13 ダンジョンの種
ダンジョンの種ってやばかった
その危機を救うのは??
「まじであれはヤバい!本当に大丈夫なのか?死ぬよ!」
「どうしよう!まったくわからない。」
スライムの姿から人間の青年の姿に戻った俺はヒジリと相談している。
原因はダンジョンの種である。
氷の精霊とフェンリルにエネルギーを吸い取られた俺は少年の姿になってしまったので、
スライムとなった俺はもと姿に戻るために大地を喰らっていた。しかしさらに成長しようと試みたがエネルギーを吸収できなくなっていた。
ダンジョンの種が成長するにつれて、なぜか俺からもエネルギーを吸収しようとしてきたのだ。
ダンジョンの種の成長の仕組みは惑星の地殻エネルギーを栄養にする寄生虫のようだ。
俺とヒジリはこの貪欲のかたまりたる寄生虫のような【ダンジョンの種】の運用に攻殻精霊少女隊に疑問を呈した。
「そもそもダンジョンの種を使う必要あったのか?」
「そうよね。火山や地殻変動が落ち着けば平穏に戻るんだよね。それまでまてばいいんじゃない」
「見識が甘いですね聖女様。惑星が誕生するような状態ではないんですよ。言うなればこの状況は惑星崩壊する初期段階よ。なぜならば、邪神様もいなくなった世界なんですから」
このように氷の攻殻精霊少女の話す顔はまるで絶望の淵に立っている花のような感じがした。
俺とヒジリは黙り込む。ときおり見つめ合っても言葉が出ない。もどかしさもありながら思わず出た言葉が解決に結びついた。
「ヒジリ・・・ダンジョンの種ってオヤジにもらたんだよね。もうそろそろ、ダンジョンの種が成長したから引き取ってもらえよ」
「成長したダンジョンって引き取ってもらえるの?」
「わからん。でも、ヒジリが困ってればオヤジは多分すぐ来るよ。呼んでみたら」
「お待たせヒジリ。呼んだかな?」
ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
DADADADA!!DOMDOMDOM!!BANBANBAN!!
「すげー!オヤジ!ヒジリの爆殺攻撃を全部避けやがった!それにしてもいつからヒジリの背後にたってやがった!俺もきがつかなかったぜ」
「ヒジリと特訓したせいでヒジリの攻撃する癖は全部承知してるんだ。うらやましいか息子よ!」
ぜんぜん羨ましくない。オヤジの血のにじむ努力のせいだろ。この変態オヤジ。とつぶやこうとしたらヒジリは血の気が引いたように荷物や着ている荷物に盗聴器がないかを必死で探している。
「ハハハ。何してるんだ。ヒジリ、こっちは既にキャンプの設営を終えるぞ」
「精霊結界をまた見つけて亜空間異世界とここをつないだのかよ。仕事が早すぎだよオヤジ。それより、丁度いいとこにきた、ダンジョンの種が成長しすぎなんだけど・・・どうしよう」
「いらないの?もらっていいの?」
オヤジは不思議そうな顔で俺に聞きなおした。
「百階層以上のダンジョンって誰が欲しいんだよ。それにここは辺境の場所なんだろう。人もいないんだぜ」
「精霊たちは欲しがるだろう。でも立地条件が悪いか・・・」
そうのようにいいながらも、オヤジはヒジリに落ち着くように飴やチョコレートのお菓子を渡している。
攻殻精霊少女も食べたことのない甘い匂いの飴やチョコレートに目が釘づけになっていた。
俺はあきれながらオヤジをみながら聞いた。
「ダンジョンの成長はいつ止まるんだよ」
「そりゃ、地殻変動が止まるまでだろう。壊れた星を荒治療するわけじゃないのに
どっかの誰かが惑星のへそまで食い荒らしたのが原因だからな。本来ならば神様が少しづつダンジョンの種を植えていくんだがな」
「聞いてないよ。ダンジョンの種って複数使って惑星の地殻変動を抑えるのかよ」
ヒジリはハッとした顔をしている。
