10 秘匿情報
異世界攻略って立場が違うとかなり違うなー
個人戦より団体戦の方が楽に決まっている
パンドアラーク・・・それは、古の頃より、高度知的生命体が宇宙進出そして生命活動の拡大を見据え生命の在り方さえかえる大事業といえる宇宙移民計画。
古の知的生命体は人類の夢である不老不死を克服していた。彼らは事故死などの不慮の事故死のような運命もコントロールすべきハイパーコンピュターといった高度なテクノロジーはおろか、未来予測シュミレーション人工知能といったものを利用して突発的な死さえ克服した。それだけなならまだしも、彼らは死んだ後の世界まで制御をできる技術を手に入れてしまった。
その技術は輪廻転生をコントロールする技術。彼らは生誕する環境を選べた。また、新たな生命をデザインして転生することも可能になった。環境も親も選べ、なおかつ自分自身の身体能力まで想いどおりになる世界。彼らは人生を謳歌し、躓けば新たな人生を歩む。
しかし、そんな彼らの末路は想像どおりであった。人口は増える一方で惑星の資源を食い尽くす。宇宙に進出してもスペースコロニーをいくつも作る資源さえない。作っても住める住人の数が決まっている。
彼らは新たな目標をもつにいたった。それは、新たな母性となる惑星を見つけること。母性になれない星でも新たに開拓して生命活動できる惑星にする。さらに、他の知的生命体が活動していれば侵略するという選択肢が挙げられた。
しかし、彼らは死を克服した生命体ではあるが、宇宙を旅する中で、あらゆる選択肢を加味して宇宙拡大の旅をすることを決めた。彼らの技術の粋を集めた亜空間航行可能な貨物宇宙移民船は『はじまりの船パンドアラーク』と呼ばれた。
食料摂取や排泄物管理をせずに、長くとりどめのない終わりのない旅をするパンドアラークには数万の生命体がいくつかの段階でスリープ状態技術が欠かせなかった。
それにはスリープ状態は石化や冷凍以外にも存在していた。
新たに生命体自体の構造をデザインして亜空間航行の補助にいたるまでの擬態技術もちろん、仮想空間といった環境シュミレーションをつくりバーチャルスリープといった常温仮死状態のようなものから、霊体・霊魂といった意識化を管理するための装置を利用して人工的な夢をみせたり、疑似体験をバーチャルワールドで意識を活性化させ続ける必要があった。
パンドアラークでまだ見ぬふるさとを見つける旅の覚悟は移民となる乗組員全員の共通認識として、スリープ技術を高次元知的生命体の次なる高みを目指すことに利用してした。
次なる高みとは・・・神になることに他ならないといっても過言ではなかった。
生命体としての構造デザインが可能な彼らは、スリープ技術を利用して、仮想輪廻転生を行った。既に不老不死である彼らは死によってもたらせられる進化の可能性を自ら摘んでいたことに気付いた者達によって、仮想輪廻転生を繰り返した優秀な魂をもった個体が惑星移民といて認められた。
なぜならば、かすかでも生命活動可能惑星に移住しても新たな母星開拓の可能性を高める必要性があったからだ。
もし、おりたった星に別の知的生命体がいたら共存を目論まなければいけない。その場合、有利な立場にたち交渉する必要がある。もし、神としての絶対の力を持っていれば撃退や消滅の危機といったことから回避できる。
また、虐殺や侵略といった行為をすればその生命体全体に遺恨ができ未来にも影響を及ぼす可能性があるからである。
パンドアラークの長い航海の歴史でも少なからず、古傷となる遺恨は存在していた。
だからこそ、すべての移民乗船員に強制的に仮想輪廻転生を強要した。
しかし、星神のように進化といった神化が出来た者以外にも仮想輪廻転生の輪から外れ、
星におりたつ者も多少はいた。
おりたつ惑星環境にあわせアンドロイドといったロボットや擬態といったアバターに封魂したり、新たに想像した生命体に意識を封入する術を使い移住する者もいた。
また、仮想輪廻転生技術を利用してその惑星の先住者となる者達の生死を利用する先住者輪廻転生技術を確立して先住者の生誕を利用したあらたな生命に宿るようになった。
この技術は不老不死で進化を超越した高次元生命体の彼らにとって画期的なものでもあった。
それは、同種間での生命繁殖には劣勢遺伝といったものが不の遺産がつきまとっていた。
だからこそ、今までは生物構造デザインをして人工繁殖させなければならなかった。
異性感の愛の結晶としての生命誕生はおろか、愛情とはまったくない。ただ、新たな優秀な遺伝子を持つ高度生命体を誕生させるだけであった。
仮想輪廻転生が終えてない者達にとっては、互いの価値を認め合う生命を誕生させ、新たなる進化の可能性を秘めた存在になれる。そして、宇宙に放り出されて、新たに生命を存続させなければならないといった生存本能に即した価値観を満たすには十分であった。
