再び
あ、おひさしぶりです。久しぶりに更新です。少し短いですがお許しを。
カッと目を見開いた、アケディアから赤い光が蠢く。
そのまま赤い光はとぐろ巻き、アケディアを包みこむように収束していく。
その凄まじいエネルギーの奔流により、建物や地面が倒壊してする。
「ヴアアアアアアアアっ!」
腹の底にまで響くアケディアの叫び声。先程の余裕たっぷりの声音からはとても想像できない獣のような声。
見れば、アケディアの体からはあちこちと角の棘のような物が生え、青い瞳は血のように赤い。
まるで血に飢えた猛犬のようだ。
これが奴の称号『凶戦士』と言われる故か。
アケディアは四つ足の体勢で、うめき声を上げるとフッと消えた。
そう気付いた時には、すでに俺は衝撃を受けて吹き飛ばされていた。
遅れて俺の左腕の辺りからは鮮血が飛び散る。
いつのまに。全く反応すらできない間に回り込まれて攻撃をくらった。
「ぐうううっ!」
吹っ飛ばされた俺は勢く建物へとぶち当たり、砂煙を巻き上げる。
そこで俺は危険を察知して慌てて、建物の外へと身を投げた。
遅れて俺のいた場所に黒い球の衝撃が響き渡る。
速い。
そう心の中で呟き、身を投げるようにして建物の裏に隠れてアケディアの様子を窺う。
前方には獣の如く、姿をしたアケディアの姿がこちらを強く睨んでいる。
俺は奴を近寄らせないがために、紫電を走らせ、土の杭を作り次々と撃ち出す。
それをアケディアは四つの足をつかいながら俊敏に躱す。
魔法が外れて土煙を巻き上げる。俺達の戦闘のせいでこの辺りはめちゃくちゃだ。スケルトンドラゴンがいる所も酷い有り様なのだが。
民家の屋根、壁を足場にして次々とアケディアが飛び回る。時には空中で結界を作り、自分の足場を作るために更に動きが捉えられない。
今までに見た事の無い速さと変則的な動き。
くそ、魔法が当たらない。
思わず舌打ちをしながら、魔法を当てるために形状を広範囲にする。
それによって何とか当たりはしたが威力が落ちたせいか、肌が少し抉れたくらい。
俺の広範囲魔法は効果が薄いと理解すると、アケディアは俺の魔法を喰らいながらもその牙を持って俺へと襲いかかる。
「……くっ!」
牙をなんとか短剣で受け止めるも、短剣は悲鳴を上げるようにギチギチと嫌な音を鳴らす。
このままだと短剣が折れて、牙の餌食になる。
そう思い行動しようとしたところで、アケディアの大木のような右足が振るわれる。
短剣を使って両手で防御していた俺はそれをもろに直撃してしまう。
自分のあばら骨が折れる感触。鈍痛のような痛みに顔をしかめながら俺は建物をいくつも貫き吹き飛ばされた。
もう立ち上がれる気がしない。
仮に立てたとしてもこんな状態でどうすればいいって言うんだ。
急に込み上がってきた何かを吐き出す。
血だ。
「ゴホッゴホッ……」
もはや咳き込むだけでなく、息をするだけでも痛みが走る。
服もボロボロ。擬態なんてとっくに解除されている。
異世界に召喚されてこんなところで死ぬのだろうか。
【――また死ぬのか?】
ドクンと心臓が脈打つ。
やめてくれよ。今はあばらが逝っていて痛いんだから。
【――こんな所では死ねないだろ?】
「……ああ、死にたいわけがないだろ」
初日に聞いた王城で聞いた声と同じ声。あの時は気のせいと思ったのだが、今回ははっきりと聞こえる気がする。
優しい声音でありながら、闇の底から轟くような声。その正反対のものが入り混じっていて矛盾しているように思えて違和感を覚える。
【――ならば力を貸してあげよう。ただしやって欲しい事がある】
「……何だ?」
【――――】
「……わかった」
そう答えた瞬間に、俺の身体から黒い光が沸き上がった。
【――我が名は魔皇帝……】
『俺、動物や魔物と話せるんです』
もよろしくお願いします。
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