ヒジリも同罪だな。多分まだ、オヤジが用意した怪しいアイテムを隠し持つヒジリは今後もやらかすだろうな。
動揺しているヒジリはオヤジに抱きつきウソ泣きしている。この確信氾め!。俺はオヤジがここに来た理由もなんとなくわかった。ヒジリがやらかすをわかっていたのかもしれない。
「このダンジョンの種・・・いやダンジョンコアごともらっていくぞ。あと、ヒデオに言っておくが、新しい精霊結界をこの星のいたるところに張ることを優先してくれないか」
俺にそう言うと、ヒジリから取り上げた荷物から十数個のダンジョンの種を取り出し俺に渡した。
「オヤジわかったよ。ダンジョン管理はまかせるぜ、あとダンジョンの種はこの攻殻精霊少女隊が欲しがっているから配って管理させるよ」
「おいおい、精霊神になっていない精霊にダンジョンの種を渡すのはまだ早いぞ。お前がこの星の神になっていれば別だがね。そうだ!」
オヤジは俺に合図を出した。俺は例の如く、たわいのない話をしながら設営した聖なる泉ちかくに設営したキャンプから亜空間異世界に移動した。
「オヤジなんだよ。露骨に俺に伝えたいことがあるのかよ」
「あまり、詳しくは言えんが、お前にある施術を教えるぞ。この施術に関しても秘匿事項だから、できれば教えたくないが・・・致し方がない。それに、この施術を使うときはこの亜空間異世界でやってくれ」
オヤジがそう言うと、俺の腕にワクチンか何かの液体が入った注射をうってきた。
すると、俺の頭の中に施術の情報が流れ込んできた。俺は驚きのあまりオヤジに聞きなおした。
「何したんだ。俺の頭に房中術以外にもあらゆるスパイや忍者が使う知識や技術が入ってくる」
「異世界の秘匿防衛技術の粋がつまったものだから、あまり詳しくは言えないが、これさえ打てば、どんな普通の地球人でも、火星でも住めるようになる注射だ」
「なにそれ、それがあれば俺はスライムにもならなくてすんだかも・・・」
「ハハハ。スライムならいいほうだぞ。俺が以前、お前と同じ状況になったときは触手がいっぱいあるイソギンチャクのような魔獣だったからな。おりたった星の環境や時代の状況によっては人間以外の魔獣に転生なんてざらにあるんだぞ」
おいおい、なんでこのタイミングでオヤジの異世界転生カミングアウトを聞かなきゃいけないんだよ。俺もどうせなら、触手魔獣であれやこれやしてみたいぜ。
でも、スライムならあれができるかも・・・そういうのは一人の時に考えるとして・・・
それにしてもオヤジは何者なんだか・・・
もしかしたら母さんの死の原因は・・・・今はそのことを考えるのはやめよう。
俺はオヤジにもう一度聞きなおすことにした。
「まったく注射を打つためだけに地球側が用意したこの亜空間異世界をつかう程のものなのか」
「だから詳しくは言えないがお前が想像する、エロハーレム勇者が使うよーなチートスキル能力を集めたような怪しいものじゃないぞ。そんなのもあるんだけど、あくまでも被害者用に開発したものであくまでも一般人用だよ」
「ヒジリにも打つのか?この注射」
「安心しろ、ヒジリはこの世界で聖女となるほどにこの星の神があらかじめ用意してあったほどに厳選された現身から得られた生命だぞ。我々が怪しい物を用意するまでもないからな」
さりげなく、オヤジがヒジリにも生体検査をしたような印象をもった。もちろんこのワクチンのような注射を打った時点で俺は既に検査されたのであろう。
それにしても、昨日は俺は疲れて寝たんではなく、オヤジに眠らされたんだと理解せざる得なかった。俺はこれからオヤジの影武者となって異世界クエストをこなすのかと思うと、ますます、エクストラハードモードだと悟った。
それにしても、パンドアラークと地球側からそれぞれクエストを受けている状態となっている俺は何を信じていいのかわからんが、オヤジはそんな俺に対して上手く立ち回らせてくれるようだ。
