30 世界樹
キャトルミューティレーションって知ってますか。
そう言えば、牛が舞い上がりさらわれたりするニュースが過去にあったなー
今回は世界樹を攻略します。
ブックマークとご評価してください。
ご意見ご感想もお待ちしてまーす。
「遅くなりましたマスター。エフは回収します。調整は任せてください!」
ピッ!
ドババババババーーー!
「キャッ!あれぇーーー!」
少女と一緒にエフが空に昇っていくぞ・・・・あーあ、小さくなって・・・見えなくなった。うん?また見えた?・・・・また小さくなって上がっていった。
エッ!なぜ、ダンジョンマスターのアイが俺の横にいる?
俺は恐る恐るアイをさわるとアイの体に手がすっと入った。立体映像のホログラムのようにチカチカと光りながらときより歪んだ。
「マスター。ダンジョンから立体映像を照射しております。私に触りたいようでしたら、次はDPを頂きますから。もし私の体が目当てですぐDPをいただけるようであれば魔法で擬態を用意しますが・・・この変態!」
ゾクッ!
おーこれこれ!もっと罵っていいぞ。でもDPよこせといっても・・・俺のエネルギーを取られそうだな。まだ保留だな!
少しは冷静になった俺は。一度咳払いしてホログラムのアイに話かける。
「ゴホン!アイ!お前は極悪宇宙人か!キャトルミューティレーションをするんじゃない」
「だったら阻止すればいいでしょうマスター。それにマスターも空に昇って絶景を見てください。この星の美しさを味わって貰おうと転移魔法の代わりを考えたんですからね」
アイは絶対、俺を宇宙から飛び下リさせたかったんだ。だって、エフたちにも一度、途中で落としたからね。
冷静になった俺とは抽象的に目をキラキラしてる二人がいた。キャトルミューティレーションは遊園地にあるフリーホールとかジェットコースターとは違うんだぞ!
「おーい!アイー。私にもやってー。おもしろそー!!」
「だめよー。私がさきよーアイー!」
「わかりましたー。すぐやりますねー」
ヒジリもヒイロもノリノリだなー。でもアイの安請け合いは何かぜったい企んでいる!
それより、エルフの集団がまた大森林からこちらにわらわらと向かってくるぞ。
クレーターになっているとはいえ、四方八方から向かってこられるとヤバいな。
半径500mの中心には俺たちを崇めているように土下座をしている集団がいた。
そして、中心の空には聖獣鳥たちが舞っている。そしてダメ押しで光の柱がほとばしりながら、ダークエルフと少女が天に昇っていったのだ。
まさか、俺たちはやらかしているかも・・・絶対、原因はアイのせいだよな。光とともに現れ、また俺たちをどこかに運ぼうとしてる?
いやヒジリとヒイロのテンションの上がり方でまたまた奇跡だーなんて叫ぶエフがいやがる。
俺たち目指して、クレーターを埋め尽くすような見たこともない亜人の種族達まで集まろうしている。
「お前ら森林の何処にかくれてやがったんだよー!ってアイ!俺は天に向かって浮いてるぞ!」
「ヒー君楽しいね。キャッキャ」
「ヒデにー。捕まるところがないからってエッチなところをさわらないでよ」
ごめんヒジリ、それをさきに言われるとますますラッキースケベの神様から無視されてるんだぞ。
「きゃー。ゆれてるーこわぁいよーヒー君!」
プニプニ
おーお。腕を組んだヒイロの魔神があたってる。ラッキー痴女女神がここにいた!
「あのー。自動で昇ってるだけで揺れてないんですけど・・・・キャー!」
はい、一瞬落下した!
なぜか俺のズボンも一瞬で足元に落下した。
おいおい!ホログラムのアイが勝ち誇ったようにピースしたぞ!ヒジリもピースしてやがる・・・・組んでるな。エッ!ヒイロまで・・・
「あーあ。大変。たいへん」
ヒイロ大変といいながらも、俺のズボンをゆっくり見つめながら腰まであげないでください。邪神様の怒りに触れたら大変になるだろう。
まさか、これも母上から伝授された花嫁修業の成果かも・・・ダンジョンマスターアイも密かに研究したのかもしれないな。恐るべし。
「マスター。いいですか、大地を見下ろして下さい。さっきまでいたところはあっちですから。クレーターに見えるところにいる亜人達を大森林が飲み込みますよ」
「エッ。大森林が飲み込むっていっても生きものじゃないから・・・って飲み込んだよー!」
ゴッゴゴッゴーーーー!バッッックーー!!
