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勇者召喚された魔皇帝  作者: 錬金王
フォーレン王国召喚編
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異世界召喚

初めての作品です。暖かい目で見てください。


 俺、黒木紅一は現在、王城の中にいる。


 床には真っ赤な絨毯が敷き詰められていて、壁には高価そうな壺や、壁紙、剣などの調度品の数々が飾られている。


 さらに、天井には大きなシャンデリアのような物が綺麗に列をなして並び、調度品に美しい光を当たり、より煌びやかな印象を与えてくれる。



 そして俺の目の前には、トランプのKINGでお馴染みのような姿をした王様。


 そして隣には、残念ながらQueenではなくピンク色のドレスに金色のティアラを乗っけた美しい王女様。


 これではまるで西洋のお城のようじゃないか。


 突然の状況の変化によって少し混乱してしまったかもしれない。頭を冷やすために少し状況を整理しよう。


 俺は確かに数分前までは高校の教室内にいたはずだ。


  それがどうしてこんな所に来てしまったのか……





 いつもと同じように学校に通い、授業を受けて昼休みをむかえた。


 チャイムが鳴ると同時にクラスのほとんどの生徒が購買や食堂へ、飢える獣のように走っていった。


 それはうちのクラスに限ったことではなく、少し遅れてドアの開く音が隣、さらに隣のクラスへと次々に聞こえてくる。



「うおっしゃー! 今日こそはカレーパン!」


「ちょっと退けよお前!」


「ちょ!おま! 押すなって」


「早く行けよ!俺の焼きそばパンが寝取られるだろーが!」


「ちょっと小島!さっさと行きなさいよ!あたしのメロンパン買ってこないとしばきだかんね?」


「ぐ腐腐、男子が廊下で…くんずほぐれつ」



 それと同時に男子達の雄叫びのようなものや、女子の女子らしからぬ声も聞こえてくる。


 最後の声は絶対俺のクラスの腐女子、前島だな。


 既に廊下に秩序と言うものは存在しない。



 俺はあんな飢えた獣のように購買や学食には行かない。


 自慢では無いが料理は得意な方なので、自分で作った弁当の方が美味しいし栄養もあるのだ。


 だから俺はこのクラスで数少ない弁当派なのだ。


 今の俺の自分の席は教室の一番左側の一番後ろの席。おそらく日本人においては最高の席に部類される位置だろう。


 皆端っことかすきだよな。特に電車とか。我先に皆端っこに陣取るよね。


 その端っこの最高の席で俺は弁当を食べようとしていた。



「わー! 勇人のお弁当美味しそうね!」


「そんな、ただの残り物だよ」


「もー、本当勇人のお母さんってば料理うまいよね……これじゃ私が作ってあげられないじゃない…」


「ん? 何か言った?」


「何でもない!」


「ふえぇ! 轟君はお肉ばっかりですぅ~!」


「ふん! タンパク質だ!」



  俺の他には、リア充のような男子二人と女子二人のグループが仲良さそうに和気あいあいと弁当を用意している。


 すると、気の弱そうな女と目が合った。


 特に何となく見てただけで、意味は無かったので直ぐに視線を剃らし、食事を始める。


 すると今度は気の強そうな女子の一人が友達のように声をかけてきた。


 名前は青何とかだったような。


「あんたもお弁当なの?」


  「ああ、そうだ。今食べてる所だから邪魔しないでくれ」


 俺は青何とか誘いの言葉を出すよりも早くに拒絶の意思を見せる。



  会話を終わらせ。食事を再会する。


  「何なのよ! 声をかけてあげたのにその態度!もういいわよ!」


  俺の態度を見て、女は言葉を吐き捨てて元のグループの所へと戻っていった。


 その後もご機嫌ななめな様子、で何か喚いていたが雑音はシャットアウトした。


 いや、友達でもない俺が混ざって食べるとか、それは拷問ではなかろうか。


  このクラスに嫌な人がいるとかということではない。分類的には明るいクラスのほうであろう。


  しかし、リア充組の発言力が大きいものとなっている、このクラスの雰囲気が俺は少し苦手だ。


 先生も気に入っているのか、リア充グループにひいきしてるのは明らかにわかる。クラスの何人かもつられて同調はしているが、後の半分の人は迷惑そうな反応だ。もはや諦めているのだろうな。