海千山千の親父をこれからも頼りにしないとこの難しいクエストに対処できないのかもしれいと考えながら、ポータルゲートを通ってこの時間が止まった亜空間異世界からオヤジと共に聖なる泉に設置した転移門から出た。
すると、オヤジはワザと大きな声で話始めた。
「助かったよ。ヒデオ。これでダンジョンの種を撤去できるよ。あとは任せろ!」
オヤジは一人でオペラを演じるように大声を張り上げて何かをこの世界に召喚しようとしている。
「いでよ!我につかえし数多な兵士よ・・・」
青空が一瞬暗くなり、時空が歪む。大量な虫の群れが召喚される。
それを遠くから眺めていたヒジリはおびただしい虫の群れを見て引いていた。2万匹はいるかもしれない。
大地におりたったおびただしいアリの群れ。普通のアリとはまったく違う。アリというよりアリ人の兵士といった方がいい。2mを超す陸軍張りに装備をしたアリ人のソルジャー。
足2本と腕4本。2本の手にはナイフとピッケルを持っている。
続々とオヤジの指揮のもと、続々と荒野の先に出来たダンジョンの入り口に向かう。
成長を続ける広大に広がるダンジョンに2万匹のアリ人ソルジャーに入っていった。
召喚アリ人ソルジャがダンジョンに全部はいるころオヤジは大地に座りこんだ。少し余裕が生まれたのか、水筒の水を思いっきり顔にかけるように飲み干す。
「ダンジョンマスターがいないダンジョンなんて人海戦術に限る!ヒジリちゃんも覚えといてね」
オヤジは未だに震えているヒジリに手から蝶を出して喜ばした。
「ヒデオから召喚獣の出し方を教えてもらったんだ。パパはせいぜい虫ぐらいしか召喚できなかったから。アリさんを出したんだけど。ちょっとでかかったね。そうだ!ヒデオは食べた生物のスキルを使えるらしいけど。もしかしたら、わざわざここに来たパパに花をもたしてくれたのかな」
「その花ってもしかしたらヒジリのこと」
「そうだね。ヒジリはこの異世界で一番きれいな花なんだよ」
おいおい、どういう話になってるんだよ。親父がアリの軍隊出さなけやヒジリが怖がらずに済んだんだぞ。それにしても、オヤジは食べた生物のスキルを使えるって言ってたけど、俺も知らないことを知ってるんだ。
そうだオヤジはイソギンチャクみたいな触手魔獣の経験があるって言ってたから・・・転生したのが食虫植物に近い魔獣だとしたら、虫を好んで捕食してたからか!!
それで、アリや虫を召喚する、昆虫使いのエロチーレム勇者だったかも・・・なんかヤバすぎる。俺なんか、精々スライム経験の人間だからな。
俺が腕を組んで関心していると、攻殻精霊少女隊の面々がゴマをするように近づいて来た。
「「「「「「あのーダンジョンの種をいただけませんか」」」」」」
「まだ、早いってオヤジもいってたからな~」
「「「「「「私たちを神化させてください」」」」」」
おいおい、攻殻精霊少女隊の目がいっちゃてる。
ヤバい!俺からエネルギーを分捕る気満々だぞ。
思わず俺は苦しい言い訳をした。
「そうだ!活躍すれば施術をしてやろう。なんだその目は信じてないな。試しに俺と一番付き合いが長い火の精霊にその施術を受けさすから効果を後で聞いてみろ」
これもオヤジから注射で受け継いだ房中術の効果かもしれん。スラスラと女を騙すような言葉が溢れ出てくる。なんとなくだが、結婚詐欺師になった錯覚に陥りながらも、俺は攻殻武装を解除した火の精霊少女の手を取った。
すこし、彼氏面して強引に引っ張っていくと、火の精霊少女は照れてるようでモジモジしながらも恥ずかしそうに他の精霊少女に自慢しているようだ。
その光景を見たヒジリは一瞬のうちに、オヤジのミゾオチに思い切り肘を打ち付け気絶させて、俺と火の精霊少女のつないでいた手を離そうとしてきた。
誤解を解きたい俺は、ヒジリを含め3人で聖なる泉の転移門から亜空間異世界に入った。