俺はひいた。引きまくった。ドン引きだよ!
その横で笑っているヒジリとヒイロがいた。
「ヒー君の方が迫力あるね」
「ヒデにーは飲み込むだけじゃなく容赦なくかみ砕いたりするからね」
おいおい、プラネットイーターの俺の方が惨いのかよ・・・・でも、客観てきに大地を喰らったところを初めて見たけど・・・かなりやばいな・・・
俺は少し反省しながらもアイに聞いた。
「アイ。なぜ、大森林が亜人達を飲み込むってわかったんだ」
「マスター。さっきラブダンジョンに回収したのはエフだけではありませんよ。この【祈りの大森林】と呼ばれる小さな森林迷宮の主もいましたので・・・」
「やったな。アイ」
「やらかしましたと言っていいんですかね。まー御想像のとおり【祈りの大森林】のダンジョンコアをこちら側で制圧させていただきました」
まさかのダンジョンマスターを使っての陽動作戦かよ。
それに封印娘達が暗躍させれば異世界にあるダンジョンは簡単に無力化するだろうな。
俺はアイを嗜めようとしたとき、また落下してしまった。
それは落下の一瞬前にホログラムのアイが消えたのと同時であった。
あーれーーー‼・・・・ドサッ!バサササァ!ベッチャ・・・・
スライムを落下させたような水溜りから復活する俺は空に向かって大声で叫んだ。
「おいおい、途中で止めてくれないのかよ。落下死するかもしれないぞ」
シュン!ピッ!
再び俺の横にホログラムのアイが現れた。
ピッ!
ドババババババーーー!
遅れてヒジリとヒイロが世界樹の枝をかき分けながら落ちてきた。
ナイスクッション!ヒイロとヒジリを火の鳥と不死鳥が空中でキャッチした。
しかし、ヒイロとヒジリを大地に降ろさず、そのまま空に舞い上がっていった。
凄ーい!キャハハア・・・・気持ち・・・いいよーー・・・ハハッハ・・
二人の目的が微妙に変わっているが俺は気にしない。
それより、ホログラムのアイに俺は怒りを向ける。
「チョーップ!エイ!って当った!ホログラムじゃないのかアイ」
「マスター。この体は擬態です。どうしても衛星軌道上からの操作だと映像が乱れたり、通信が消えるので、落下の危険性が出てきますので急遽擬態を送らせていただきました。これで不安定要素が20%減少しました」
「遅いよ。既に落下をしてしまったよ。それより、この木が世界樹と呼ばれる木なのか?でかいな・・・・でも、大森林からは見えなかったぞ」
目の前には大森林から空に向かってそびえたつ数千m級の世界樹の木。幹の太さだけで半径数十kmもあるだろうか。近づけば近づく程、天に突き刺す塔のようであった。
それに、途方もなく張り出す枝は大森林に覆いかぶさる傘みたいだ。
「多重結界が張っておりましたので、祈りの大森林のダンジョンマスターの権限で一部解除させましたのでこの場に侵入できたのです。もちろんこの世界樹と呼ばれる不思議な迷宮・・・いやレガシーとも呼べる文明跡地のような遺跡郡の中に、【祈りの大森林】の親ダンジョンコアと親ダンジョンマスターがいるはずです」
なるほど、わざわざ擬態を持ち出したアイの目的はダンジョンコアの制圧なのか。それより、ここに封印娘たちが現れないということはまだまだ、アイが暗躍させているのか。
そんなことを考えているとアイが俺の腕の裾をつかみ,世界樹の中腹を指を指した。
「アイ。どうしたんだよ」
「マスター。解析が終わりました。ここにはダンジョンマスターがおりません。しかしダンジョンコアはあそこから侵入すれば制圧は可能ですが・・・その前に残魂の形跡があるのでお知らせを」
「残魂の形跡とはなんだよアイ」
擬態のアイは俺に触れたまま世界樹の中腹にある幹に開いた入口のような場所に転移した。
入口といっても見た目は普通の幹であったが、幹に宝石らしき光る岩が埋まっていた。
光る岩に触れた擬態のアイは何かをしゃべる始めた。多分、封印か結界を解いていたのかもしれない。
光る岩が緑から赤に変わりながら光量がまし、黄色と赤色に点滅を始めると、幹に大きな穴が開いたような入口が出来た。
俺とアイはその入口らしき門を抜けると世界樹の中に入っていった。
