26 夢うつろなる世界
今回は夢うつろなる世界に行くお話です。
なぜか異世界に現れる謎の軍団の影が・・・
「ここのところが違いますね」
「先生、次のところがわかりません」
「すいません。こっちもお願い。難しすぎるよ」
なんで?なんで?ホワイ!どうして?母上がジジイ連中にテスト勉強おしえてるんだ!
でも、母上カッコイイ!真っ赤なピンヒールに白薔薇の刺繍入り黒色パンスト。
上下おそろいのピンストライプのタイトな膝上横スリット入りミニスカートとブレザー。胸元が開いた真っ白なワイシャツに光るパールのネックレス。
いかにも女教師らしい赤縁の眼鏡とパールのイヤリング。
真っ赤な口紅をひきたたせるアップに髪の毛をまとめた髪型。
THE!女教師!
あやしいタイトルのAVに出てくるまんまのカッコをしている。
少し鼻が高くて色白で足がスラッとした母。顔は幼く、外人の少女とよく間違えられた。
それでいて、出ているところは出ているようなスタイル抜群な母。身長もコレクションモデルなみのいい女とオヤジの友達は良く言っていたと思い出した。
そう言えば、小学校に俺が友達が遊んでいたとき、迎えに来たときに限らず、参観日などには必ず友達が母親を交換してくれとよく言われたっけ。
そんなことより、なぜ夢の中で母が教師の恰好をしてジジイどもに教えてるんだ!
俺は立ち呆けていると、教室で母が教えてる中、突然立ち上がる生徒がいた・・・フェイファ見っけ!
「ハイ。フェイファさん。どうしたの」
「先生!トイレにいきたいんです。漏れそうです。大きいのが・・・」
「早く、いってらっしゃい」
そう告げたフェイファが教室から堂々と出てきた。
「パパも勉強しにきたの。やっぱり、ミューちゃんおすすめのこの授業は人気なんだね」
「ちょくちょく来るのかフェイファ」
「食事の時を利用してくるようになったんだけど、神や女神、精霊、聖獣にとっては目から鱗の授業なんですよ。幻想異世界構築分野であの先生程、優秀な人はいないんじゃないんですか。それも星姫神の身分を持ちながらわざわざ教えていただけるなんて・・・あーフェイファはラッキーです」
どうやら、人気講師張りに忙しそうな母。
でも、ここは夢の世界・・・なぜ、ここで先生をしているんだろう。
俺はフェイファにもう一度聞いた。
「フェイファ・・・あの綺麗な先生のこと知ってるのか?」
「幻想夢世界のとある国のお姫様で、星姫神になられたというぐらいしか・・・あまり詳しくは知りませんが、この授業を教えてくれたミューさんに聞けばわかると思いますよ。ほら、今、教室の後ろのドアを静かに開けて、遅刻がばれないように・・・」
バッゴーン!
イテッ!
「ミューさん。今日は遅刻ですか・・・来ての授業は寝てるし・・・ミューさん!廊下で立ってなさい!」
黒板消しが飛んで来て、竜人のミューの側頭部にヒット!髪の毛が白くなってやがる!それにこっちに来ても寝てるのかよ。だから邪神に宝物庫に封印されるんだよ!
