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勇者召喚された魔皇帝  作者: 錬金王
ビストリア争乱編
19/40

はじまり

ふえー!


日間ランキング2位?



馬車に乗りゆったりと進む紅一達。


当然馬車に乗ったことの無かった紅一はどんなものかと思ったが、揺れは激しく、床は固く、音もうるさいと不満がある。


が、緩やかに進む景色を見ていると不思議とその音や揺れや、木でできた床も悪くないと思えた。不思議なものだった。


地球の自動車は心地よく偉大だったかもしれないが、こういう景色をゆっくり楽しむのも悪くなかった。


「ルーナお姉ちゃん!次のシーノ村ってどんな所?」


「確かシーノ村は次の街、ルーベに近いため旅人や、商人、出稼ぎの人が集まりやすいので、宿も多く市場もありとても賑やかな村ですよ」


「へー!そうなんだ!着いたら市場まわろうよ!」


「はい、その前に宿を取らないと駄目ですけどね」


次のシーノ村を楽しみに盛り上がる二人。


だが急に馬車が止まる。


「あれー?何で止まったのー?」


魔物かと思ったが気配察知にも反応がない。気配察知が絶対とも思わないが、念のための外を見たところ何もない。


しかし前方見ると、馬車に乗せてくれた果物のおっさんが馬に乗った二人の獣人と話しているのが聞こえた。


トト、ロッテ、ルーナひょっこりと顔だけを出すが、ルーナはすぐに顔を引っ込める。


今での獣人と違い、二人とも銀色の鎧を全身に着こみ赤いマントを着けといる。明らかに質の良さそうな剣を携えている。


警備隊にしては装備が良さそうなので、人間で言う兵士の者であろう。


「ここら辺で、人間を見なかったか?」


「こんなところに人間ですか?見ておりませんが?何かあったのですか?」


「いや、気にするな。協力感謝する。」


何か言えない事情があるのか、何も話さない兵士。


「行くぞ!他を探す」


「はっ!」



急ぐように馬を走らせてあっという間に去っていく。



あれ絶対ルーナの関係者だよなー。ルーナのこと必死に探してるんじゃないのか?



馬車に戻るとルーナが様子が変だった。多分さっきの話が聞こえていたのだろう。


「今の兵士の人達だよね?」


「そうね。何かあったのかしら?」


「え、ええ、何でしょうね?」



なにやら今の兵士の人達が気になっているという感じだった。


普通は探しにきてくれたら出てくるよな?

何を思ってるかわからんが面倒にならなければいいが。と、これからのことと、何も言ってこないルーナに頭を唸らせる紅一だった。



シーノ村に着くと紅一達は宿に向かい、果物のおっさんは市場に行くとのことで別れる。

残念ながらおっさんは目的はシーノ村での商売らしく、一緒に行けるのはここまでだった。



宿の部屋を1日分とって少し部屋で休憩してから、村を回ろうとした時だった。ルーナの部屋をノックし声をかける。


「おーい、市場に行くぞ」


声をかけた後に出てきたのはロッテだけであった。


「ルーナはどうした?」


「何か、疲れてるから部屋で休むんだってさ」


「えー?ルーナお姉ちゃん来ないのー?一緒に行くって言ったじゃーん!」


「ごめんなさいね、トト」


ドアを少し開けて顔だけ出して謝るルーナ。


「トト、きっと長時間の馬車で疲れてるのよ部屋で休ませてあげなさい」


「えー、皆で回りたかったのにー」




多分また市場に兵士の人がいるかもとか、見回りにいてるかもと思ったんだろうな。



ーーー


ーー


ビストリア城王の間


豪華な椅子の上に座るのは虎の獣人。しなやかな黒い毛並みで、体は細いがしなやか強靭なな筋肉がついているのがわかる。苛立っているのか、その風貌はより野性的に見える。


彼こそが全ての獣人の中で最強の存在であり、獣人の国ビストリアを統べる王。ルーガ=ビストリアである。


ビストリアの王に何より必用とされるのが絶対的な力である。ルーガは今までの王の中では頭が良くない方ではあるが、実力は歴代最強とも言われているがゆえに、国民からの信頼もあつい。そんな彼が怒りをあらわにしている原因は…


「ルーナはまだ見つからんのか…」


ルーガの三番目の娘である第三王女、ルーナ=ビストリアの誘拐事件である。ルーナは誕生日にどうしてもお忍びで外の世界を見てみたいと言うので、仕方なく小数の兵士護衛として付け目立たなく国中の町や村を旅させたのである。


無論、毎年のように反対したが、見かねた妻のナリウスを初めとする兄弟や姉妹に頼まれて四人の護衛付きで定期的に3日に1度の連絡をしっかり入れることを条件に行かせた。


最初の2回は無事、伝令役の鳥が手紙を持ってきた。しかし、3回目には鳥が来なかった。何かあったと思い2回目滞在していた街、メルドに急いで兵をおくらせたがルーナらしき人物は発見できなかった。


そして今、探索範囲と兵士を増員し送らせたところ、見慣れない、人間の族の使うような馬車をロップ村の近くの森で見たという報告が上がった。恐らくまた、はぐれた獣人を奴隷として捕まえようとしているのであろう。


決定的な証拠はルーナが持っていた王族の髪飾りが森に落ちていたことである。どうしてメルド離れたロップ村の近くの森にルーナがいるのかという疑問があるが今は確認しようがない。が、迷いの森に入り人間族の国に入れば命の保障はされないので急いでロップ村周辺や、迷いの森を捜索させている。


報告にきた兵士は王の苛立ちによる声に怯えながら報告をする。


「も、申し訳ございません。現在ロップ村、迷いの森中央部まで探索をしておりますが、人間姿や馬車は、い、今だに発見できておりません!」



「くっ、やはりルーナを城から出すべきでは無かったのだ。誕生日だからと、外の世界を見たいからだとかで外出を許可なんてしたからこんなことに。人間め!今までのことといい我々も我慢の限界だ。もう人間の国に乗り込むか…」



王に意見できる参謀の、髭を生やした狐の獣人が前にでる。


「しかし王よ!戦争になり、多くの民が傷つきます。」


「ならば、お前は今までに人間にされたことが許せるのか!それに我が娘のルーナのこともだ。今までお前の言うとおり、生温い方法で交渉してきたが、一向に変わらん!一番友好的なフォーレン王国でさえ裏ではまだ獣人が奴隷として出まわっている!」


「で、ですが!」


「黙れ!もう限界だ!戦争だ!!」



「これより戦争態勢に入る!準備せよ!」



「「おおおおおおおおおーーー!!!」」


雄叫びをあげ、槍を突き上げる兵士達。





ーーー


ーー


夜、ビストリア城から遥かに離れた森の中。


高い木の太い枝の上に器用にしゃがみ、魔方陣を浮かべるグランブル。その姿はまるで望遠鏡で覗き込むようである。


「魔王様の言った通りだったね。獣人の王様すっかりお怒りだよ。これで第一段階クリアだよねー。あー、明日も転移陣設置しないと駄目なのかー面倒くさいなー。何で僕なんだよー。でもやらないと魔王様に怒られるしー…あーもういーや、とりあえず寝ーよっと。」






ちょくちょく、修正していってます。

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