  やがて食事を終えて弁当箱を閉じた時事件は起きた。


  突然、教室中心の床に小さな金色の魔法陣のようなものが現れた。


「んおっ!?」

 

 魔方陣のような幾何学的模様が教室の地面余すことなく駆け巡る。


「ちょっと!何よこれ!」


「うわあっ!」


「ふえぇ!何ですかこれ!」


 リア充グループも下の魔方陣に気付いたのか驚きの声を上げる。


 やがて魔方陣は強く輝き、俺の視界全体が金色の光に包まれ、そして、真っ暗になっていった。






  ここまでが王城に来るまでの経緯。


 何のことやら。



 見上げると上の階には、見たこともない派手な服やドレスを着ているいかにも貴族っぽい感じの人達。


 ひそひそと『四人のはずでは…?』などと話す声がちらほらと聞こえてくる。


 何か向こう側でも予想外な出来事でも起こったのであろうか?


「え?……一体ここって…」


「え?……さっきまで私達教室にいたわよね?」


「ふえぇ……どうなってるんですかあ?」


「……わからない」


  横にいる制服姿の四人は見たことがある。っというか先程いたクラスメイトのリア充グループだ。四人ともキョロキョロと辺りを見回し、固まった。



  足下には魔法陣のようなものが役目を終えたのか、弱く光っているがやがて何も無かったかのように消えた。


  魔法陣が消えると、奥に座っていた王女様が腰まである金髪のロングヘアーを揺らしながら俺達の前まで優雅に歩いてきた。



「……」


「ちょっと勇人!何見とれてんのよ!」


  王女様に見とれていたリーダーが、気の強い女に耳をつねられている。


 勇人? もう少しでリーダーの名前を思い出せそうな気がする。何だっけ。


「ああ!痛い痛い痛い!痛いってば唯!」


「まったくもう」


 涙目になりながら、ちぎれてないかと赤くなった耳をさする、何とか勇人リーダー。


 苗字が思い出せそうで思い出せなくてもどかしい。


 唯と呼ばれていた気の強い女の名前は思い出した。確か青木唯だ。


 俺の記憶力を誉めてあげたい。


 俺達の前に王女様が来ると、王女様はドレスの端を摘まみ、淑やかに一礼をする。


 その姿には、男女問わずに見とれる美しさがあった。


 そして王女様は最高の笑顔でこう言った。


  「ようこそ勇者様! 本日は私達の召喚に応じて頂き、ありがとうございます!」


  俺は王女の言葉で理解した。


  あー、ここはゲームや小説などでよくある異世界なのだと。


  「勇……者? 勇者とはどういうことですか!?」


  「そうよ! 一体あなた誰なのよ!」


  何とか勇人が尋ねた。


 黒髪の優しそうながらも、芯はしっかりしていそうな顔だ。


  もう一人吠えた女は青木 唯。茶髪の長い髪を青い紐で束ねたポニーテールであり、スラッとした身体をしている。残念ながら胸は申し訳ない程度であり、小さい。


  あれ? 何かこっちをスゲー怖い顔で睨まれた。俺の心の中でも読んでるのか?