頭ふって、粉を振り落としながら廊下に戻って来たミューを捕まえた。
「ミュー俺たちを夢の世界に連れてきて、お前は勝手に授業を受けようとしたのか!あ”っ!俺たちは夢の世界の初心者だぞ!」
俺はミューを威圧しながら小声で話したが、ミューは指を指した。
射した方向を見ると、既に教室に忍び込んだヒジリとヒイロは授業をまじめに受けていた。
「ヒデオ。夢の世界といってもここから出られない者達は多いいのだぞ。邪神に石化された我らを含めてな。しかし、石化したものでも夢の世界を上手く活用する術があるんじゃぞ」
「それを教えてくれてるのかこの授業は・・・そうだミュー、あの講師のことは知っているか」
「星姫神にまでのぼりつめた囚われの姫のことか。かわいそうに、あんなことがなければこの夢の世界からも出れたのに・・・」
「俺に教えてくれ!ミュー。なにがあったんだ」
幼い幼女姿のミューを服ごと持ち上げ強く聞こうとしたが、重い岩のように持ち上げることができなかった。
その横で、フェイファは堂々と教室入っていった。
「先生トイレに行ってきました。臭くて大きいのがたっぷり出ました。匂いは後で説明しますけど、凄いんですよ!形は前方後円墳のようでありながら・・・」
「フェイファさん。実況しなくていいから、早く席に戻りなさい。えーと教科書のどこまですすんだかしら・・・」
ドッカーン。ワハハワアハハ・・・・・
ザワザワザワ・・・・・
笑いに包まれている教室。俺はその横で話しているミューの声が聞き取れなかった。
「・・・という場所に・・・・・石化封印状態にあるからね・・・・あの結界があるかぎり・・・・でも、・・・・」
俺はほとんど聞き取れなかったが、ひとまず後で聞きなおすことにした。
遠目でみた母上の働く姿を見れたことで満足した俺はミューと元の世界である、ダンジョンマスタールームに戻ろうと提案した。
すると、ミューは再び人差し指で廊下の先を指を指した。
闇の精霊少女になっているラミが廊下の突き当りにある踊り場のところで、スパッツ姿でヨガしている。
俺はミューと一緒に駆け寄ってラミになにしているのか尋ねた。
「ラミ・・・成長しているぞ、姿が少し大人びているぞ。」
「お父さん。ここは凄いです。不のエネルギーが満ちております。よろしければ私がこのまま浄化してもよろしいでしょうか」
「夢の世界で不のエネルギーを吸い尽くしたら、キラキラファンタジーのようにならないのか」
その言葉で考え込みラミだが、解決案が浮かんだようで、手をとんと叩いた。
「お父さんこれならどう!」
その言葉と同時に無詠唱で空中に立体魔法陣を出した。
「見て見て、お父さん。この夢の世界で渦巻いている。怨念の根源ともいえる呪が渦巻いている場所よ。あっ!!夢の世界に隠しラビリンスまであるよ。お父さん。ラビリンス攻略しようよ」
するとミューがその言葉をさえぎった。
「ダメよ。そのラビリンスだけは。ラビリンスは何処につながっているかわからないのよ。一度でも入ったら、もとの場所に戻ってくることは無理なの。戻ったとしても、過去かも未来かもわからないくなっているわ。パラレルワールドにつながっているともいわれてるのよ」
俺は初めて怒ったミューを見て少し動揺したが、頭を撫でて落ち着くように促した。
「大丈夫いかないよ。ミュー。俺にはまだ、元の世界で木の精霊と聖獣を助けなければならないからな!」
「お父様ごめんさい。まさかこれほど不のエネルギーが満ちていた夢の世界とは思わなかったんですいませんでした」
「ヒデオ。私も強く言いすぎた。ともかく、ラビリンス以外にも攻略するならダンジョンやタワーみたいな物までこの夢世界にはあるぞ。それに、お前さんが幽霊と呼ぶ悪霊の正体なら心当たりがある」
ミューはラミの肩に手を置いた。
すると、ラミは廊下中に響きあがる絶叫をあげた。体中がひび割れたラミの両眼や口といった体中の穴から光を放った。
俺はミューがラミを殺した。
そう思った。俺はミューに対して身構えた。
一瞬の空白が命運をわかつ。
ピューーー!バシッ!
