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31 クーデター

ブックマーク宜しくお願いします。


世界樹のダンジョンコアの制圧する回です。

しかしこの裏で怪しい事件が勃発していた。

「マスターのお好みということでアンティークエレガントテイストを目指してプロヴァンス風に改装を致しました」

「ありがとう。アイ。でどうするんだ世界樹を・・・」

「あのー始めまして。これからはグランドマスターと呼べばよろしいですか」


おいおい、また増えたよダンジョンコア幼女・・・


「マスター。言っておきますが私がダンジョンコアを人体化したわけではありませんから」

「アイ・・・いつから俺の心の声がわかるようになったのかな?」

「あのー。グランドマスター。私の名前は新しくつけてくれますか。それとも以前使っていた名前をそのまま使用しますか」


アイは俺の話をそらすように小さな幼女を手を繋ぎ必至で幼女の話を進めた。


「このダンジョンコアに新しい名前をつけるということはダンジョンに関わる知識や歴史といった物が変質する可能性があります。名前をつけ直さない方がよろしいですマスター」


「そう言うものなのか・・・ではアイ。先ほどの件は後で・・・とりあえず・・・えー・・

かわいいコアちゃん。名前を教えてくれるかな」


「やさしいグランドマスターありがとう。この名前は女神様がつけてくれたのよ。私の名前は葉野雫ハノシズクっていいます。前は無機質なダンジョンコアだった私を遠くの世界から来た勇者と聖女様のお力で人間の姿にしてくれたんだ。女神様も喜んで聖女様の名前にちなんでつけてくれたんです」


なんだろう・・・凄く・・ものすごくやな予感がする。世界樹のダンジョンコア・・・世界樹のはのしずく・・・・葉野雫・・・ってオヤギャクかよ・・・このセンスは・・・


オヤジ?


そうか遠くの世界からきた勇者って間違いないオヤジだろう。聖女は母上かもしれないが・・・違ったらどうしよう・・・


ともかく、過去に元勇者が関わっていた形跡があるということは、早急に調べないと・・・


「同期バックアップ完了ですマスター。知りたい事があれば、私が代わりに答えることが可能ですよ」


「はぁ。やっぱりアイ!お前は俺の心が読めるのか」


俺は確信をもってアイを責め立てた。


「えーっと。こんなに早くばれるとは私をした事が・・・すいませんマスター。ダンジョンコアの私も少しはばかり修行をさせていただきました。修行といっても封印娘たちの研究データを利用しただけなんですが・・・」


「お前は封印娘たちから何を学習したんだよ。男を喜ばせるあれか?」


「さすがマスター。下衆の極みですね。私は人間であるマスター表情筋を読むことで、何を思っているのか、何を考えているのか推測したにすぎません。私は人間の心を深く理解したいだけなんです」


俺は下衆の極みか。そうかもしれないな。人としてあつかってなかったのかなアイ。心を理解するのは俺の方かもな。


いつも頭が悪い俺をフォローするように、一歩早く策略をめぐらせ対処しているアイが羨ましかったのかな・・・


俺は少し落ち込んでいるとアイはケロッとした顔で葉野雫にこそこそと話をしている。


「しずくちゃんも少しアップデートしたからね。この能力さえあれば男を手玉にとれるわ。いい女になる第一歩よ!」


イヤーン!弟子を取りやがった!下衆の極みがまた一人生まれてしまったぞ。


これから俺は女をまともに見れなくなってしまうじゃないかー!


「女の秘密に深入りしない方がいいわよ。ヒー君」

「そうよヒデにー。細かいことは気にしない。少しは男の器量を見せなさい」


おおー!ここにも俺の心が読める彼女がいたー!それに、男を成長させようとする妹まで・・・・ぐぬぬぅ・・・


絶対母上の花嫁修業の成果だよ。恐るべしいい返すこともできない。


「よろしいですかグランドマスター。先に状況報告しますか、それとも食事、お風呂にしますか、それとも・・・わ・・た・・し・・・・こうすればいいんですかアイお姉様」


俺は久しぶりに無詠唱で光る特大ハリセンをフルスイングしてしまった。


「幼気な幼女に何を教えとるんじゃ!このボケ!」


ダンジョンコアのアイの姿が一瞬ブレ、そのままハリセンが体を通過した。


「既に、同期バックアップが修了しましたので擬態を回収しております。マスター。そんなに私の体に触りたいならDPを払って下さい。DPの分だけ奉仕を致します」


やられた・・・ますます賢く、俺の行動を分析してやがる。俺のライバルに認定しちゃうぞアイ!


