それぞれのステータス
おいおい、何だよこれ……
俺は浮き上がる自分のステータスを見て茫然とする。
まず注目すべき点は属性や称号欄に『????』と記されたものだ。
一体何があるんだ。
もしかして他の奴らに記されているものなのか?
俺は自分のステータスの事が気になる余り、リア充グループの方へと視線を向ける。
奴等は『お!すげえ!』などと、はしゃぎだし口頭で王女や王にステータスを報告している。
それを聞くと、奴等のステータスはこんな感じらしい。
赤城 勇人
LV1 人間 男性 16歳
HP100/100
MP80/80
ATK110
DEF83
AGI76
HIT60
INT70
属性 聖魔法1 光魔法1 火魔法1 風魔法1
スキル
剣術3
限界突破
HP回復上昇
魔装
称号 (異世界人)・(剣の勇者)
青木 唯
LV1 人間 女性 16歳
HP80/80
MP60/60
ATK108
DEF72
AGI120
HIT54
INT45
属性 聖魔法1 光魔法1 火魔法1
スキル
拳術2
体術2
限界突破
HP回復上昇
魔装
称号 (異世界人)・(拳の勇者)
室井 轟
LV1 人間 男性 16歳
HP140/140
MP30/30
ATK85
DEF130
AGI30
HIT55
INT32
属性 聖魔法1 光魔法1 土魔法1
スキル
大盾2
盾2
挑発
限界突破
HP回復上昇
魔装
称号 (異世界人) ・(盾の勇者 )
椎名 桃花
LV1 人間 女性 16歳
HP50/50
MP130/130
ATK32
DEF35
AGI45
HIT70
INT150
属性 聖魔法1 光魔法1 水魔法1 風魔法1
スキル
杖術2
瞑想
感知
回復上昇
MP消費軽減
MP回復上昇
魔装
称号 (異世界人)・(杖の勇者)
ステータスや属性にスキル、称号まで事細かに報告をしていく。
称号と言うのは、ステータスに大きく補正される。これも大事な物らしい。人によっては取得条件が異なることもあるし、その人しか手に入らない称号もある。
中にはバッドステータスというマイナス補正がつく称号もあるのだが、それが出るのは稀とのこと。
俺の称号には(異世界人)しか無いんだが。
どうやらステータスに『????』なんてものが表示されているのは俺だけらしい。
もはや最初から疎外感が半端ないんだが。
「ふむ、流石勇者殿だな。レベル1でこのステータスとは」
「はい。属性が三つや四つもあるなんて信じられません。 皆さん言い伝え通り聖魔法も使えるようですし。流石は勇者様です。」
赤城達のステータスを聞いて、満足気に頷く王と嬉しそうな王女。
……ほお、凄いんだな勇者達は。一番高いステータスだと、確か俺の十倍はあるぞ。
属性も基本3つくらいはあるし、スキルも戦闘向きだ。羨ましい限りだ。分けてくれないだろうか。
ちなみに、HPは体力。MPは魔力。ATKは攻撃的力。DEFは防御力。AGIは素早さ。HITは命中力。INTは賢さをそれぞれ示している。
属性は使える魔法の適性を示しており、魔法には下級、中級、上級、王級、神級まであるそうだ。王級や神級になると、もはや戦略兵器並みらしい。ちなみに、魔法は人によってそれぞれ同じ魔法でも形状、威力など違うようだ。魔法が中級から上級くらいになると名前が変わったり、場合によってはオリジナルの魔法になることもあるらしい。
そして、スキルには熟練度があり、種類によっては数値が無いものや多いもの、変化するものもあるそうだ。
この世界の一般人の成人男性のステータスはこんなものである。
LV10
HP20/20
MP8/8
ATK18
DEF11
AGI13
HIT9
INT10
……MP以外俺とそんなに変わらない。
つまり俺のステータスは一般人並みってことに。異世界にきて早くも俺は未来に不安を覚える。
それにしてもこのステータス画面は、どうも俺達の世界のゲームや漫画世界を彷彿とさせて、どうにも現実味がわいてこない。