ミューの後頭部に突き刺さる・・・・・チョーク
「ミューさん。廊下で叫んではいけませんよ。騒がないでね」
母上が謎の金属で出来た示し棒を手でバシッ!バシッ!とならしながら、闘気を纏いながらゆっくりとミューに近づいた。
きらっと光る眼鏡が恐怖を増したのか、ミューはあわあわ言っている。
「ミュー。バシッ!また、放課後一人でトイレ掃除がしたいのかしらバシッ!」
「あわあわ・・・・私が叫んだんじゃありません。それに、これを見てください・・・」
必至で母上に涙目で懇願するミュー。
竜人幼女がお漏らしをしてしまったのだ。
ミューは水が溜まった床から、一つのオーブと呼ばれる宝玉を拾いあげた。
「闇の精霊のラミをダークオーブにしてあげたの。これを使えば、夢の世界の怨念が押さえられるから、ダンジョンやタワーの攻略が楽になるの・・・ネクロマンサーやリッチの影響も押さえられるから・・・仕方なく・・・そうだよね。ヒデオ」
「聞いてませんよ。母上」
「ヒデ君来てたの。前もって言ってよ~。お母さんは決して怒ってませんからね。しわさえ作ってませんからねウフフ」
母は示し棒の柄の先端についたたくさんの鉄鋲がついた鉄球を外して後ろに隠した。
多分、改造したモーニングスターのような武器から、普通の刺し棒にしたようだ。それでも、刺し棒自体フェンシングのような武器に見えるのは気のせいだろうか。
それでも、母は笑顔を俺に見せてハンカチでミューから取り上げたダークオーブを拭いてくれた。
「この闇を吸収するオーブがあれば、夢の世界に囚われている者たちが元の世界にもどれるわね。でも、これはあなたに使えている精霊よね。無理にダークオーブを使えば、元の姿に戻れなくらるわよ」
「母上教えてくれてありがとうございます。それよりなぜ、母上はここで何しているんですか」
「ヒデオこそ、どうしてここに来れたのかしら」
俺は無言でお漏らしさんを指さした。
母は大きく頷きながら、もう一度、示し棒に鎖がついた鉄球をつけ始めている。
バキ!ボコ!ブヒッ!ベゴッ!
俺は目をそらしながら、母の指導された血を拭き出しているミューからダークオーブを回収した。
いい御手前で・・・・なかなか、熱が入った教育的指導。日頃のミューの生活態度がうかがえる。
「うぅぅぅぅぅ・・・御子息様であらせましたか・・・これからはヒデオ様と呼んでも・・・・呼ばさせていただきます・・・」
バタッ!
あーあ、また昼寝しちゃったミュー。俺はあきらめて母上に直接聞くことにした。
「ここにはこの昼寝姫に連れてきてもらったんだけど・・・母上はここにいる理由は・・・この世界に囚われているんですか。もしそれが本当ならそれなら僕が何とかしたいです」
「大丈夫よ。ヒデオ。既に私はこの世界から出ることも可能ですよ。でもまだ私はこの世界に留まる理由があるのです」
「僕に出来ることはありますか母上」
「気にしないでヒデオ。これは私の問題ですから。それより、ダークオーブを元の精霊に戻してあげますわ」
ダークオーブをもった俺の手を包むように母は俺の手ごと、両手で包みながら息を吹きかける。
ふぅー。
ダークオーブを持ている手がどんどん温かくなる。そしてオーブの光が増した。
バン!とはじけたような音とともにラミは幼女の姿に戻っていた。
ラミは幼女に戻った途端、訳のわからない言葉を発しながらパニック状態になっていた。
「どうしたんだラミ‼オーブになって何を見かを見たんだ!」
「あわわわ・・・大変。大変です。見たんです見たんです。お父様。ほね・・・骨のドラゴン・・・ドラゴンの王・・・いや・・・骨が見えたゾンビのようなドラゴンの神を・・・」
「ゴーストドラゴン?スケルトン竜王?ゾンビ龍神?」
「それだけではないです不死の軍団が地上に蘇るんです」
ラミは意識がなくなった瞬間、消えてしまった。
母は俺の頬をさわりながら教えてくれた。
「闇の精霊さんは夢の世界から元の世界に戻ったのようヒデオ。それに、寝たふりをしてるミューさんと一緒に元の世界に戻るのよ」
「母上わかりました。でも・・・また会えますか」
母は嬉しそうに微笑んで答えてくれた。
「当たり前じゃないヒデオ。自由自在にここに来れるようになってね・・・・」
・・・・ウフフ
喜んでいる母をさえぎるように俺は元の世界に戻って来た。
その横で大きく息を吐きホッとしているミュー。
そして目の前に勇気をふりしぼるようにガッツポーズしているラミがいた。
「お父さん。この世界にある、古の者達を封印する結界が弱くなっております。早く精霊と聖獣が結束しないと不味いです。水の精霊と聖獣を助けに行かないと・・・」
「ラミ・・・まずは落ち着け。フェイファにヒジリやヒイロもまだ、こっちに戻って来てないんだぞ。それより、ジャンキー状態の精霊たちを何とかしないと・・・」
俺はラミを連れてダンジョンマスタールームに戻った。
ダンジョンコアのアイだけしかいないリビングダイニングルームような部屋は少しさびしい感じが漂っている。
俺はアイに声をかけた。
「アイ、エフもいないのか」
「マスター。フェイファを迎えにいかせました。それに、ヒジリさんとヒイロさんにも夢の世界で修行するよう伝えました」
「アイはなんでもお見通しだな。それよりエフまでいなくて寂しくはなかったかアイ」
「そうですね。仮死状態のおいしそうなフェイファさんを見るとダンジョンに吸収させたくなります」
ははは・・・さすがダンジョンコア・・・俺は乾いた笑いしか出ない。俺も頻繁に夢の世界に行けば、そのうちダンジョンに吸収されるような気がしたのは俺の心の中にとどめておこう。決して口に出さないからな。キリッ!
