


女神はこの丘で儀式の舞をしていたようだ。

何の舞かは一目瞭然だった。次々に人が石像に変わり、魂が天空に光と共に舞い上がっていった。


オヤジは口をあけながら見ている俺にこの奇跡ともいえる光景の説明をしてくれた。


「美しいだろヒデオ。パンドアラークからこの星に来た者の魂だ。まだこの異世界と呼べるこの星の歴史は浅い。だから、ほとんどの人間は石像を残して戻ることができるんだ。しかし、この世界で生を受けた者達は死なない限り空に戻れない。だから女神が救世主として現れ、一度、人を石化させてるんだよ」


「生命の女神が一人でやらないといけないのか・・・体!からだはどうするんだ!のこった石像‼石像をどうするんだ!」


「ほほー。ヒデオもこの石像の使い道を知っていたか。さすがパンドアラークの子孫」


オヤジの指摘はあってるようで間違っているがオヤジの方がくわしそうなので教えを求めてしまった。


「違うんだ。オヤジ、俺の目的の一つに生命の女神に石像のありかを教えてもらいたかったんだ。だけど、オヤジの言い方は石像についていろいろ知ってるんだろう。俺に教えてくれないか」


「教えるも何も、この石像に魂が入れば人として異世界転移できるんだよ。亜人の魂でも人になれるんだよ。逆に亜人の石像なら人の魂が入れば亜人になるし、男の石像なら女の魂が入いっても男になるんだよ。だがな・・・未熟な魂だと記憶を取られることがあるのが難点だな」


オヤジは一般常識のように話してくれた。俺はバカなふりをしてもう一度聞いた。


「もし神の体があれば神にもなれるのか!」

「能力やスキルがない神がな。でも、今のお前の体なら神の体になれるかもな。男の神だけど、ハッハッハ・・・」


女神が舞を突然やめてオヤジに反論した。


「人の体は老若男女の差は出ますけど、神の石像には男も女も老いも若いもないですからね。魂の輝きが違うんですよ」


「もし未熟なものが神の体に入るとどうなるんですか?」


「神の魂が人の石像に入ると魂が女神になるか男神になるか選択できるけど依代となる生贄が必要になってくるのよ、未熟な魂が神の石像に入れば変態をおこすのよ。例えばダークエルフになったりね」


女神も心あたりがあるように、俺も変態をおこしたダークエルフに心当たりがあった。

そして何が言いたいのかもわかってしまった。


寂しそうにほっとかれたオヤジは何が何だかわからないようで、ここぞとばかりに割りこんだ。


「丘の下にある石像は全部じゃないけど地球に持っていくってわかったろ」

「まさか・・・オヤジ、学園都市の住民を石像で蘇らせるのか!」

「当然だ!だけど学園都市は沈んだがな。何とかするよ。してくれよなヒデオ!」


俺に振られても困るよオヤジ。期待するな・・・

でもダンジョンの種があれば・・・でも規模が違うか・・・

オヤジには何か妙案があるのかもしれないが・・・


俺が眉毛をぴくぴくさせていると突然、目の前に転移魔法陣があられて光を放った。


光が消えるとともに豊穣の女神とみたこともない美少女が現れた。


豊穣の女神は俺の横に来て耳元に囁いた。

「おめでとう。あなたの母は女神になりましたよ」


俺はその囁き絶句してしまった。

まさかこの美少女が母上?