「すごーい!アイお姉様♡私にもできますか」


おいおいますます、俺より株を上げあがる。でも。俺の株もあがったみたいだ。


「あのハリセンでぶたれたら。結構いいかも」

「彼女さんはまだ叩かれたことはないんですか。結構すごいらしいですよ。火の精霊エフリートいわく、一瞬で天国に行けるっていってましたよ」


ホログラムのアイよ。なぜ悔しそうな顔する。

そういうことか・・・お前もエフリートと同類として見るからな!


「ごめんなさい。アイお姉様は悪くないんです。ぶつなら私をぶってください。さあどうぞ!」


「違うんだ。誤解だ。そうそう。これはコミュニケーションの一環だ。勘違いするな。それより、なぜ服を脱ごうとする!」


思わず慌てふためいく俺だが、それより何?このカオスな状況は!また、ダンジョンコアに悪い影響が出ているのかもしれない。また変な病気にかかっていたのかな。


絶対オヤジが関わってるよ。葉野雫の素がメンへラちゃんなら近寄りたくないぞ。


でも、状況説明だけ聞いて退散しなければ!


俺は油汗をたらしながらその場を取りつないだ。

ヒイロとヒジリにも聞こえるように大きな声で棒読みする。


「そうだーしずくよー・・・グランドマスターに現状を報告しないのか。だめなダンジョンコアだなー」


「ダメって言わないでグランドマスター。雫は頑張るから・・・捨てないで・・・すぐに報告いたしますから、お願いです」


「は・や・くー。ほぉおこぉくぅしぃなぁさぁーい!」


何やってるんだ俺。アホっぽくなってるぞ。まあいいか。雫も涙を拭いて報告をするようだからな・・・あーつかれる。


やっと本題のである雫が報告を始めようとしたときだった。いや、このタイミングを狙ったのかアイが床に魔法陣が現れて俺たちを転送したのだ。


「マスター、祈り大森林のダンジョンマスタールームは素材の手触り感をいかしたナチュラルテイストを基本に北欧風に改装を致しました」

「ありがとう。アイ。まさかとは思うが、手に入れたダンジョンマスタールームをラブホのようにしようと考えてないか?」

「新鮮でいいじゃないのヒー君。雰囲気が変わると刺激も変わるのよ」

「ヒデにー。なにこれー乗れないよ。この木で出来た△の形をした馬」


俺はデジャブを見ているのだろうか。


いきなり転送されたのはいいが、またカオスのような状況になる予感しかしない。


だって、俺は再びアイに無詠唱で光る特大ハリセンをフルスイングすると、顔面からダイブする擬態のダンジョンコアがいるんだもん。


そんなにハリセンを喰らいたかったのか。ホログラムじゃなく擬態になったアイがいたからだ。


お前は何を学びたいんだアイよ。うっとりするな。そしてパンツを脱いで尻を向けて叩けと指示するな。


まったくカオスだよ。


それより、俺の前モジモジする知らない幼女と少女は誰だよ。


ヒジリに部屋にある道具を使い方と効果などを詳しく説明するヒイロは片手で競馬で使うような鞭をもっているが気にしないようにしよう。


でも、ペロッと舌を舐めて俺のほうを向くヒイロは額に第3の目が開眼している。


この部屋には邪気が満ちているのかもしれんが、モジモジしている幼女と少女の肩を優しく叩き、隅の方に誘導し始めている。


俺は魔神に覚醒しているヒイロを止めようとした。


すると、ヒジリが俺を阻止するように俺の左の腕に絡みつくように腕を組んで阻止する。


「ヒジリ、ヒーちゃんを止めないと・・・」

「ヒデにー。待って!そんなに慌てないで少し見てみましょうよ」


おいおい、どうしたんだヒジリ・・・お前まで・・・新たな大人の階段を歩もうとしているのか・・・まだ早い・・・違う‼違う!目覚めちゃいけない。開けてはいけない扉もあるんだ・・・


