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エピローグ

 ドルイドが入って来た通路を暫く歩くと、小さな部屋に行き着いた。

 そこには一組のテーブルと椅子があり、テーブルの上には小さなモニターが置いてある。どうやら金色の虫の映像はこのモニターに表示されていたようだ。

 近くにあった戸棚の中に食料やらちょっとした魔法のアイテムが入っていたため、仲間達にばれないように拝借する。

 洞窟の管理者用の通路に罠など仕掛けられている筈などないが、小部屋を出た後も念のため、俺が先頭を歩いた。

 少し歩くと、あっという間に外の明かりが見えてきた。この洞窟は相当グネグネと曲がっていたようだ。

 俺達は洞窟の入り口とは別の場所に出たが、周りを確認すると銀星がヘロヘロの雄馬一頭と馬車を引いて走ってくるのが見えた。銀星の耳は盗賊並みか?

「ヒヒーン、ヒヒーン、ヒヒヒーン!」

 銀星が騒いでいる。一体、何を言っているのだろう。

「二日も帰ってこないから心配した、と言っているニャ」

 クロノが後ろでボソリと呟く。獣人は動物と会話が出来るらしい。初めて知った。

「へ〜、二日も掛かったのか。どうりで疲れたわけだ」

 あまり疲れていなさそうなカリューが言う。カリューは獣人の癖に銀星の言葉は分からないようだ。やはり純正品ではないからだろうか。

「腹も減ってるみたいだニャン。後ろの雄馬もヘバってるニャン」

 シャインに言われて秋留が荷台から銀星と雄馬の食事を取り出すと、二頭は鬼の様に餌を食べ始めた。

「ワシらも少し休憩しませんかな?」

 太陽の位置からすると昼前だろうか。俺達は荷台や地面に座ったりしながら、全員で仲良く食事をし始めた。

「この後はどうするんだ?」

 いい加減保存食に飽きてきたが、後少しで港町の美味い料理を食べられる事を期待して、干し肉をかじりながら言う。

「あたし達は盗賊団と合流して、また盗賊稼業に戻るニャン」

 シャインの台詞に少し考えながらカリューが答えた。

「お前らの強さなら、普通に冒険者をやってた方が十分に金を稼げると思うけどな」

 カリューらしくない説得力のある良い台詞だ。

 カリューの台詞にシャインもクロノも眼を見合わせて照れている。

 これで獣人盗賊団は解散という事になるのだろうか。

「私達はドルイドを港町の治安維持協会に引き渡してから、カリューの獣人化を何とかするために、別の大陸に渡ろうか?」

 秋留の言葉にカリューが「あっ」と小さな声を上げて自分の頭に生えている耳を触ったり、身体中の青い毛並みを触ったりした。どうやら、自分が獣人化している事を忘れていたようだ。

 人間、慣れと言うものは怖い。

 ちなみに治安維持協会とは人間同士の犯罪などを取り締まる協会だ。魔族討伐組合とは対象にする相手が違うと言ったところか。

「じゃあ、そろそろ出発するか!」

 カリューが元気に言う。獣人化を治したいという気持ちがまた復活したようだ。

「僕達のアジトはこっちだニャ」

「冒険者としてどこかで会ったら、その時はまた一緒に冒険しようニャン」

 クロノとシャインは手を振りながら言うと、俺達とは反対の方向へ走り出した。あいつら最期まで元気一杯だったなぁ。

 食事を済ませた俺達は二頭の引く馬車に揺られて港町ヤードを目指して進んだ。

「ああ、そうだ。ブレイブから借りた短剣返しておくぞ」

 俺はカリューから短剣を受け取った。モンスターからの返り血により色が少しおかしくなっている。宿屋に着いたら少し磨いたほうが良さそうだな。

 俺は腰の鞘に短剣を戻した。

 ……あれ? 短剣のサイズが合わない。モンスターの返り血が固まって少し大きくなったかな?

 俺は深く気にせず背中の鞘のサイズを調整して短剣を収めた。

「町に着いたら、美味い飯を一杯食うぞ〜!」

 俺の叫びに他のメンバーが答える。

 俺達の長い洞窟探検はこうして終わりを告げた。

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