11 秘密の特訓
一晩あけて今日からまた旅が始まる
朝からバタバタと大忙し
「は~あ。良く寝れた。はぁ~あ。あくびがとまんねーな~」
「おはようヒデにー良く寝れた」
「おーヒジリ早いな。そうかな」
簡易テントで寝ていた俺があくびををしていると、嬉しそうに入って来たヒジリはキラキラした光を放ちながら、俺を微笑んで濡れたタオルを持ってきてくれた。
お~お。温かいタオル。出来る、女子力いや、恋人力高いぞ。まだ見ぬ彼氏!かなり羨ましいぞ。もし紹介されたら一発殴っとくか。
それより、何だかヒジリの背が急に伸びたのか、女性らしいく少し大人ぽっくなっている。
俺はいとしないで何気なく聞いてしまった。
「あれ~。ヒジリって髪形変わった?」
「エッ。ヒデに~。気付くの早すぎ~。もー!リヤ充力高すぎなんだから。彼女さん
がうらやますぎるよ。思わず呪っちゃうんだから」
「おいおい、呪うはやめてくれ!祝うにしてくれよ。ハハハ・・・」
朝の癒しともいえる妹ヒジリとのやり取りをしている最中に、朝食となるブロック簡易食料とコップを持ってきた秘書さんが来た。
「おはようございます。朝食を早めにしてください。点呼はあと一分後です」
「一分だと、飯食えないよ」
「無駄口叩かないで、急いで着替えてください。着替えは枕元に置いてありますから。皆さん待ってますよ。あと45秒」
俺は飛び上がりながら、簡易食料を口に突っ込み、ヒジリと秘書さんがお構いなしに、邪神を気にすることなく邪神の邪神を奮い立たせている状態を見せつけながら着替える。
秘書さんは少し顔を赤らめながら・・・凄い・・・と声をもらし、ゴホンと咳払いしてもじもじする。
食べてる最中だから話すこともはなしかけることもできないが、ヒジリと同じように少しは目をそらしてくれと秘書に言いたかった。
着替え終わるかいなかで、秘書さんは時計と手に持っている書類を見て俺ににっこりと話かけた。
「ごめんなさい。時計を1時間間違えちゃったわ。ウフフ。ごちそうさま」
俺はしてやられた。なぜ、枕元に着替えがあった時点で気付くことができなかったのか!それにまだ、気付くことができたはず。手にもった男性用ともいえないブーメランパンツがあったことに!いやこれはひもパンといっても過言ではない。
はー...でも、落ち込まない俺がここにいる。というより、サンライジングのテントがセットアップしたホールドキープする時間帯での生着替えの最高なパフォーマンスをショーウタイムで無心に演じられた俺は逆に高揚しているのかもしれない。
なにより、小声でヒジリがアンコールばりに、「わたしはおかわり」といったことに喜びさえ感じてしまった。それに対して、ヒジリにデコピンをした。
多分、ヒジリも秘書さんと組んでいたんだろう。ナイスチームワーク!
秘書さんがテントをスキップで出ていくと入れ替わるように、御苦労!といいながらオヤジが入ってきた。
「おはよう。はやいなもう起きたのか。顔色もよさそうだな。いい目覚めだったみたいだな」
それとは対照的に顔色も悪く、髭も濃くなっている。目元の隈がより濃くなっており、まるで徹夜で地下坑道でもほっていたかのような、ボロボロの姿でオヤジは俺の横にいたヒジリに抱きついた。
「ヒジリビタミン不足だよ。少し補給させて~」
「もーパパったら。朝から元気なんだから」
「元気じゃないよ。昨夜はヒジリも秘書君もパパを寝かせてくれなかったじゃないか」
アレーなんだろう。俺・・・涙がこぼれてる。それに邪神がキューピットになってるやん。
親父に抱きつかれているヒジリは笑顔のまま音速で金的膝蹴りを放ち一瞬でオヤジを夢の中に落とした。
「あれーパパったらホントに疲れてたのね。もう寝ちゃったの」
ヒジリの笑顔がこんなに怖いと思ったことはない。俺のキューピットが悪魔に惨殺され消滅したかようなキュッとした錯覚におちいりながら、下半身がざわざわしてちからが入らない俺は、引きつりながらもヒジリにたずねた。
「昨日は忙しかったの」
「フフフ。どうしよっかな~でも・・・ヒデに~には秘密を教えちゃおうかな~」
ヒジリは、気絶しているオヤジを簡易ベッドの上に投げ捨て、俺の腕を引っ張ってテントの外に出る。
「しっかり歩いてよ。ヒデに~。」
西部劇で馬に縄で引きずられながら血だらけになる囚人のような恰好から、ようやく解放された。
そして、そのまま簡易移転門に連れてかれ亜空間に転移させられた
明るい大地のもとでみるヒジリはやはり背が伸びている。これからおこる事でヒジリ達に起こった変化の原因がわかった。
ヒジリは魔法少女のような軽やかなステップでクルッと一回転した。
その瞬間、白虎をあしらったチャイナ服を着た、御団子頭が可愛い淑女ヒジリに変身した。
妖艶な姿で俺にウインクすると、また軽やかなステップでクルッと一回転した。
