29 未知との遭遇
今回はようやく世界樹のある大森林に降り立ちます。
木の精霊と木の聖獣とあうことになるのだが・・・
「あー本当に高いね」
「高いねー。どこまで上がるんだろう」
「宇宙まで上がりますよ」
俺たちの疑問を軽くダンジョンコアのアイは答えた。
え”ーーー!!
俺はなんとなくだが息ができないような錯覚に陥り息苦しくなったような気がした。
俺の手を握っているヒイロはそわそわしている。どうやら、少し寒くなった気がしているらしい。
大空を気球に乗ったように昇り続けるダンジョン。いや、ダンジョンというより、機動◎◎ガ×ダ△に出てくるようなスペースコロニーのようなドラム缶のバカでかい塔のようなダンジョンに変形していた。
良く言えばタワーのような形になったダンジョンが逆コロニー落としといわんばかり、タワーが大空に打ち上げられている。
まさに、コロニー昇り、違うタワー発射とかタワー揚げ、昇天タワーといった方が良いだろう。
ゆっくり空に昇っていくダンジョンの中で俺はアイに聞いた。
「アイ・・・ちなみに木の精霊たちのところに飛んでいけるんだよな」
「はい、後少しで無重力状態に入ります。衛星軌道上に安定すれば、勝手に木の精霊達の上空につきますよ。自転してますから。後は飛ぶだけです。ニコ」
俺は思わず耳を疑った。
「ダンジョンが飛んでいくんだよな。アイ」
「飛びましたよマスター。後は上空から出てひょいっと飛ぶだけです。あっという間ですよ」
「「「「「騙されたー!!!」」」」」
ダンジョンマスタールームの無重力状態で宇宙遊泳しているみんあが一斉に声を荒げた。
「ふざけんなよ!何が天空の城よ」
「こんなおいしいことがあるはずないんだよ」
「天空の城、白、しろ、シロー詐欺だー!」
ダンジョンコアはみんなを鎮めるためなのか、落ち着いてお茶が飲みたいためなのか、コンソールを出して、一瞬で無重力を制御して見せた。
ドッバターーン!
一斉に床におちたボロ雑巾のように打ち付けられた封印娘たちは首や腰の骨が折れている体勢で転がっている。
フェイファとラミは猫のようにすっと床に降りた。
まあ、当然だが、俺やヒイロはソファの上に上手くおりれた。だが、なぜかソファーに座った俺の上にはヒジリを抱っこした体制になっている。
ヒイロは手を繋いでいた俺の手を離して思いっきり俺の横っ腹の肉をつかみ、おもいっきり抓ってきた。
「キャー!怖かったよ。ヒデにー!」
あ”ーーイテテテェ!グフェ!
俺はあまりの痛さのせいでヒジリを投げ上げようとしたが、ヒジリのリアクションで首が絞められる結果になった。
唾を吐きながら気絶しそうな状態になった俺に冷たい声をかけるアイ。
「ケッ!いちゃいちゃしないで下さい。マスター。もう少しでつきますよ。飛び降りてください。気絶するなら飛び降りた後でゆっくりして下さい」
絶対、アイは俺を殺す気だ。
でもその前にアイに聞かないと・・・
「アイ帰りはどうするんだ・・・」
「このまま、衛星軌道上にいますけど」
「いやちがうだ。このダンジョンのことじゃなくて・・・」
俺はアイにダンジョン自体の帰りを言ったのではなく、俺たち自身がダンジョンに戻る方法を聞いたのだ!