そんな俺を見ていたラミは俺の服の裾をつかんで囁いた。
「お父さん。生きている状態ではダンジョンに吸収できないので、工夫が必要です。一次的にダンジョンの外に出るか、他の異世界に転移してからいった方がいいです。もしくは、生きている者に寄生すればよいかと」
俺は夢の世界に行く方法を思い描いた。
え~と・・・スライムやアメーバーのように変身・・・
それとも・・・精霊みたいに誰かに憑りつければ・・・
いろいろな発想を思い浮かべながら寝ているソファに横たわるフェイファの頭を撫でた。
ズバン!ズバン!シュポッ・・・
「おはよう。パパ・・・どうしたの。ラミも何かあった」
「フェイファ。闇の精霊に隠しごと・・・違う、ぬけがけして邪神魔術も学ぼうとしているでしょう」
知らないふりをしているフェイファ。証拠はそろってるんだぞと言わんばかりにあれやこれやと責め立てるラミ。
それでも、口笛を吹いて誤魔化せると信じているフェイファ。そんな姿を見て俺は言いたくなる。お前の隠れた努力で俺は助かってるぞフェイファと・・・
すったもんだのすえ、ようやく容疑を認めたフェイファはラミにアイにまた時間を止めてもらって一緒に勉強しようと提案していた。それがなんだかいじらしく見えるのはほほえましいからなのか、それとも照れ隠しなのかはわからないが、フェイファとラミはうれしそうだった。
手を組んでニヤニヤしている俺の後ろでお辞儀をしながら動かないダークエルフのエフがいた。
夢の世界から戻って来たエフは俺の後ろでお辞儀のまま、ジッとしている・・・のは・・・嫌な予感しかしない。
振りむきたくはないが、俺はさび付いたブリキの人形のように振り返ってエフに声をかけた。
「ありがとう。エフ。伝言も伝えてくれたんだって。いやー。エフはやっぱり気が利くなーハハハ」
「ヒデオ様にヒイロ様とヒジリ様より伝言を承りました。夢の世界で修行するからアイ様に言って時間を止めてるように言ってくれ。それと・・・伝えたくはないのですが・・・・修行の成果をたしかめるために封印マジックカードを貸してくれと言ってました」
どうやら、ヒジリやヒイロにマジックカードを使われるのが嫌そうなエフ。俺が聞くと、モジモジしながらエフは真っ赤になった。
多分、男の娘に封印されたエフ達は女性につかえるのが嫌なのかもしれない。俺はいじらしいエフの肩に手を置いてキザに決める。
「安心しな。エフ。俺以外にこのカードを使わせない。ヒジリとヒイロには実践で試すように伝えるよ」
「録画完了しました。ヒイロさんのまえで再生致しましょうか」
アイが出したモニターにエフにキザに決めた俺が繰り返し映っている。
俺は土下座してアイに証拠を残さないように頼んだのはそれから30秒後であった。
そして、俺は数分後パワーアップして姿を見せるヒジリとヒイロにもマッサージという奉仕をすることになったのは言うまでもない。
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