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勇者召喚された魔皇帝  作者: 錬金王
ビストリア争乱編
31/40

とまらない


ドーノの町を馬に出発して、半日。

現在は俺達の昼飯兼、馬の休憩中だ。


まだビストリアへの道のりは長い。急いでるとはいっても、馬に負担をかけて潰してしまっては元もない。


「ルーナ休憩の時くらい落ち着け。こっちがそわそわする」


「は、はい……ごめんなさい」



ルーナなんてあからさまに落ち着きが無く焦っているのがわかるが、これは仕方ない。


一日や、二日で王都に着くものでもないしな。


魔物との遭遇や、進行具合で時間は変わる。


さすがに元将軍のカーシュはそこのところをよく理解しているのか。無駄がない。


ロッテは少し緊張している。今から緊張してどうするんだよ。いつもより急ぎ足なだけの旅だろ?


そりゃ魔族と出会うかもしれないが。まだ先だろう。


王都の近くや着いてからが俺は怖いんだが。



トトは変わらない。 さっきつまみ食いしようとしてお仕置きした所なんだが、元気だな。


この世界では、旅の途中では大抵が硬いパンや、干し肉だ。あとは、芋を蒸かすとかそのあたり。


俺達の場合俺のアイテム袋のお陰で、どんな食材でも新鮮な状態で持ち運び調理できる。


日本人としては、硬いパンと干し肉なんて堪えられん。


これをくれた人アリス王女だっけ? とにかく第一王女には感謝だ。



そして今は、市場で買った魚、カーシュが途中で仕留めたホロホロ鳥が昼御飯となった。


魚は簡単に塩で味付けをし、ロッテに焼かせている。


現在は俺はカーシュが捌くホロホロ鳥を観察中だ。


「まあ、こんな感じだ」


「ほうほう」


なるほど、筋肉それば刃物を使わなくても手でもある程度解体できるんだな。


あっという間に解体できたホロホロ鳥。


鳥か~。本来なら唐揚げといきたいが、そういうのは時間がある夜でいいだろ。


普通にフライパンで焼いてソースをかけるか。



あっという間に完成する。料理。


途中ルーナもホロホロ鳥をつまみ食いしようとして、カーシュに怒られてたな。


王族だもんな。はしたないよな。



食事はいつも通り大量になくなる。


作った食事は何も残らなかった。


カーシュは最初にうまいと言うと、ずっと無言で食い続ける。


こいつも大食らいか。

美味しそうに食べてくれるのは、作る側としても嬉しいんだが、材料が無くなるぞ。


途中で収穫できる食材の知識をみっちり教えてもらわんとな。



楽しく食事をして、休憩をしたら再び出発だ。



それにしてもまた馬に乗るのか。お尻が痛くなるんだよ。







王都ビストリア 王宮


ーー王の間ーー



「ふん、フォーレン王国の王はそんなことは知らない。情報を確認するまで待って欲しいか」


フォーレン王国からの書状を見て、鼻で笑うビストリア王ルーガ。


「しかし、それが本当ならば少しの間待ってみるのも…」


汗を拭いながら狐の獣人の参謀マルヌス。


「そんな手に乗るものか。マルヌスこのまま兵士の編成を進める」


「は、はい」


参謀としては、王の為に別の提案をすることも大切だ。

マルヌスも大変だ。そうなると予測してまた別の事を進める。そんなマルヌスに追い討ちをかけるように問題がやってくる。



「ちょっと! お父様! どうしてアタシが待機なのよ! 」


ドタドタと入ってくるのは、第二王女のクーナ=ビストリア。


肩までの赤毛揺らし、綺麗な青い瞳をしている。しなやかな肉体は父親譲りだが、それ以外はどちらかと言えば母親に似ている容姿である。



「それは、さっきも言っただろう。聞き分けろ連れていくのはラーナでお前は王都の守りだ」


マルヌスもとっくに説明したのだが、聞いて貰えなかったようだ。血気盛んな王族でマルヌスの苦労がわかる。


「そんなの、お母様とじいちゃん達で十分じゃないの!」


「かもしれないが、戦場で何かあったら王族は全滅だぞ? 聞き分けろ。それにあの方達もいつまでも健在とは限らない」


「……そうだけど」


「ルーナと人間のことは俺達に任せろ。お前は国民達を頼む」


頭では納得してるが、心では納得できない様子で、悔しそうに小さく答えるクーナ。


クーナは一番ルーナのことを気にかけていたのだ、自分がこの手で助けたいと思うのは仕方がないのかもしれない。


「…わかったわよ。でも! そのかわり絶対ルーナを連れて帰ってきてよね!」


「当然だ」


ルーガの目をずっと睨んだ後に、クーナは出ていく。



「よろしいので?」


「ああ、あいつにはここを任せるんだ」



マルヌスの心配も無用のようだ。



すると、正面の扉近くから三人の歩く音が聴こえる。



「来たか、三獣士」


獰猛な笑みを浮かべ待ってたとばかりの表情を浮かべる。


「「失礼します」」


ノックをし、扉を開けて三人並んで入ってくるのは。


ビストリアの国の三人の将軍。三獣士。


ルーガから見て左側に、青熊獣人で大きな体格をしており、青い毛が特徴の男の獣人。


アシラ。


己の力に自信がある顔つきで堂々としている。


右側には、ほっそりとした白い毛並みの猫女の獣人。


ルーレイ。


ひらひらと動く尻尾と、しなやかで出るところはでてる体型はどこか妖艶である。



そして、真ん中を歩く三獣士のリーダー、

銀色の髪の毛に金色の鋭い瞳もつ、銀狼という稀少種の女の獣人。


ナーガ。


その気高い姿には、獣人なら誰もが見とれ畏れ抱くであろう。


銀狼の種族には、普通の獣化、王家に伝わる超獣化とも違う特別な能力を持つためだ。


【覚醒】その力は獣王ルーガでもっても超獣化を持ってとめるしか無いと言われている。



各兵士を束ねる、三獣士がここに揃ったということは、準備が終わったということ。


三獣士が頭をたれ、ナーガが顔を上げて報告する。


「ルーガ様、準備が整いました」


王の間に冷たく透き通るようなその声。


「そうか、マルヌスあれの準備もできておるな?」


「もちろんでございます」


マルヌスの言葉に満足そうにするルーガ。


「…三獣士よ……立て」


「「はっ!」」


ルーガは椅子より立ち上がり、三獣士とマルヌスを率いて、王都を一望できる王宮の高台に向かう。


そこからは、大きな広場がありビストリアの国民達が入りきらんばかりに、遠くまで国民で埋め尽くされている。


ルーガが高台に上がると、口々に王様だ!という声をあげ、静まる国民達。


「……準備は整った…これよりビストリア軍はアソビッソ平原に出陣する!」


「「我等三獣士はビストリアの牙となり! 盾となろう!」」



「「おおおおおおおおおおおーー!!」」


獣王ルーガの宣言と、三獣士の宣誓によりビストリアの士気は最高潮に達する。



これはルーナや紅一達がドーノの町を出る日のことであった。


















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