と言いつつも声を出してない俺は・・・期待しているというのか・・・


母上俺は・・・悪い子になってしまいました。


俺は誠心誠意、可愛い幼気な兎たちの解体を見るような気持ちでぐっとこらえながらも心で謝罪をしていた。



バシッシ!「イタッ!」

バシッシ!「痛いよー。やめて」


「いい加減正体を現しなさい。あなたは何者」

「そうよ。そうよ。何従順なふりして拘束されてるのよ。ヒデにーも騙されないで」

「どういうことなんだヒイロ」


ヒイロはアイを指さした。

「いい加減気付いたらヒー君。ラブダンジョンが危機に陥ってたのよ。多分もう大丈夫みたいだけどね」


「ヒデにー!本当鈍感なんだから。女の危機に気付かないのかなー。彼女さんが可愛そう」


「気にしないでいいのよ。ヒジリちゃん。彼氏の尻拭いは・・・出来た!そう出来た彼女の役目何ですから。ホーッホッホ!」


俺は眼の前でなんの茶番を見せられているのだろう。呆然としている俺の前に再び光る魔法陣が現れラブダンジョンに転移したのであった。


ラブダンジョンに光る魔法陣から現れた俺は眼の前で息を切らした精霊たちがいたのだ。


「安心してください。パパ。ラミと一緒に全員拘束したよ」

「お父さん。凄いでしょ。フェイファったらもっと凄いのよ。アイみたいにダンジョンを上手に操作したんだから」


俺は世界樹での戦闘から見ていなかった、ラミとフェイファの頑張りをこの時に知ったのだ。


詳しく精霊たちの話を聞くと、裏ではとんでもないことが起こっていた。


それは封印娘たちのクーデェターというべき反乱がラブダンジョンで起こっていたのだ。


原因はもちろん、【祈りの大森林】のダンジョンマスターとダークエルフのエフが持ち込んだ呪ともいえる異世界に渦巻く怨念が原因だった。


フェイファとラミは木の精霊、木の聖獣と【祈りの大森林】からラブダンジョンにおこるであろう危機を予想していたという。


そう言えば、ダークエルフのエフも少しおかしくなっていた。そして、【祈りの大森林】にできたクレーターに火の鳥と不死鳥がなぜか降りてこなかったのはこの事を話していたのかもしれない。


それにダンジョンコアのアイもホログラムからなぜか擬態に変わったりまたホログラムになったりとおかしかったな。


それにやたら、俺の心を読みまくってたのはアイの心を読めという緊急信号だったのかも・・・俺は本当に駄目なアイのマスターだったんだ。


俺は後悔しながら、ヒジリとヒイロにも聞いた。


「ヒーちゃんも【祈りの大森林】のダンジョンコアとダンジョンマスターを拘束したのはラブダンジョンで起こっているクーデターの事実を知っていたの?」


「私とヒジリちゃんは世界樹の枝にぶつかりながら落下したとき火の鳥と不死鳥に救ってくれたの。そのときに木の精霊ちゃんに【祈りの大森林】のダンジョンマスターの少女と旧異世界住人のダークエルフが一緒に天に上がっていった事実から心配してるって聞いたのよ。それに魔神眼も使ったしね。」


「ヒデにーは気付いてなかったの?さすがアイちゃんだわ。でも、そのせいで本体は石化が解けなくなってるのかな?なんてね」


ヒジリから言われて俺はラブダンジョンのマスタールームのメイン室ともよべる部屋に飛び込んだ。


リビングダイニングルームと併設しているオーディオ編集室のようなダンジョンを動かすメインルームに入ると、指を指しながら石化しているアイがいた。


「アイ・・・どうして・・・・一言俺にそうだんしてくれれば・・・」


俺は石化したアイをかかえながらその場でうずくまり泣き出した。


「何を泣いてるんですかマスター。いちいち面倒くさい人ですね。子供の子守りまで勘弁です」


俺の後ろからいい子いい子してくれる、擬態のアイがいたのだ。


「へ?」


「へじゃありません。石化した状態でも分身や擬態にのりうつるなんて簡単です。それに賢いフェイファにラミもいるんですよ。それにマスターにはまた心強い娘が出来たんで助かりました」


