シーノ村での予感
ちょいちょい書いていってます。
ーーシーノ村 市場ーー
露店で肉を焼き芳ばしい匂いとばすもの、床に布を広げ食料を売るもの。武器を売るもの。防具を売るものがところ狭しと並んでいる。
フォーレン王国の王都とは違い、整理されているとは言い難いが、こちらも王都に負けない賑わいをみせている。
「随分と賑わっているな。次はドーノ という町だろう? なら次は、もっと期待できるな」
「ドーノはここのように賑わってはいないわ」
「どうしてだ? 町なんだからこの村の市場よりは、賑わっているはずだろ?」
「確かにドーノも人が多いけど。ドーノの町までは魔物が多いし、道も険しいから商人も少ないのよ。」
なるほど、確かにそんな所に普通の村人が稼ぎにいくのも厳しいだろうな。商人なら護衛を雇えばいいが、なかなかハイリスクだ。
「だから、より安全なここの方が人が集まるのか」
「ええ、小さな村でもここまでなら、わりと安全だし、ドーノの町には魔物を倒すための、優秀な兵士が多く駐屯しているしね。」
なるほど、この国の兵士達はなかなかの働き者のようだな。
ちなみにトトはルーナが1人宿にいるのが可哀想ということで、宿に戻った。
ということで、ロッテと二人でお買い物である。
何か知らんがさっきから、そわそわしたり、俺の顔を見たりと落ち着きがない。
そんなに弟がいないと不安なのか?
「おう、そこの兄ちゃん?だよな?声が男だし。どうだい俺の店、野菜から調味料まで幅広く揃えてるぜ? 」
ノリの良さそうな若い獣人が俺達に声をかける。
「調味料まであるのか!? 何がある?」
調味料はいくらあっても困らない。肉料理では毎回使うからな。うちの食いしん坊三人が増えてからは、塩、胡椒が減っていくばかりだ。
「お、おー、そんな必死になるな。こえーよ」
「ああ、すまん。で何がある?」
思わず店主の胸ぐらを掴んでいたようだ。まあ、調味料と聞いたんだ仕方ないだろう。
「えーっと、確か塩、胡椒、油、酢、高いけど砂糖も少しあるぞ?」
酢と砂糖だと! これは絶対買うぞ!
調味料、それにトマトに似たポンネの赤実、それとよくわからないがロッテが選んだ野菜を大量に買い、アイテム袋にぶちこんだ。
「しっかし、最近は兵士が多いな。兄ちゃん旅人だろ?何か噂でも知ってるかい?」
「いや、俺はロップ村からここに着いたばかりで知らんな。何かおかしいのか?」
「いんや、最近兵士の数が増えてな、食料やポーションを買い込んだりしてるんだよ。戦争でも始まるのかよ」
これはマズイ。ダラダラとルーナとこの村にいると何か厄介事に巻き込まれそうだ。さっさとビスとリアに向かってルーナを預けに行くか。
そうと決めたらさっさと買い物を済まそう。
お金はロックドラゴンを倒してもらった、金貨三十枚のお陰で余裕だ。まだ半分以上は余っている。
見渡した時にロッテが視界に入る。
あー、ロップ村で貰った服や靴もいいけど、この先魔物と戦うんだし、丈夫な服とか防具とか買ってやるか。
「おい店主、ここらへんに服屋とか防具屋とかあるか?」
「あー、ここから東に歩くと、そういう店がたくさんあるよ。」
「わかった。ありがとう。行くぞ」
「ええ、わかったわ」
さっきの店から東に道を歩くこちらは、先程の市場とは違い、綺麗に建物が並んでいる。
さっきのやり取りで、金を持ってるのがわかったから、わりと上等な所を選んで案内してくれたんだろう。
服屋、武器屋、防具屋、確かにかたまっている。
まずは服屋に入る。
「おい、服とか下着とか必要なもの予備も合わせて買ってこい。もう一人と弟の分もだ」
「えっ!?私達の!? この店のは高いわよ! もっと安い店のでいいわよ!」
どうやら自分達の買うものとは思ってなかったらしい。
「いいから、買ってこい。お金はちゃんとある」
しぶしぶ店員と一緒に選びに行かせたら、そのなかでも安いのばかり、選んできたので、高いのも1着ずつ無理矢理買わせた。
「銀貨八枚もお金、返せないわよ」
たくさん買ったのだが、値引きしてもらえたので銀貨八枚だ。
「返してもらおうとは、思ってないから気にするな。次の店行くぞ。」
そのあとは、武器、防具、小道具、靴と必要な物をどんどん揃えていく。
ロッテ達も動きはましにはなってきたが、Dランクの魔物はまだ荷が重いようで倒せない。
EランクとDランクはどうやら最初の壁のような気がする。
実際出会った魔物でもここのランク差での強さは大違いだ。
念のために、ロッテ達の防具を買う。胸当て、腕回り、足回りこれくらいでいいだろう。あまり重いのを着けても動きづらい
だけだ。
武器屋では、今の安物の短剣よりは上質そうなのを鑑定していくつか買った。
まあ、ロックドラゴンを倒して大分ステータスが上がったのだが、油断はできない。いつ急に、ドラゴンに出会うかわからない。
Aランクの魔物なんかもやめてほしい。
と考えていたところで、ぐゅるるるとお腹が鳴る音が聞こえてくる。
顔を赤くして慌てて、ロッテがお腹を抑えるが音はとまらない。
「そう言えば、とっくに昼を過ぎてるな。何か食いながら帰るか」
「……うん」
ご飯のことになると、素直になるので不思議な奴だ。普段からそれくらい素直だと楽なんだがな。
肉団子のスープや、肉の串焼きなどを買い、食べながら帰る。
こうやって二人で道を歩くと昔を思い出す。少ないお金で皆で、駄菓子を買って食べて遊んだな……
「どうしたの?」
急に食べるのをやめて、ボーッと歩いていたので変だと思われたのだろう。ロッテが心配そうにこちらを見上げる。
「何でもない」
宿に戻るとトトとルーナの話し声が部屋から聞こえてくる。
「いーや、きっと顔以外にも凄い傷があるのかもしれないよ。だってあれだけ、強いんだもん。きっとすごい修行の傷だって」
「むむ、それも一理ありますね」
「部屋同じだし、僕が確かめてみようか」
「しかし、見られたくないのに無理矢理見るのは駄目ですよ!」
「確かに、にーちゃんは僕達の命の恩人だし……でも兄ちゃんの顔……気にならない?」
「なります!」
何を話していると思ったらしょうもない。
「何が気になるんだ?」
俺はノックもせずに遠慮なくドアを開けて入る。
うん、こいつらならいいだろ。
「「何でもないよ(です)!」」
慌てて手を振りながら苦笑いをする二人。
さっきの話が全部聞こえていたので、誤魔化しても意味がないんだが。
とりあえず、同じ部屋のトトには警戒しよう。変なことしてきたら、しばく。