チャイナ服から今度は目に眩しい真っ赤なレザーボディースーツを着た峰◎子バリのナイスバディのヒジリに変身した。
少し照れてるのか恥ずかしいのか涙袋のところにかすかに涙が見えた。左手でゆるふわなロングヘヤーをなびかせながら、直ぐに一回転して変身をまたする。
次は真っ白なウエディングドレスのような華やかに着飾った。
てへへと笑ったヒジリはもとの運動しやすい格好になった。
ちなみにブルマに体操服である。これは絶対にオヤジが持ってきたものだとわかっている。出なければ、ヒジリが起こしに来てくれたとしても朝からあからさまに邪神が天にお祈りを捧げ続けることもないからだ。
「ヒデにー。あと、いくつか変身できるようになったんだ。どう、凄いでしょ。特訓の成果なんだ」
「変身のバリエーションが増えたこと特訓の成果なのか?それより、昨日寝ないで特訓したのかヒジリ」
「ちゃんと美容のためにも寝たよ。乙女心がわからないんだから。でも凄いんだよ」
そう答えたヒジリは首にかかっているホイッスルをピーと思いっきり拭いた。
ヒジリの周りに竜巻ができるように風が吹き込む。姿を消すかのような土煙が上がったのもつかの間で、直ぐにおさまった。
「ぜんたーい。変身!集合!!!止まれ!整列‼右習え!休め‼番号!1.2.3....」
今日も幼女精霊は元気だ?え?え、ええ、えーーーーー!少し背が伸びてる!!!
幼女というより、少女になってるー!!!
それもなにそのかっこうわー!!
驚きすぎると。声が出なくなるって本当だ!
「な、な、なんで精霊幼女・・・・精霊少女がロボット兵が着けそうな攻殻武装しているんだよ。武装したプロテクターもその下に来ている服もアーミー仕様になってるのか」
「そうなんだよ。カッコいいでしょ。強そうでしょ。強いんだけどね。でも個性をだしたかったから、みんな弱冠、色と模様も変えてるんだ」
「ほほー砂漠用や寒冷地仕様にも変化できるのか・・・凄いな」
俺が関心していると俺の背後にいつの間にか人が立っていた。
「ご協力感謝します。実験は大成功です。これでこの異世界の作業がますますはかどります」
「え、え、どういうこと」
俺が呆然としていると、攻殻精霊少女たちは軍服を来た強面の兵士に駆け寄った。
「教官ありがとうございます。私たちも立派なソルジャーになれました。これも、教官からの熱血指導をしてくれたおかげです。胸を張って卒業できました」
おいおいどういうことだよ。ヒジリまで一緒になって涙ながらに教官と名乗る男に感謝しているじゃないか。
俺が呆然としているとき、背後にオヤジが立っている。ダメだ。成長してないのは俺だけかもしれない。
親父は遠い空を眺めながら「よくがんばったな」と独り言をいっている。
「どうなってるのか教えてくれオヤジ」
「エッ?言ってなかったな。精霊たちに協力してもらうことを」
そういうと、オヤジは大きなテントを指さしながら説明を始めた。
異世界と地球の環境は違うということはそこで生活するには大きなリスクがある。大気中に含まれる元素の割合や成分の違いもそうだが、生命維持をさせる驚異といえるリスクの存在を示した。それは病原菌といったウイルスの存在である。
オヤジは話を続けたまま、伸ばしている腕をもう一つの腕を磁石でできた玩具のように外して見せた
「これは擬態だ。アバターとかアンドロイドといった体なんだ。そうだ、顔の皮をはいで見せようか。かなりヤバいぞ」
「いいよいいよ。話を続けてくれ」
ニヤニヤした擬態オヤジは剥がそうする手に落とした腕を渡す。オヤジはそうかと言って腕を装着しなおしながら話を戻した。
「急造だからちょっとした過激な実験をしてしまうと変えがないので、ちょっと精霊たちにお手伝いしてもらったんだ。精霊たちも、進化したばかりで本来の力が今一出せないなんていったから、ついでにチョコっと指導してやったんだ」
オヤジのとうまわりをした話を要約すると、地球ではまだやったことのない科学実験を精霊にやってもらったそうだ。
その実験とは亜空間異世界に重力場制御装置を設置して時間停止させる実験を行ったといっていた。
結果的に亜空間異世界の特定範囲であるが、時間停止出来たそうだ。
それを聞いた時、俺はオヤジの胸ぐらを掴んだ。
「危険な実験に生身のヒジリを巻き込んだのかよ」
「何怒ってるんだ。ヒデオ。俺がヒジリが参加する実験に安全を確保しないとでも思うのか。疑うなら、お前も行ってみればいいぞ。すっかり学園都市そっくりな都市が出来てるからな」
俺は唖然とする。ヒジリもオヤジの横で3本指をかざして3年過ごしたと言っている。
オヤジが寝てない理由がこれか・・・でもアンドロイドのような擬態も調子悪くなるものかな~?たまにはメンテをしなさいと思っていると、ヒジリも教えてくれた。