世界樹の幹の中は無音で少し蒸し暑く生暖かい空気がよどんでいた。真っ暗な幹にあいた迷路のような木の穴をしばらく歩くと、また、アイが俺の服の袖をつかんだ。
やはり光る緑の岩があった。通路の右側にある木の通路に刺さっている緑の岩をさわりながらしゃべるアイ。
俺は通路の前後を警戒しながらアイを見守った。すると、光る緑の岩が黄色と赤の点滅し始めて、通路に新たな入口が出来た。
擬態でありながらも、遠隔操作しているようなアイは額に流れていない汗を拭うような仕草を見せた。
「マスター。この先のトラップも解除できましたので・・・このまま私を抱えて進んでください。そして、次に左に光る石があったところで私を下してください」
俺はわかったといいながらアイを抱えて、真っ暗な世界樹の幹の中を進み続けた。
この後、4回程、光る緑の岩の前にアイを下ろして結界を解除しながら、秘密の通路を進んでいた。
しかし、5つ目の光る赤い岩の前に来るととんでもないことがおこったのだ。
「すべての守護者と呼ばれるガーディアンを避けてここまで来ました。後はここを通るだけです。さあ私を抱えて進んでください。絶対に私を落とさないでください。マスターよろしくお願いします」
「よいしょっと。うん。別に落とすはずないじゃないかアイ・・・アイ”!ギャーーー!」
舐めていた。本当にナメていた。俺はエクストラハードモードで攻略をしていたのだ。
擬態のアイを抱えたまま、世界樹と呼ばれる神秘のダンジョンの制御室と呼ばれるダンジョンマスタールームまで落下したのだ。
俺は途中からスライムのような形になった俺は擬態のアイを包みこむように落下を続けた。
ベッチャ。プルンプルン・・・・・
何とかうまく着地できたようだ。擬態のアイも無事である。
先ほどまでの真っ暗な通路とは対照に針のような光の点が天井に見える。そして、強大な島亀親子でも住めるような大地が広がっている。
比較的明るいくなったこの空間には光を発する植物がいたるところに生えていた。
キョロキョロしている俺とは対照的に壁を調べるアイ。
「何してるんだアイ」
「マスター。当然ダンジョンコアが隠されている部屋を探しています。そうだ、あまり中心には行かないで下さいね」
俺はアイが何を言いたいかこの後すぐわかった。
だって足元の土から腕が生えてきたのだ。アンデッドが大地からワラワラとわき始めたのだ!思わず、アイを抱えて走り出した。しかし、直ぐに大地から蔓が生え始めて俺の足をつかみ、盛大に俺を転ばそうとしたが、咄嗟にスライムに変身した俺はアイを守ったのだ。
一応アイの様子を確認すると、いくつかの光る黄色の岩が見えたのでアイを守りながら、アイに結界を解除を任せた。
7つ目の黄色の岩を解除したときにようやく、アンデッドの集団は塵のように崩れ去り蔓状の動く草たちは枯れ始めた。
俺はこれで終わったと少し安堵をした。
でも、これが不味かった。腰を下ろした石が何と、埋められた何かの石像だったのだ。
石像に座った状態で金縛りのようになった俺からエネルギーを吸い始めた石像が大地から蘇り始めた。
動けない俺とは裏腹に擬態のアイは再びダンジョンコアが設置してある部屋を探すように壁伝いに調査を始めていた。
このことを早くアイに知らせたいが金縛り状態の俺は声が出ない。
まずい。まずい。一体。もう一体と続々と埋まっていた石像たちが大地からタケノコが生えるように蘇り始めた。
絶対絶命!俺の頭をわしづかみをして、持ち上げた石像は俺ごとアイにぶつけようとする。
その石像は羊のような二つ巻き角がはえた邪悪な悪魔のような顔で一度、咆哮をあげながら、俺の頭をつかみ腕を振りかぶった。
そのときだった。天井の点のような差し込んでいたの光が影になった。
次の瞬間。動き出した石像から悪魔のような獣が一斉に燃え上がった。
俺は金縛りのまま、大地に放り転がされた。
だが悪魔たちは紅蓮の炎の中から最後の断末魔の如く苦しもがく。
そんな泣き叫ぶ獣をよそに炎ごと吸収する者がいた。
闇の精霊少女ラミ。
不敵に笑いながら次次に燃え上がる悪魔に抱きつきながら笑い声をあげている。
