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勇者召喚された魔皇帝  作者: 錬金王
フォーレン王国召喚編
14/40

魔族

頑張ります。

ーー魔王城ノスタルジア最上階ーー



床は硬そうな白いコンクリートのようなものが敷き詰められ、灯りを怪しく照り返し、豪華な天井を支えるでかい柱が何本も建っている。


部屋の中心にある円卓の机に座る五人の魔族達。


五人もいるが部屋には重苦しい空気が漂うのみ。皆それぞれ苛立っているかのように、貧乏ゆすりや机を指で叩いたりとしている。


「おい、アケディアはいつになったらくるんだ!」


静寂を破ったのは、黒い肌に触覚のような物を生やしたゴツい体をした魔族ラースだ。


「もー、カリカリしないでよラース。あの面倒くさがりが時間通りにくるわけないでしょ?」


机に頬をつきながら、ラースをなだめるのは、ピンク色の髪をした妖艶な女。サキュバスの魔族、リーべ。


「だが、今日の会議は大事な話があると魔王様がおっしゃっていたんだぞ!」


机に手を叩き付けるラース。


頬をついていたリーベにもその衝撃が襲い、憤慨を露わにする。


「ちょっとやめてよー。もう、大事な話って何かしらねー? 魔王様もまだ来てないし、グランブル何かしらない?」


左側を見ると、背もたれに寄りかかってふんぞり返っているのボロいコートに包帯をぐるぐる巻きにした男。


この空気の中でも苛立ちを現さずに、ただただ面倒くさいというような態度をとっている。



「そんなの僕が知るわけないじゃん。それより何で僕がここに呼ばれてるのさ。僕の実力でここにいる意味がわかんないだけど。しかも何で僕は無理矢理引っ張られたのにアケディアは放置なの? ねぇねぇ?」



「あーもー!グチグチうるさい!アケディアは連れてこれなかったのよ!」


面倒くさがりのサボり魔アケディアは面倒くさいことに巻き込まれそうになると、全力で回避しようとする何とも力の無駄遣いをする魔族である。


それなのに実力があるのがまた、達が悪い。


「低俗な人間のハーフが……静かにしろ。本来お前のような者がここに入れること自体が魔王様のお陰なのだぞ?」


武人のように静かに腕を組んで座っている魔族はドレイドである。


肌が紫で短い角が生えているが、ラースと違いこちらは人間に近い姿である。


「僕だって入りたくて入ってるんじゃないのに…」



「…魔王様…来た」



椅子に小さく三角座りをする紫の髪をした小さい魔女の様な格好をした魔族がポツリとこぼす。


「本当? ホロウ?」


ドアの方に耳を傾けると、カツカツと足音が聞こえる。



「皆そろっているか!」


ドアを勢いよく開けて入ってきたのは、銀髪の紅い血のような色のドレスを着た少女の様な姿であった。


この少女が魔王城ノスタルジアの主であり、魔族を率いる者、魔王である。


「いんや、アケディアが来てないよー」


呑気に答えるグランブル。


「大丈夫じゃ、アケディアなら中庭の隅で寝ていたのを見つけた。ほれ! もって参れグリーフ!」


「こちらです」


突然現れた、メイドの様な姿をした魔族。


金髪に赤目でよく見ると口に鋭い牙が見えている吸血鬼のような魔族が男を投げる。



「ぶふぇっ!」


顔面から硬い床に突っ込むのはアケディアである。


魔族にしては珍しく黒髪をしているのだが、青黒い肌がとても魔族らしい。



「酷いよ! 魔王様! グリーフ!せっかくお昼寝してたのに! 魔法でぶち抜くとか!」



「あれは、お主が庭で大がかりな強力な結界を張るからじゃ! 庭で認識阻害に、防御、魔法防御に各耐性つきとはお主力を無駄に使いすぎじゃろ?」


「そんなこと言って、魔王様一撃でぶち抜いたじゃん」


「妾は魔王! 特別じゃからの! それより、今日は大事な会議があると言っておったじゃろう?」


「何それ? 知らないよ?」


「お主の世話係の女に伝えるように命令しておいたのじゃが?」


「あ! だからリーシアがこの間俺の部屋に近づいたのか!」


「そこまで知って、なぜ連絡が伝わってないのじゃ…」


「えへへ、だってリーシアが俺に面倒事を持ってくる気がしたから、窓から逃げて隠れちゃった!」


てへって聞こえるような顔で答えるアケディア。



「…しばらくあの世で寝てろ!」



青筋を浮かべた魔王が、指を鳴らすと魔方陣が五つ浮かび、レーザーっとなってアケディアに襲いかかる。


「ちょ、魔王様! 五つは無理! ッギャアアアアアア!」


「あやつならどうせ死なんじゃろ。さて、皆今日の大事な話とは、人間族のことじゃ」


「あら? 人間がまた何かしたのー?」


「そうじゃ、仲間の情報によるとあやつらは勇者を五人召喚したらしい」


「勇者なんぞ、どうせ少し強いくらいの人間だろ?」


「で、魔王様肝心の勇者の力はどうなんです?」


冷静に聞いているドレイドだがその目は野生的だ。



「ステータスはレベル1の時点で100すぎのステータスであったが、聖魔法や、光魔法など複数所持しておる。今は大したことはないが成長力が凄まじいらしく、力をつけてくると厄介になりそうじゃ。」



「ならさっさと、殺しちゃおうよ。僕は行かないけどね」



「勇者のいる国フォーレン王国に行くには、宗教国クリストハイフを落とさねばならん。個々の力では我々が勝っているが、人間程我らの兵は多くなく、貴重だ」



「じゃあどうするのよ? 魔王様?」


「クックックッ、フォーレン王国の隣には良く燃える火種があるじゃろ? そこから、一気に崩していくのじゃ」


小さな少女には似合わない、妖艶な笑みを浮かべる魔王であった。






次回は紅一に戻ります。

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