アイは頭をかきながらコンソールを操作する。あまりにも面倒くさそうにため息まじりで魔法転送陣を出した。
「用意はしましたよ。もう行ってください。世界樹の真上をあと30秒で通りすぎますよ」
「アイわざとだな!ダンジョンから飛び降りなくても行くこともできるんだな!」
「アッ?聞こえなーい。転送魔法陣が反応しちゃった。行ってらしゃーい!自力で帰って来てみやがれーバイバーイ!」
俺たちは木の精霊たちがいる世界樹がある、祈りの大森林と呼ばれる霧のかかった深い森の中にポツンと出来た木漏れ日あふれた森の広場に現れた魔法陣から出てきた。
「アイの奴め・・・みんないるか!」
俺は魔法陣の光で目をやられたせいか、ちかちかしながらも周りを見回した。
「ヒー君。おかしくない!封印娘さんたちがいないよ」
「ヒーちゃん。多分、アイが行かせなかったんだよ。ミューみたいにいきなり逃走しないようにしたのかな」
「ご主人様。私はいっしょについて参りました。他の者はアイ様が少し御用があるそうです」
ダークエルフのエフがフェイファとラミと手を繋ぎながらゆっくりと歩いてきたのだ。
すこしうれしそうな顔をして微笑んでいる。
動きやすいように短いスカートになっているワンピース状のメイド服からいつも以上にいやらしい服装になっている。
ダークエルフのエロフことエフはポニーテイルにナース姿に・・・・
おいおい、怪我人が出ること前提なのかよ!
あーまったくだ。うなじが色っぽいじゃないないか‼それに、ナースの制服までミニスカートかよ!ちょっと入った横スリットが色っぽいじゃねいかよ。体のラインが出るのは嫌いじゃない‼キリッ!
ヒジリは空気を察したように身構えた。
「ヒデにー!生き物の気配がない・・・」
「お父さん死の匂いがします。早く結界の中に入りましょう」
ヒジリもラミもそわそわしている。それと対照的に、フェイファは俺の胸に飛びつき肩車してーと言ってきた。
幼女から少し背が伸びて少女になったフェイファを頭の上に乗せれなくなって少し寂しくなっていた俺は軽いフェイファをすっと持ち上げて左肩に乗せた。
ヒイロはフェイファにいいな~と言っていたが、フェイファは両眼の前に双眼鏡のような魔法陣を展開して周辺を警戒している様子を見て恥ずかしくなったようだ。
しばらく歩くと、前を歩いていたヒジリとラミは立ち止まった。
「止まって!」
もくもくと歩いていた俺たちは、ヒジリの小さな囁く声とその場にしゃがんだ様子から何かを察知したとわかった。
ヒジリの横にいたラミは黒いオーラを纏い始めた。無詠唱で長い魔法を唱えてるようでその場でしゃがんでいた俺までヒリヒリとした感覚に陥る。
ヒイロはフェイファに目で合図している。
後ろからゆっくりとダークエルフのエフがようやく追いついてきた。
しかし、追い付いてきたのはエフではなかった。
俺たちに迫ってきたのは耳長族とも呼ばれるエルフ族の集団だった。
音もたてずに集まったエルフの集団に弓で狙われている状態になっているが、既にこう着状態ともいえるようにも見えた。
なぜならば、杖を片手にヒジリは闇の精霊少女ラミを纏った精霊武装状態になっている。もちろん、ヒイロも聖獣少女フェイファを纏い、魔法剣を構えた攻殻武装をしている。
俺もこの状況で手ぶらではない。俺もヒジリとヒイロに負けないように変身していたのだ。
なぜならば、いち早く大森林の大地に溶け込んだ俺は、ワザと捕らえられたようになっているダークエルフのエフを探し出して、エフの体に纏わりつくような、スライムヌルヌルスーツになって、エフのナース服を強化したのだ。そして、俺は無理やりエフの体を動かしエフを拘束していたエルフたちを無力化してやった。
勘違いするなよ‼ナーススーツは神聖なものだから、俺はスライムになても溶かさないぞ。むしろ、汚れがあれば汚れをしゃぶって綺麗にしてやるんだからな。根こそぎ垢汚れや染み汚れも完璧に舐め尽くしてやるんだからな。しつこいぐらい俺は綺麗好きということがわかってくれたかな!俺は一遍のやましい気持ちなんか無いからな‼キリッ!
エフははーあはーあいいながら話をしだした。
「ごめんなさい。エルフたちが私を無理やり・・・」
「ワザと捕まったんじゃないのかエフ!」
俺は強く言ってしまった。
「私以外のダークエルフの仲間がいりかもしれなかったから・・・」
俺はこのとき初めてエフの涙を見てしまったのだ。邪神に捕まっていたエフはエルフの姿を見て動揺したのかも知れないと無理やり自分を納得させた。
しかし、無力化したエルフたちを見ると、すべてホソマッチョのイケメンエルフ・・・深く考えないでおこう。そうだ!エロフの魅力で捕まったんだな!