「へ?」


「へじゃないですって。もう。マスターの邪神のエネルギーを得て生まれ変わった木の精霊幼女と木の聖獣幼女ですよ。彼女たちも使えるわー。よっぽど使える。あー使える」


指を空中に浮かぶモニターを指した。ダンジョンの中で閉じ込め拘束されている精霊たちを指さしていた。


あーあ。火の精霊のエフリートは裸で踊り狂いながら歌ってるよ。あーあ、ヨダレを拭いてあげたい。


俺は擬態のアイにモニターを閉じるように指示すると、そっとモニターを消してくれた。


ありがとう。アイ・・・お前には本当に苦労をかけるね・・・


「それより、アイ早く石化を解いてくれないか」


「実は解けないんです。事情があって・・・」


沈黙になった擬態のアイは俺をリビングダイニングルームに引っ張るように俺を移動させるように促した。


部屋に入るやいなや、竜人のミューが片膝をついたまま俺に従う姿勢を見せていた。


「ご主人様、イフを再び簡易封印させていただきました」


モニターに映し出されたダークエルフのイフはラブダンジョンのどこかにつくられた部屋に石化状態で閉じ込められているようだ。


「バニラ師匠は?真祖吸血鬼の幼女は・・・」


「あやつは・・・敵になったふりをして他の封印娘たちの尾行しております。つくづく食えない奴ですよ。まったく。フン」


「クオンも敵にまわったのか・・・」


「敵にまわってませんよ。妖狐のクオンはドMのホムンクルスと【祈りの大森林】のダンジョンマスタールームであったでしょう。拘束放置してきて正解ですよ」


まさか・・・クオンまで・・・そっちの癖があるなんて・・・わざわざ【祈りの大森林】のダンジョンマスターとダンジョンコアに変身してお仕置きしてもらおうとしたのかよ。


がっかりだよ。


でもさすが師匠。多分すべてお見通しなんだろうな。結界が弱まっているって言ってたから裏切者をあぶり出したのかな?今はただ待つしかないかもな・・・


俺はミューに現状を確認した。


①【祈りの大森林】のダンジョンコアは取り合えずラブダンジョンの子ダンジョンになった。ダンジョンコアは人化はしているが危険を察知したクオンが保護して入れ替わった。

ちなみに人化したダンジョンコアはクオンが一時的に△木馬に変身させている。また、ダンジョンコアを人化させたのは・・・多分オヤジである。名前はまだ聞いてないそうだ。


②この異世界自体の精霊封印の力が弱まり、古のケモノ達が蘇り始めている。封印娘達の一部が【祈りの大森林】のダンジョンマスタールームを襲ったように【世界樹】のダンジョンコアのいるダンジョンマスタールームを襲わせようと葉野雫は現在はおとり状態にしている。現在、【世界樹】に精通している木の精霊と木の聖獣もダンジョン内に潜伏させている。ちなみに【世界樹】のマスターは以前は生命の女神だったが【世界樹】のダンジョンを放棄したそうだ。依然、生命の女神の行方はわからない。


③【祈りの大森林】も【世界樹】同様に現在のダンジョンコアの制御は親ダンジョンであるラブダンジョンで制御している。


④【祈りの大森林】のダンジョンコアの幼女とダンジョンマスターの少女は現在ラブダンジョン内にある部屋で検査中である。


報告を聞いた俺はもう一度ミューとアイに確認した。


「【祈りの大森林】のダンジョンマスタールームを制圧した封印娘たちはそのまま【世界樹】のダンジョン攻略を始めたという理解でいいのか」


「そうです。洗脳状態になったイフがクーデターを起こさなければ既に終わっていたのですが、戻て来たイフが彼女たちをそそのかしたのです。でも調査の結果、新たな事実が見つかりました。生産召喚の神と言われた神が死ぬ前に新たにダンジョンを作っていたそうです。そこにこの異世界にかかっている呪や怨念といったものを封印強化する装置があるそうです」


「でも・・・海底にあるんですよ。難航不落の海底神殿。攻略できますか?」


俺は不安になっている竜人のミューの頭をなでながら不安を払拭させようとした。


「アイの石化も治るのか?」


「イフ達にかけられている呪が解ければ治ると思います」


ヒジリもヒイロも俺の手を繋ぎ大きく頷いて俺を励ましてくれたのである。


ラミをフェイファも擬態のアイの指導のもと、【祈りの大森林】と【世界樹】のダンジョンの監視と管理方法を学びはじめたのであった。

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