俺は時間が止まっている亜空間異世界の大地に服を脱ぎ捨てた。
いや脱ぎ捨てたというよりは服を広げ、そこに火の精霊少女をゆっくりと寝かせた。
「私たちようやく結ばれるのですね。あのー初めてなので優しくお願いします。あーこれで邪神様に結婚の報告できる」
「う?うん?何か勘違いしてないか、エフリート・・・」
服をまくり上げて口に咥え、恥ずかしそうに裸で横になったエフリートは既にパンツまで脱ぎ捨てていた。
ヒジリは目を覆いながらもドキドキとしながらも俺の後頭部に蹴りをかました。
ラッキースケベってこういうときは必ず発動するんだとおもう。だって倒れないように両手で膨らみかけた精霊少女の胸に手が・・・・頭の痛みが走り、慌てて胸に置いた手を後頭部にもっていきさすり始める。
目を覆っているヒジリは、そんな俺の動作を気にせずに後ろを向きながら言ってきた。
「どういうことなのヒデにー!!結婚の報告って!!」
「知らずに封印状態だったエフリートを解除したことからはじまったのが発端で。でも火の精霊少女エフリートは邪神の眷属精霊だったんだよ!詳しく言えば、ヒジリの下僕になった氷の精霊も邪神の眷属だったぞ。その邪神が天に昇っていく時に邪神が俺の意思に関係なくエフリートを俺に託したんだよ。ついでに邪神の力も受けついたんだけどな」
「下僕の氷の精霊も眷属だったの?」
「たぶん・・・氷の精霊たちは邪神が逃がしたんだろうな・・・そして逃げ遅れたのは眷属である闇の精霊だと思うよ。もしかしたら最後まで邪神の大切なものを守ったのかもしれんがな」
恥ずかしそうなエフリートは裸で寝ている状態で話を始めた。
「私たちは神様たちのお力で具現化した精霊です。ですから、この異世界にいるすべての精霊は少なからず神様達の力が宿っています。邪神様ははじめから邪神様ではなかったんです。少なくても我らが使える前は・・・でも、ある星神様の一柱がいなくなってからは人がかわったようになり・・・そのうち人々からも邪神と呼ばれるようになりました。私の力が弱まり、この大地が冬の訪れを感じ始めたころ、魔王が闊歩し始めた頃、あることがあり私は宝石の中に封印されました。私のいなくなった後、氷の精霊は私の代わりを務めるように双子に別れ邪神様につかえました。闇の精霊達も邪神様の陰ひなたとなり尽くしていたのです」
ヒジリはいつの間にかエフリートの手を握り涙をこらえていた。
「ヒックヒック。精霊たちもいろいろな事情があったのね。火の精霊だけが攻殻武装できない理由もそこにあるのかもしれないのね。辛かったでしょう」
どうやら納得してしまったようだ。
俺はゆっくりともう一度エフリートを寝かせた。
「エフリート。今からの俺が行なう施術を説明するぞ。精霊回路を持っている精霊が人の姿にかわったことで精霊回路から魔力回路にかわったことでがうまく使えなくなっている。精霊の力を行使するには人の姿に合した精霊回路にしなければ本来パワアップした精霊の力が行使できない。だから時間をかけて成長しながら人の姿にあった魔力回路から精霊魔法回路にしなければならないんだ。それが精霊神と呼ばれる女神になることなんだよ」
「どうすればいいの」
「邪神の力を引き継いだ俺がなんとかする。今回は強制的に魔力回路を精霊魔法回路にするためのきっかけになる施術をする。ようするに・・・魔法回路を多くの精霊力ともいえる邪神から受け継いだエネルギーを火の精霊用に変えながら魔力回路を循環させて魔力回路を広げてやる。第一段階ではあるが効果をてきめんだぞ」
頷いたのを確認した俺はゆっくりとではあるがエフリートに施術を始めるのであった。
次回は怪しい施術を・・・
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