いや、俺達の世界のゲームがたまたまこの世界のシステムに似ているだけだったのであろう。
さすがは日本人。創造力が豊かだ。
そんなことを考えていると、王女が少し気まずげな表情でこちらを見ていることに気付く。
恐らくここにいる全ての人間は悟っているだろう。勇者は既に四人現れた。つまり後一人残った俺はイレギュラー。
俺の存在は一体何なのか。
胡乱気な眼差しが俺へと遠慮なしに突き刺さる。
「あ、貴方はどうでしすか? もしかしたら五人目の勇者かもしれません」
俺は正直に答えた。
「いや…俺には勇者の称号は無いし、ステータスも一般人並みだ」
ここで早くも周りがザワザワと騒ぎ出す。
王女が慌てた様子で思わず叫んだ。
「そんな!? ……他に何か称号などはありますか?」
いきなり『????』があるんですよ!と言っても信じてくれるのか。
もしかすると、何か良くないことなのかもしれない。
迂闊に言うことは出来ないの『????』の部分は黙っておくことにする。
「称号には『異世界人』とだけしか記されていない。つまり俺は勇者ではないのだろう。召喚される時にたまたまコイツらの近くにいただけだ」
「ちょっと、あんた!私達クラスメイトで友達でしょ!」
青山がこちらを睨み、言いがかりをつけてくる。
確かに日本語ではあるが理解はできない。青山と言う奴からすると、俺でさえも友達と言うカテゴリーに入ってしまうのだろうか?
俺から話しかけたこともないし、まともに話したこともないのに?
「勇者は四人だろ? 本物の勇者はお前達だ。俺のステータスはお前達のように強くないんだぞ? お前達のステータスの十分の一程の数値なんてものもあるくらいだ」
「そ、それはそうかもだけど」
俺の低いステータスを聞いて、青木は言いよどむ。こう言えば強くは言えなくなる。
「でも同じ日本人だろ? 一緒にいた方が心強いだろ? 」
「うむ」
「そ、そうですぅ……」
他の三人も口々に述べるが気にしない。
付き合っていられない。
どうして気の合わない連中と過ごさなければならないのだろうか、赤城達のことだ優しく俺を気遣うのだろう。
そして俺のステータスを見て同情するのであろう。
そんな物はいらない。
日本でも同じようなことは何度だってあったんだ。それでも俺は自分の力で乗り越えてきたんだ。それは今さら曲げることは出来ない。
俺は一人で強くなる。
「……ごめんだな」
「なっ!?」
話を進めるために俺の考えを王女に述べる。
「とにかく俺は勇者じゃないし、そっちが勝手に召喚したんだ、俺に非はない。元の世界に戻りたい、何て甘い事は言わないが魔王討伐には行く気は無い。必要な強さもないのだから」
「え……えと、その……」
王女は困ってしまい、王に視線を向ける。確かに向こうからすると、俺と言う存在は邪魔であろう。
勇者と言う最優先人物が、いる限り足手まといである俺は不要。むしろ気を使うことが多くなり、王達にしても余計な心配をさせるだけだろう。
しかし、追い出すにしても勇者達のから心証を悪くしてしまう。
対応としてはしっかりと保護して、自立までの面倒を見ることが妥当であろう。
「……ふむ。確かに一般人であるお主のことを巻き込んだのは我らの非であるな。許せ。だが、この世界で暮らすにも情報は必要であろう? しばらくは城で暮らすがよいのではないか?」
少し上から目線なのがムカついたが、むこうはこの国の王なのだ。気にしないことにする。
勇者と魔王を倒しに行くつもりは全く無いが、この世界での目標のためにも大事な事だ。城で暮らしこの世界について学んでから旅立つこともいいだろう。
しかし、簡単にここの王族達を信用できるだろうか? 自分の世界が危機だからと訴えても、俺達からしたら関係のないこと。ましてや、自分達で解決せずに異世界の人間を頼って解決させようなどと。
信用できるはずがない。
「いや、大丈夫だ。少しのお金と情報さえくれれば自分で何とかやっていける」
日本で俺は散々学んできたのだから。
俺は一人で強くなる。誰の助けもいらない。