しかし、星神とともに未成熟といえる彼らがおりたつにはパンドアラークの手助けが必要に思われた。
新たな生命体に寄生ともいえる状態となるためには、死後の世界まで介入できる技術が必要であった。
彼らは輪廻転生といった概念から技術を普及させるべく、死後の世界を移住した惑星ごとに作る必要性があった。しかし、その転移転生した生命体ごとの運命を司るには設備も生命体に関するあらゆる情報も不足しているのは当たり前であった。だからこそ、輪廻転生を繰り返す度に、記憶といった情報を搾取されることが星神と呼ばれなかった者達に義務化されることになっていた。
そして、星神としておりたつ者は惑星を住みやすく移住しやすい環境にするために持てるスキルを駆使して開拓をすすめた。
だが、ここはいかに仮想輪廻転生をして、あらゆるシュミレーションという惑星開拓といった攻略ゲームをしただけに過ぎず、未開の土地で不老不死で想定した災害や事故から身を守っても不慮なことがおこる事もある。
そのための優秀な星神になった者達の生命維持のためのバックアップにパンドアラークは必要であった。
だが、この広大な大宇宙には誤算はおおいにある。輪廻転生といったものは、パンドアラーク以外でも管理している者がいたとしたら、在る惑星におりたった星神もそのカルマから逃れられないこともあった。
だからこそ、不祥事に近いこのトラブルにまきこまれないためにも、パンドアラークにも渉外・外交を専門にする者も存在した。それにともない、軍隊や警務はもちろん、暗部と呼ばれる影に潜む者たちもいた。それはまるで一つの国家ともいえる存在である。
パチパチパチ。
「ほーさすが詳しいな。でもオヤジ。ひとりごとのようにナレーション風に話て、楽しいのか。廃人歴が長すぎて拗らせてるのかよ」
オヤジは俺が手を叩きながら、持ち上げ突っ込んで落としてあげたら、顔を赤らめながら、読み上げた手帳をしまって、時計を見た。
「もう5分たったな。戻らないと」
「オヤジ最後に教えてくれ、学園都市の住人がこの異世界のどこにいるか把握しているのか」
「ああーお前はまだ知らないのか。この異世界にはもうほとんどいないぞ。これは俺の仕事だから最後の一人まで救出しないとな」
俺は既にオヤジ達が何かしらの手を講じたことを悟った。でもあの規模の住人の異世界救出劇とは・・・どんなウルトラCを使ったんだろう。気になるがまだ、救助出来てない者とは・・・そちらの方が気になる。なにせ、オヤジの大事なヒジリちゃんの救出が後手に回っているからかもしれない。
そんなオヤジはタバコをふかしながら、後ろ姿で手をふりながら亜空間異世界から異世界に転移していった。今度、パンドアラークの住人に聞かれたくない秘密は亜空間世界を利用しようと俺は理解した。
やばい!オヤジ・・・あのー俺も異世界にもどるんですけど。
俺は走ってオヤジと共に異世界に戻った。
異世界に戻ってみると、オヤジが引き連れてきた軍や特殊部隊の部隊長たちが整列している。
整列部隊長の後ろの方で、精霊幼女たちが腕立て伏せをしている。
「そこー。たるんでるぞ。連帯責任だー!やり直し~最初からだー」
「「「「「イエッサー」」」」」
おいおい、たった5分で精霊幼女たちに何があったんだ。でも気にしたら負けだ。ほっとこう。でも激励だけはしてこう。
「一番端が手をぬいてますよー」
「こらー手を抜くなーやり直しー!!」
「「「「「イエッサー」」」」」
すがすがしいな。ところで、ヒジリはどこにいったのかな。っておい何やってるんだ?
「ヒデにー。ここがわからないよ。教えて~」
ズコー!
「何で異世界まできて宿題やってるんだよ。でも。ヒジリ。まだ、分数の割り算わからないのか。やりからは割り算を掛け算にしてそのあとを分数を上下を逆にするんだよ・・・」
それにしても、積み上げている参考書の量も凄いな!
どうやら、オヤジについている秘書さんが暇を持て余さないように気を聞かせたみたいだ。
かなりできる秘書とみた。今度、賄賂イヤ、人気のスイートをわたしてこう。アッ異世界にはないか。でも、綺麗な宝石はあるかも。。うーん指輪にしてあげようかな・・・
しばらくすると、部隊長たちからの報告と指示を終えた父が来た。
「ヒジリちゃん。パパがいなくなって寂しくなかった」
「パーパー。はびじかったよー。ひでニーと一緒にいなくなるんだもーん」
「かわいそうになー。しょうがないなー。甘えん坊のヒジリちゃんにはお小遣いあげよう」
「ありがとう。だーいすきパーパ」
やばい。目の前で新手の親父狩りが行われている。そう言えば、ヒジリはいつもブランドの洋服を身に着けている理由がわかったかもしれない。
「パーパ。僕チンにもお小遣いちょうだーい」
バキ!ボコ!バフ!!