うふふ♡といいながらもう一度耳元で豊穣の女神は囁く。

「彼女はあなたの母ではないわよ。見ててよ」


降り立った美少女はワナワナ震え出している。

それ以上に生命の女神が堪えながら咽び泣き出した。


女神と美少女は足に力が入らないのか腰が抜けているのかわからないが、よろよろと近づきながら抱き合って泣き叫んだ。


ワァーンワァーンワァーン・・・・

エーンエーンエーン・・・・


「ウゥゥゥ・・・ママーわがままいってごめんなさいでも・・・復讐は終わったのよ。パパを殺した邪神が死んだのよ・・・オォォォォ・・・」


「心配で心配で・・・何処に行ったか・・探して・・・あなたをずっと探していたのよ・・・」


まさか・・・ダークエルフの正体って邪神のちかくで変身していた生命の女神の子供だったのか・・・


いつまでも抱き合っている親子を目にしながら豊穣の女神も涙ぐんでいた。


俺は豊穣の女神の背中を押してあげた。


豊穣の女神は気まずそうにしながら女神の親子の近くにいって謝罪した。


「ごめんさい。私がおかしくなったばかりに・・・」

「いいのよ。あなたがばっかりが悪かったんじゃないわ。この星のことを詳しく調査しなかったパンドアラークが悪いのよ。出なければこんな結果にならなかったのよ」


居直っていたのかばつが悪かったのかわからないが、気丈に振る舞っていた豊穣の女神は突然泣き出して女神親子と抱き合って謝り続けた。


ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい・・・・


感動的なシーンだが無常にも光があたりを包んだ。


転移魔法陣発動・・・・


俺と女神達はダンジョンマスタールームに転送していた。


なぜかオヤジは転移していない・・・気にしないでいこう。

多分オヤジはここぞといわんばかりにこそこそ動きはじめるだろうから・・

気にしない気にしない。


俺たちを待っていたのは石化の解けたダンジョンコアのアイであった。


「女神様ごきげんよう。あまり民の前で泣くのはいかがなものだとおもい転送させていただきました」


すかさず、母上が泣き崩れた女神たちに温めたおしぼりとテッシュ箱を渡してテーブル席に案内をした。


それより驚いたことに母上はホムンクルスの少女ではなくなっていた。


ヒイロもヒジリも負けじと、ケーキやらフルーツそして紅茶を用意してリラックスさせようとした。


母上はボーとしている俺に笑いかけてきた。


「ナイス告白!生命の女神も落とすなんてお父さんゆずりのプレイボーイさん」


不意を突かれた俺は挙動不審になってしまったが母たちはダンジョンマスタールームに戻ってから挙動を逐一、賢いアイが動画を撮っていたことを教えてくれた。


そして、何よりもここで起った奇跡の動画に驚いてしまった。


俺と生命の女神の会話から狂っていたダークエルフの体に何か得体の知れない未熟な神が入っているとわかったようで、豊穣の女神の力で奇跡をおこしていた。


豊穣の女神シータとダンジョンコアのアイは美少女にかかっていた呪の正体を暴いたのだ。


母上の入っていたホムンクルスの体とダークエルフの体、そしてダンジョンコアの石化像と聖女の石像を使って魂をつかって証明したのだ。


ダンジョンコアの魂がない石化像にダークエルフの魂を封魂した。

ダークエルフの体に変態した未熟な魂に奇跡が起きた。


美少女が蘇ったのだ。


ダークエルフの魂が抜けた亡骸を石化すると予想通りに神の石像に変わったのだ。

次にホムンクルスの体に入っている母上の魂が神の石像に封魂すると母上は女神になった。

ホムンクルスの体を石化すると、やはりこちらも神の石像になった。


聖女の亡骸の石像にヒイロの魂を封魂してヒイロは魔神から人間に戻った。

ヒイロの魔神の体を石化するとやはり神の石像になった。


ともあれダークエルフの体はもともと、美の女神の亡骸を生命の女神が石化して保存していた状態だった。その石化した神の石像に死んだ父親の復讐のために、変装するために自ら娘が魂を封魂したと語ったそうだ。