俺はエフに纏わりついた状態でヒジリとヒイロのところに戻った。
しかし、ヒイロとヒジリの前には既にエルフの集団たちは・・・・
そうエルフたちはおのおのが腰を抜けたように恐怖、恐慌状態になっていたのだ。ある者は頭を土にこすりつけたような土下座をしながら両手を頭の上にして拝んで助けを求めていた。
どんな強硬な手を使ったのかわからず、ヌルヌルナーススーツのまま、質問した。
「なんなのこの状況は?エルフたちは怖がってるじゃないか!」
「エッ!エフさんの声じゃない。ヒデにー‼何してるのよ!この変態!ポッ!」
ヒジリさん?そこは思いっきり俺を罵るところだよ!何を赤くなってるんだよ!わかってないな!
「ヒー君、まさか・・・私にそれをするために・・・・あらたなマッサージの研究するなら私からしてよ。まったく!女心がわかって無いんだから」
ヒイロさん。そこは男心をわかってください。俺は研究熱心何ですよ。キリッ!
「はぁーはぁーご主人様!恥ずかしいので、早く解除してください。うっ!あ~あぁ!」
たまらず声にだしたエフ。なにをイッとるんだか。
俺はもう一度エフの汚れを綺麗にして、エフから分離したのだ。
「ふー、疲れた。急いでもどってきたから汗かいたよー」
「ふーん。ヒー君。それ汗かな・・・肌がピッチピチになって光ってるよ」
「スライム状態になって代謝も活発になって元気になったからね」
俺はいい訳じゃないような強引な理由でその場を繕って質問を返した。
「それより、この状況を説明してくれ。何でエルフたちは怖がっているのか」
「邪神様のせいですかねー。ご主人様、早く生活魔法をご自身でかけて服を着てください。邪神様が空を見上げてますよ」
横からチャチャを入れるエフ。お前が俺に服を着る魔法をかければいいじゃないか!フン!
エフは普段はあんなに気が利くのにこんな時は軽くあしらいやがる。まだ、俺との距離が離れているのかエフ。がっかりだぜ!
俺が着替えるのを寂しそうに見つめるヒイロとヒジリは着替え終わるやいなや、エフを指さした。
「エフさん。もしかしたら、ダークエロフのダイナマイトボディーを使って、純真無垢なムッツリ童貞エルフの男の子たちを垂らしこまなかった」
「そうよ、突然魅了催眠効果が解けたみたいで私たちを睨みあっている最中にいきなり逃げ出そうとしたのよ」
「逃げ出そうとしたところで・・・・恐慌状態になるのかな・・・」
俺がヒジリの方を向くと、ヒジリは闇の精霊をまとって闇の闘気を放ちながら指だけでヒイロを指した・・・・魔神ヒイロが知らんぷりをしながら口笛を吹いているが、ヒイロの方も指でヒジリを差していた・・・・
どっちもどっちだな。かわいそうなエルフたち。この勝負!ドロー!
エフの方の二人を見てビビッているみたいで正直に話た。
「ごめんなさい。実はまだ、この森にはエルフ以外の種族の匂いがしたので、エルフを利用して私を守るようにしました」
「この森に蔓延っている死の匂いが関係するのか」
「はい、今も私たちを見てます。御主人様」
その言葉で頭をかきながら俺は一瞬で再び大地に溶け込んだのだ。
俺はプラネットイーターとなって半径500m以内にある樹木や草木や枯れ葉までを一瞬で喰い尽して見せた。
次の一口で森の土や岩を一瞬で喰い尽して見せた。
俺は元の姿に戻る。相変わらず黄色の声援が止まらない。
「ご主人様。裸の姿だと教育上まずいので魔法をかけさせてもらいました」
日に二度も俺に同じ事を言わせない。さすがエフ気が利く。裸の俺に魔法で服を着させた。邪神を見せびらかせる暇を与えないところはほめるべきだろ。
あーあ残念だ!