「凄いでしょ。精霊たちも学校にいって一緒に勉強もしたんだから。それに精霊たちのおかげで、ますます、私強くなったんだからね」
「さっきのヒジリが変身したのは精霊たちのおかげなのか」
訪ねるとすぐに一回転しながらチャイナドレスの淑女に変身すると、雷の攻殻少女も同時に光りその場からヒジリに吸収された。
変身したヒジリは結んでいた御団子頭の髪をさわってパラッと髪をほどいた。
「この容姿になる成長具合が雷の精霊ちゃんで、服や靴、そしてこの髪紐なんかは白虎ちゃんなんだ」
ヒジリは髪紐を鞭にかえたり、鎖鎌やモーニングスター、そして春秋大刀に変化させてみせた。
パチパチパチ。
「すごーい。ヒジリ。強くなったんだな」
「そうよ。勉強も頑張ったんだからね。算数の文章問題も英会話の頑張ってるんだよ。これも秘書さんと教官のおかげなんだ」
相当、仲良くなった秘書さんから学ぶことが多かったと見える。
「そうなんです。ヒジリちゃんは優秀な生徒なんですよ。ウフフ」
変身したヒジリの後ろから現れた秘書さんは大きな胸をより張っている。さわりたいがまた背中から踏まれるのが堕ちだろう。ここはぐっとこらえてヒジリに聞いてみた。
「どうして、そんなに頑張るんだよヒジリ」
「ヒデにーそれはね・・・ヒデにーの足手まといになりたくないの。精霊たちもそうなのよ」
「どういうことヒジリ・・・」
ヒジリは唇をぐっとかみしめながら下を向いた。
「ヒデにーはこのゲームみたいな異世界をクリアしちゃたの。それもあっという間に裏ボスの邪神を倒しちゃってさ・・・今は2週目のアイテムとレベル上げみたいなエンドコンテンツをスラハク状態で楽しんでいる気分でしょうが、私は表のボスもまだ倒せてないの」
そう主張するヒジリに俺は現状を冷静に教えてやることにした。
「おいおい、ヒジリそれは間違っているぞ!お前は選ばれた勇者であり、イージーモードを許されたチーターなんだぞ。考えてもみろ、既に、2週目を楽しんでいる仲間と精霊神になれる仲間や召喚獣ともいえるペットに過保護ともいえる、異世界からの軍隊を率いているヒジリは既にストリーをこなせばクリアできるほどのエクストライジーモードなんだよ」
「でも、ヒデにーが認めてくれないとだめな気がしてるの・・・」
「わかったよ。よく頑張ったな。後は一緒に魔王倒してクリアしようぜ」
ヤバい妹ツンデレは俺の防御耐性どころか、心のシールドまで剥がされそうになる。
妹をいい子いい子と頭を撫でていると、変身を解いて、精霊少女たちも我先にと俺の前に並んだ。
お前らどんだけ俺になついてるんだよ。何もしてないのに・・・
俺の心を呼んだのか精霊少女たちがおのおの俺に感謝してきた。
「ヒデオ様のおかげで進化しました。このまま上手くいけば神化して精霊神にもなれそうです。もう少しだけ私たちの旅にお付き合いください」
「もう、わかったよ。それにまだお前たちの仲間を救出してないからな」
俺はヒジリと光の精霊少女の手をとり握手させた。
そして、ポータルゲートを通って異世界の地下洞窟に設置してある転移門に戻って来た。
既に戻って来いた親父は部下に命じて荷物を用意してくれた。そして、オヤジは旅立つ俺たちに声をかけた。
「砂漠にいる魔王軍は監視しているから安心しろ、何かあれば連絡するよ。こっちで仕留めてもいいんだけどな。パパたちはあくまでも勇者ヒジリちゃんのバックアップだからな」
そういいながらオヤジはヒジリには異世界で仕える通信機器を持たせた。
「さみしくなったら連絡してよヒジリ。一瞬で行くからね」
ヤバいこのキモオヤジならホントに一瞬で現れそうだ。それに異世界に最新兵器を纏った勇者が闊歩してよいのだろうか、そっちのほうが心配になる。
攻殻精霊少女たちも教官との別れを惜しんでいる。
それに秘書さんが俺に名刺を渡してきたことが気になった。
名刺の裏には電話番号と暇なとき電話していいよと書いてあった。いつ、秘書さんの好感度を爆上げしたのだろう。思い当たるが気にするのは良そう。まだ、俺は大人の階段を駆け上がるにはまだ早いからな。
もちろんシスコン童貞には早いなんて俺はこれっぽっちも思ってないんだからな。キリッ。
さあ、攻略を始めようか!
アサルトライフルをもった兵士たちに見送られながら俺たちは攻殻精霊少女たちが作った転移魔法陣で転移しようとした。
しかし、目の前に土下座をしている双子の氷の精霊がいた。大狼のフェンリルも情けなそうにしている。
見なかったことにできない状況でみんなが大声で叫ぶ。
「「「「「「「忘れてたー!!」」」」」」」
そして今日も俺たちの冒険を頑張ることになったのだ。
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読みにくいところがあるかもしれませんがご了承お願いします。