ヤバい目がいっちゃてるよ。怖いぞラミ。お前もまさかそっち側なのか・・・
意識が薄れながらも、目の前に来たラミは俺のエネルギー得ていた燃え上がり苦しむ悪魔を吸収したのだ。
だがやはり、全部は吸収しきれないようで、そこらかしこに結晶のような魔石が転がっている。
その魔石を啄む火の鳥と不死鳥の二羽の聖獣。金縛りになりながらも聖獣に見とれている俺に聖女のヒジリが金縛りを解いてくれた。
俺は慢心そういながらもヒジリにお礼を言った。
「ありがとうヒジリ」
「安心してヒデにー。ここは私たちに任せてよ。彼女さんもフェイファに乗ってがんばてるわ」
俺は膝をつきながらも立ち上がり、火の鳥をみると、ヒイロがまだ蘇っていない石像まで壊すように操っていた。同じように不死鳥に乗った木の精霊も魔石の取りこぼしのないように操っている。
「ヒジリ、どうやってここまでこれたんだ」
「何言ってるのよヒデにー。世界樹の中に入って結界を破り続けてくれたんでしょう。今もほら見て、アイが最後の結界を探しているわ」
「そうなのか?・・・それにしてもあの石像はなんだ」
俺はヒジリの肩につかまりながらも戦況を分析している。
そんな時、アイの声が聞こえてきた。
「大変よー!!みんなー早くこっちにきてー!!」
必至で叫ぶアイとは裏腹に、俺は体が思うようにまだ動けずにいた。
そんな中、ヒイロの叫び声が聞こえた。
「キャー!なんなのこれは!」
俺は振り返りヒイロの方を見ると火の鳥だった、フェイファは少女の姿にもどり、ヒイロと共に大地に転がされている。
不死鳥と木の精霊も危険を察知したようで上昇していた。
俺は水の中を歩くような感覚で無理やり重い体を動かし、投げ出されたヒイロの方に戻ろうとした。
上昇気流で舞い上がる竜巻が発生したように壊された石像の破片が空中に舞い上がり、空中で石像の破片が回転しながら固まっていった。球体のように回転しながら固まる石像の破片は時より生き物のようにうごめきながら、バチバチと稲妻を発している。
ヒイロとフェイファも紅蓮の炎を喰らうラミまで、空中に舞い上げ吸収しようとするうごめく邪悪な塊。
ここからは感覚的なことかもしれないが、自然と体が変態を起こしたようにプラネットイーターになってしまったといった方がいいのかもしれない。
俺は、この空間にあるすべての明かりの元になっている発酵している有機質な植物を一瞬で喰い尽した。次の一口で大地に転がっている無機質な大地の小石を喰い尽す。
最後の一口で空間に浮かんでいた石像の破片の固まりはおろか、不死鳥と乗っている木の精霊まで喰い尽そうとした。
だが、不死鳥も木の精霊はアイの転移魔法で何とか、暴食されるギリギリの刹那な時から逃れたのだ。
擬態でありながらも、アイはその場でへなへなと座りこんでいた。
大気の湿気まで喰い尽しエネルギーを吸収した俺は真っ暗になった空間を照らすようにしながら元の人間の姿に戻っていた。
不死鳥も木の精霊も腰を抜かしているようでさっきの俺のように金縛りにあったように動けずにいる。
俺が声をかけようとしたら、口をあわあわして、恐慌状態に陥っている。
俺はアイを立ち上がらせた後、有り余ったエネルギーを木の精霊と木の聖獣である不死鳥に分け与えた。
木の精霊と不死鳥はキラキラと緑と黄色の光を放ちながら幼い幼女に変身したのだ。
ヒジリもヒイロも服の汚れをはたきながら俺の方に近寄ってきた。
「ヒデにー早くしまいなさい」
「ヒー君、捕まるよ!」
素っ裸の俺は眼の前にいる幼女の前で一回り勝ち誇った邪神を見せつけていた。
大地に転がされたフェイファとラミは同時に俺に服を着せようと魔法をかけてくれたが、少しの間の違いから、ズボンの上にスパッツを履くような、奇妙な服装になってしまい、みんなの笑いを誘ってしまった。
起き上がれないフェイファやラミまで笑い転げている。
もちろん俺の邪神は悲鳴をあげたのは当然である。
笑いがおさまったころ、ようやくアイはダンジョンコアがあるダンジョンマスタールームを見つけたのであった。
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