  キツイ顔をしてるが一応美少女の部類。


  もう一人の筋肉の塊のような黒髪短髪の男は室井 轟。コイツの名前は覚えている。よく休み時間に教室で「轟の筋肉すげー!」とかうるさいくらいに聞こえてきてたしな。体育会系の声は必要以上に声がでかすぎる。同じ室内にいるだけで、気温が三度くらいは上がりそうなくらいむさ苦しい。


 もう一人の黒髪のツインテールの気弱そうな女は椎名 桃花だ。

 こいつも名前を覚えている。人見知りなのか、いつもおどおどしている。誰かとぶつかる度に「ふえぇ!」などの意味の分からん声を上げる女だ。


  室井は静かに返事を待ち、椎名はどうしたらいいのかと狼狽えている。


  「申し遅れました。わたくしの名はアリス=フォーレンハイト。このフォーレンハイト王国の第一王女です」


 やっぱ王妃じゃないのか。


「「フォ、フォーレンハイト王国!?」」


  赤城と青木が同時に素っ頓狂な声で叫ぶ。


  すげえな息ぴったりじゃん。もう結婚しろよ。


「……本当に地球じゃないのか…?」


 室井が腕を組み難しい顔をする。


「ふええええ、そ、そんな国、聞いたことがありません」


 と、慌てた返事が返ってくる。念のため一番頭が良い椎名に、室井は確認したかったから呟いたのであろう。ここはもしかしたら地球にある外国ではないのかと。希望を求めて。



「ここは広大な大陸『ランドリア』にある王国です。勇者様からするとこ世界は異世界になります」


「……」


 俺達の希望は潰えた。


 この言葉で青木などの頭の固い連中もなんとか理解したようだ。


「むう……本当に異世界とやらなのか」


「に、日本には帰れるのでしょうか?」


「そんなすぐに、帰れるようには思えないけど」


 室井、椎名、青木は話し合っているが、一人だけ反応が違う者がいた  


「い、異世界……。あのゲームや小説の?」


 何とか勇人は興奮しているのか独り言が聞こえてきている。


  この反応、どうやら勇人もゲームや小説などによる異世界なるものを知っているようだ。


 意外だ。キラキラしたリア充グループからしたら、そういう系には興味がないようなイメージがあったから。


「……どうしたの?勇人」


 さっきから様子がおかしい何とか勇人に、青木が心配し声をかける。


「い、いや、何でもないよ」


 どうやら、仲のいいグループにも秘密のことらしい。


 ほうー、隠れオタクか。


「それで、どうして俺達をここに召喚したんですか?」


 気を取り直すように、何とか勇人は王女に質問する。



「はい、今回は伝説に伝わる勇者様方四人に邪悪な魔王を倒してもらいたく、この私が召喚させていただきました」



  なるほど、召喚した本人ですか……って 四人? 何を言ってるんだこの王女は? 俺達は五人いるぞ? 


 他の四人もそう思ったのか同じような顔をしている。


  ……どういうことだ? 嫌な予感がする。


  「四人って俺達は五人ですよ?」


  「ええ、ですので私達も驚いております。勇者召喚したのは、確かに四人のはずなのです」


 痛いところを突かれたのか、困ったような顔をする。

 初めて顔を合わすのにミスからっていうのも印象が悪いしな。


  四人のはずなのですって……



  「皆さん! 心の中でステータスと念じてみてください。勇者様なら称号に『勇者』というのがあるはずです!」


 気まずい空気を振り払うように大きめの声をだし誤魔化す王女。


  「ステータスって何よそれ?」


 全く意味がわからないといった様子だ。


  青木はゲームとか漫画とか興味無さそうだもんな。


  「唯、とにかく言われた通りにやってみよう」


  何とか勇人はステータスのことは知っているはずだよね。


  「えええ、わかったわよ」


「……うむ」


「は、はいい」


  「皆もやるぞ!」


  意気込んだ様子で何とか勇人が、黙っていた俺に視線をおくってくる。


 わかってます。わかってますって。


 さて、さっそく見てみるか。この世界のステータスとやらを。

 俺は心の中で『ステータス』と唱えた。



  クロキ・コウイチ


  種族 人間 男性16歳


  LV 1


  HP 28/28

  MP 34/34


  ATK 13

  DEF 10

  AGL 15

  HIT 8

  INT 12


  属性 闇魔法 ???? ????


  スキル

  隠密3

  料理5


  称号 (異世界人) (????) (????)


  突っ込みたいところが多いが、やはり俺は勇者などではなかった。

11/23 修正をしました。

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