さすが生命の女神と錬金生産の神の間に産れた少女である。


神の子の美少女にライバル心を燃やしはじめたヒジリとヒイロはいつか母上のような女神になりたいようで神の石像を綺麗に拭いていた。


この部屋にホムンクルスだった神の石像と魔神だった神の石像2体が大切に保管されることになったのだ。もちろん、アイの義体は保存するつもりはないらしい。

バリバリ活用すると宣言していた。


アイは続けざまに俺に次のアクションを司令を与えるべくまたもや選択をさせた。


「マスター。まだこの星を生かしますか。それともこの星を別の目的に活かせますか」

「別の目的ってなんだよ」


俺はこの質問に即答で疑問を疑問で答えた。


アイはニコっとしながら無理やり俺を魔法陣で転送させたのである。


唯一救いは擬態のアイと封印娘たちも一緒に来たことかな。

転送してきた場所はやはりというか海底神殿の地下一階である。


擬態のアイは俺の真正面に立ち、深く深呼吸をして目をぐわっと開いた。

「ここからが正念場です。私は地下に潜ってできるだけ多くの情報を集めます。木の精霊と聖獣もこの世界の各地にあるダンジョンの制圧にかかっています。女神様達は栄誉ハルタカのところに行かせます。ヒイロとヒジリさんは始まりの洞窟に向かってます」


「俺達はどうすればいいんだ」


「俺たちじゃありません。ここからは単独で動いてください。マスターは【神宿りの塔】【海鳴りの祠】【始まり洞窟】のダンジョンコアを人化させてください。一応聞きますが、子供じゃないから一人で出来まちゅか?」


絶対アイは俺をバカにしている。それとも挑発しているのか。でも時間がないから一人で行かせたいのだろう。ここは調子を大人としてあわせてあげなくては。


「ふざけんなよ。一人で大丈夫に決まってるだろ。早くいけよ。子供は子供同士でつるんでろ」


「わかった・・・・えっ?」


「ほほー。我をお子様とな・・・」


真祖吸血鬼がアイの話を喰い気味で割りこもうとしたが俺も喰い気味で返す。


「冗談ですよ。一人で行かせてもらいます。なにせ博識な師匠達がいれば俺なんか役立たずですから」


俺は厄介ごとにまきこまれないように低姿勢で素早く【神宿りの塔】【海鳴りの祠】【始まり洞窟】のダンジョンマスタールームに魔法陣を展開して向かった。


光につつまれながら【神宿りの塔】に向かうとフェイファとラミがダンジョンコアをもって待っていた。


さすが合体ダンジョンコアを移動しても問題ないようだ。

でも、まじまじ見ると、多少【海鳴りの祠】の方がダンジョンコアは小さいようだ。


俺は二つを同時に持って邪神の力を解放した。


ラミは俺が力を込めるのを確かめると転移魔法で【海鳴りの祠】のダンジョンマスタールームに向かった。


ファイファいわく、ダンジョンとタワーの設定を同時に同期させるといっていた。


既にファイファのダンジョンの細かい設定も余裕のようで、ダンジョンポイントと呼ばれるDPの数値計算をしながらカスタマイズに余念がなかった。


ときより、独り言のようにしゃべっている。どうやらラミと通信をしているようだ。


俺は調子が悪いのか二つ同時がいけなかったのか、なかなか人化できなかった。


ファイファは少し心配してくれたのか、思いかけず励ましてくれた。


「ガンバレ頑張れパーパ。世界一の私のパーパ。フレフレパーパ。いけいけパーパ・・・」


設定をもくもくして汗を流しながら応援するフェイファの為にも力が溢れだす。


一瞬はじけたような感覚になった俺はプラネットイーターに瞬間的に変わったがその余剰エネルギーを突っ込むイメージでダンジョンコアにエネルギーを満たした。


ダンジョンコアはだんだんと明るく温かくなり始めた。


ここまでくれば後は持っているだけで良かったようで、俺の腕にぶら下がる猿のようにダンジョンコアが人化したのだ。


「「ごめんなさい旦那様。前の旦那様の不在の期間が長くて欲求不満じゃなくてエネルギー不足でした」」


声まで同時かよ。それに欲求不満てなんだよ。前の旦那様って多分・・・豊穣の女神の旦那の天候を操る神だよな・・・気性も荒かったのかな。気象だけに。ニヤッ!


「パパなにをにやけてるんですか」


俺は怒られながらも魔法陣を展開して【始まりの洞窟】に向かったのだ。

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