「気持ち悪い!ヒデオ何か悪いもの喰ったのか」
久しぶりの右フック。効いたぜ!あーあ。たまには甘えさせてくれよ。
茶番は早々と切り上げ俺はヒジリの前で俺はためらいがちにオヤジに聞いた。
「あのー義母は・・・」
「元気だよ。ヒジリも安心して。ママは騒ぎのせいで官邸に缶詰状態になっちまったがな・・・」
ヒジリはオヤジに抱きついて泣き出した。多分、我慢していたのが一気に思いがあふれてしまったんだろうな。
少し2人だけの時間を作ってやろう。目の前で死んだやるせなさや後悔もあるんだろう。
俺はその場を離れ、汗だらけの精霊幼女たちを解放に向かった。
でもかすかに、親父とヒジリの会話が聞こえた。
「あの時パパとママも一緒にヒジリをドクターヘリで運んでいたから助かったんだ・・・」
後ろから聞こえてくるオヤジの声でホントの親子になったんだなーとわかった。
廃人だったオヤジを思い出して俺は涙がこぼれそうになった。
「もう、大切な家族をこれ以上失わない!」
俺は知らぬ間に声に出していた。
視野が広くなった俺はこの地邸洞窟をグルって見回した。
あっちでは、重機と一緒に聖獣たちも一緒に働いてる。
たった数時間も経ってないうちに、仮設住宅が出来始めていた。
さすが災害復興のプロだよ。俺らの国は!なんて思っていると、いつの間にか、異世界の亜人たちと一緒に笑いながら食事を食べている光景もできる。
食事の配給や怪我人の治療、そして、都市計画を見据えた復興相談まで・・・さすがである。
多分、外交を視野に産業復興まで見据えてるぞ。抜け目ない。間違いない義母がオヤジを主導してる。ホント駄目オヤジを引き取ってくれてありがとうママ。
うん!あのできる秘書もママの息のかかった者かも。間違いない!そう言えば、あの女性が糸を引いてる組織や会社がいくつもあったなー。知らないふりしないと不味いんだったっけ。あーあ俺は気にしない気にしない。
「ありがとうございます。教官のおかげで仲間の救出できそうです」
おいおい、お前らなにやっとんじゃ!救出訓練してたんかー!妙にたくましくなてる気がする。俺いらなくねー。
精霊幼女隊は一列になり、一礼すると、俺の方に駆け寄った。
「全員止まれ。整列!番号・・・1、2・・・・」
おいおい、集団行動まで身に着けている・・・あと、何をしこまれたんだ・・・この教官恐ろべし。
俺の横に秘書がやって来て俺に書面を渡しながら説明を始めた。
「これからの未来英雄様の行動をお伝えいたします」
そう告げると俺の異世界でやることを伝えてくれた。どうやら、俺たちはオヤジたちの軍隊の斥候になるようだ。
優先順位は残りの精霊の救出をしてから、この異世界の不自然な地殻変動を精霊の力を利用して安定化させなければならないらしい。
当然、ヒジリの魔王軍撃退作戦も、オヤジの軍隊をバックアップをしながら行うとのことだ。
各地魔王軍が率いるデビルマーチを鎮圧しながら、瘴気汚染や妖気汚染などの異世界転移の阻害する因子を封殺する。占拠されたダンジョンや塔などのラビリンスを精霊・聖獣の管理下に置かせる。
異世界各地を訪れビースト・パレードのような安住の地を追われた、亜人達に仮りそめでわあるが復興村を建設する。そして精霊結界をおこない、安定的な転移門を設ける。
工程表をみながら、秘書に質問した。
「人間の村や町はどうするんだ。」
「この異世界の聖女であるヒジリさんを窓口に教会から各国の指導者層たちと接触を試みます。詳しくは話せませんが・・・」
わー!一瞬、秘書さん悪い女の顔になった。そうだよなー。純粋な亜人達ならこちらの真心を素直に伝わるけど、できるだけ大きな貸しをつくても、ここでは俺たちは異界人だから、国家という枠での交渉は海千山千に任せた方がいいな。
俺は妙に納得しながらも、安心感からか今日は早く休みたいと思った。
ブックマークと評価お願いします。
誤字脱字は後日直します。見逃してくれよー