これは俺が言ってるんじゃない。俺が捕まえてきた12匹のケットシーと呼ばれる長靴をはいたような忍者猫のみたいな獣亜人のクノイチ集団が言っているのだ。
「猫耳かわいいー触らせて触らせて。怖くないから。動いたら猫耳なくなるよ。ウフフフフ」
「モフモフ。さわっていいよね。私のものになるんだよね。エヘ、エヘエヘヘ」
ヒジリーさっきより闇精霊の闇の闘気量が増えているぞ。
それにヒイロ、目の色が左右違って光っているじゃないか。まさか・・・光るオッドアイの邪眼かよ・・・カラコンじゃないよな・・・ってここで額にも第3の目が発現・・・
あーあ、ケットシークノイチたちまでが恐慌状態に・・・・さっきのイケメンエルフも子の手でやりやがったのか・・・
ヒイロとヒジリが俺以外にときめくなんて、あーあ、エルフ抹殺計画発動させようかな・・・
まーケットシーたちは見逃してやろう。モフモフは正義だからな!キリッ!
緊張状態と恐慌状態に陥ったこの状況に空からユニコーンに乗った可愛い女の子がクレイター状態になった大森林に現れた。
「やめてくださーい。願いしまーす。悪いの私なんです」
ユニコーンに乗った少女の横に、煌びやかな鳥に乗った精霊が現れた。
ヒジリとヒイロの装備になっていたフェイファとラミが突然飛び出した。そして、フェイファは火の鳥に変身して、ラミは火の鳥に飛び乗った。
大空に舞い上がったフェイファは火の鳥の状態で叫んだ
呼応するように煌びやかに舞う大鳥も鳴き叫びながら大空でじゃれ合っているようだ。
どうやら、煌びやかな鳥と乗っているのが木の聖獣と木の精霊とわかった。
だが、天に向かって大きく太く長い角をもった空飛ぶ天馬ユニコーンになっているのは普通の人間の少女みたいだ・・・
少女に見とれる俺の横に、額の目がなくなった状態のヒイロが3匹の獣亜人の尻尾を握りしめながらひきずってきた。
「あの子にはモフモフなさそうね」
猫耳を自分の頬にすりすりしながらも、尻尾を片手でひっこ抜こうとするヒジリはサイコパスのような逝っちゃってる目をしながらも少女を見上げた。
「脱いだら凄いかもね。ウフ♡モフモフを確かめないといけないわね」
俺は素早くヒイロとヒジリから獣亜人を取り上げて、暗器をエフに投げた。
カキーン!
ッチ!ばれた。と小声でいったエフは手を振って誤魔化している。
「エフ。お前の魅了の効果が少し、パワーアップしてるよね。この森のせいか」
「その通りでございます。なぜかこの地に降り立ったときから力がみなぎるのです」
エフはその温厚で誠実な態度でヒジリとヒイロを実験代にしている。エフもサイコな気があるんだろうな。でも暴走気味だな、不味いことを起こさないよう率先して俺はがヌルヌルナーススーツにならないといけないかな。
俺が不敵な笑みをしていると、天空のユニコーンからダイブするアホな少女。
おろおろするまでもなく、汚名挽回の如く、ダイビングキャッチをするエフ。
さすがである。
お姫様だっこの状態で大地に降り立ったエフはゆっくり、アホな少女をやさしく、微笑みながらゆっくり大地に立たせた。
少女はエフに向かって深くお辞儀をした。
「プランネットイーター様。この世界をお救いください。そして私のママ・・・生命の女神を連れ戻してください」
エフは少女の手を握りながら抱きしめた。
俺は心の中で突っ込む、アホな少女は多分ヌルヌルナーススーツ状態のエフをプラネットイーターと勘違いしたんだね。それにしても、世界を救えだ、ママ女神を救えとか俺は神様じゃないんだからな!まったく。
それにしてもパワーアップしてるからってやらかしてるなエフ。
これで3度目だよ。エフ。
また魅了催眠を使ったのかよ。メンドクサイな・・・勝手に解決してくれ。俺は知らんぞ。
それにしても、封印娘たちも連れてきたら、これ以上にやっかいだったかもな。
俺は密かにダンジョンコアのアイに感謝していた。
あーありがたや、ありがたや、と俺に感謝をしているエルフと猫耳クノイチ軍団を無視しながら、俺はヒジリとヒイロに声をかけて、上空でいちゃついている精霊たちを呼び出して早々と世界樹に向かおうとしたのだった。
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