フールオンラインを探る
私の名前はトム・クルーザー。
表舞台では俳優なんてものをやっているが、本業はスパイだ。
今回のターゲットは、フールオンラインという電脳世界を創り上げた機関“キスメニア”へ侵入して情報奪取して来いという依頼だ。
キスメニアは日本の研究者たちが結集してつくられた、謎の組織。
一度でも彼らの実態を見てしまったものは血相を変えて逃げていくほどの狂人たちの集団らしい。
私の名だたるミッションの中でも難関の部類なるだろう。
気を付けねば
キスメニア本社の入口手前の公用T-ギア場に来た、ここでは本社の人間、それ以外の人でも電脳世界へいざなう場所だそうだ。まづは、本社の人間の話を聞かなければ。
「あ、乙です、福田さん。」
「乙です。」
そう思っていると本社から一人の大学生くらいの白衣男が来て、私の隣に座ってたメガネをかけた彫りの浅い幼顔の男に話しかけてくる。
乙ってなんだ?おつ、おつ、ああ、日本人のあのなんともおつですね~というあれか、いや違う気がする
すると、白衣男は真剣な顔つきになる。もしかして、大事な話をここで!!
「レイド戦、どっすんすかねぇ?」
「さぁ、PCがまだ紙だしな~」
「やっと飛竜凸したらしいけど、おっせぇ。」
「ああ、最近倒したのは勇者(笑)でしたっけ?」
「(笑)っす。まぁ他のレイドの強いとこは当たり前に倒してるんすけど、その次が無いんだ。」
「飛竜って、実際問題どのレベルなわけです?」
「うっと、自衛隊の人とかが三人で倒せるレベルっすね。慣れてくると一人でも行けるレベル。」
「自衛隊の人、確か銃装備と短剣でしたっけ?」
「タンクなしってぱなwって、とき思うんだけど。」
「ですね。やっぱり、現実の戦い方なんてそんなものなんでしょう。」
「でも、最近のあれ。聞きました?」
「あ、例のソロの?」
「そっす、まだ二日足らずで熟練クラス、スキルの上りがチートのあれ。」
「しかも、神族らしいね。」
「マジすか!?俺TUEEEEEじゃないっすか!?」
「確か熟練クラスと神族の理由は、ランダムのおかげらしいよ?」
「はい?あれ、一つしかできないっしょ?」
「まぁ、ですけどね。なんか上とのトラブルでOK出たらしくて。」
「出しちゃまずいっしょ。」
「出す方も大概なんですけどね......」
二人はその後も和気あいあいと喋っていたが、最後にまた乙ですとか言って別れていった。
何を喋っていたのだ?レイド?勇者?
電脳世界のことだろうか、いやそれしか無いな。
私は一応、今日はここの社員の変装をしている。
そのものの経歴や趣味、服装に至るまで違和感なくふるまっている。
さて、私もそろそろ社内に入るとするか。
ミッションスタート!!
まづ、指紋認証。
ピ
オールクリア
次に、服を脱いでその服を検査。
ピ
オールクリア
ここで、その服、荷物等は没収され、後に返される。
次は体の中に器具等を持ち入れていないかチェック
ピ
オールクリア
プラスチック製の製品なのでスルーされた。
最後に、試問官と話すだけ。
ふ、簡単な手順だ、これでラストだ。
「よ、今日は俺が試問官だぜい。よろな」
「ああ、よろしく。」
人懐っこい顔をした奴だな、まぁいい。さぁなんでも来い、変装している奴のことなら彼よりもなんでも分かるぞ!!
「美味しいお餅は?」
・・・・・は?
「あり、むずかった?」
「いや、質問の意図可笑しくないか?」
「そうか?奇をてらったキラーパスだと思うがな、あ、正解は越後製菓!!だからな。」
「マイナーすぎる!!」
ボタンを押したようなポーズを取るコイツは一体何なんだ?
「さて、じゃぁ次な。」
「俺のことで頼むわ。」
「りょ、ちょい待ちな。」
そう言って、今から経歴を見始める。コイツやる気あるのか?
「ほうほう、じゃぁ問題、儂ガイルのお気に入りのシーンは?」
・・・・・・はい?何んだその質問、そんなこと経歴に書いていたか?
儂ガイルってなんことだ?
「儂ガイルってなんだ?」
「はぁ?儂の経歴詐称が完璧すぎているの略だろ?」
なんだそのふざけた名称は。
「お前、本人か?」
何故、そんなふざけた質問で本人特定できる!!?
「お気に入りのシーンつったら、ヒネデレのハチさんとサワイケメンのハヤっさんのやり取りだろうが!?」
なんか怒られてしまった。
「コイツ、偽物だ!!!捕まえろ!!!」
はーーー!!??WHY、このクレイジーガイ、頭がやばすぎだろ!!
でも、偽物なんだよな、当たってるのが悔しい。
ドカドカと大勢の警備員が来た。
だがな、お前の質問がおかしいのは明白だ、そこを突かせてもらおう。
「まて、コイツの質問の意図がおかしいんだ。」
メガネをかけた一番理知的な男が反応した。
「ほう、どこがおかしいんだ?」
「じゃぁ、聞くが儂ガイルのお気に入りのシーンは?」
「ハチハヤのやり取りだな。何当たり前なこと言ってんだ?」
コイツもおかしい!!??
先程の試問官がため息を吐いた、うざい、うざすぎる。
「仕方ねぇ、これが答えられたら、許してやろう。」
仕方ないが、それに乗るしかない。
「頼む。」
「皆も一緒に応えるぞ、これで間違いなど起こらないだろ?」
「分かった。」
ここまで、変な質問ばかりだったがこんなに大勢がいるんだ、客観性が必要なはずだ。
客観性のある質問にIQ200オーバーの私に解けないことなどない!!
「ブリタニアと言えば、代表的な人は?」
ブリタニア?そうか!ブリテン、イギリス!!
ということは、こいつらの趣味的に英雄あたりを言えば、あ、あの有名な......
「アーサー・ペンドラゴン!!!」
勝ったこれで、勝利だ。
「「「「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「「「ルルーシュ・○ンペルージかルルーシュ・ヴィ・ブリ○ニアだろ?」」」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「「「確保!!」」」」」」」」」」」」」
ジーザス!!!
ここで捕まって、なるものか!!
私はこれでもボクシング、柔道、空手、サバットなんでもできる、並の警備員には絶対に負けない!!
「ぐほ!!」
「くぁwせdrftgyふじこlp」
「俺が言いたかった!!、ブリュッセル!!」
「がびょ~ん!!」
「おい、ちゃんと、ニューは味覚糖!!」
活路が開けた!!今だ!!
「「「「待て―――!!」」」」
短距離でも代表選手になれる私に敵うものか。
後は入り口から出るだけだ、ん?
入口に誰かいるな。二人?
「やれやれ、足を運んで来てみれば...」
「竜さん、頼めますか?」
「主君を守るのが務めですから、仕方ありませんな。」
「ドケ―――――!!」
邪魔をする気か、容赦なんてしない殺してやる!!
「ふむ、中々良い筋だがな。ハッキリ言ってまだまだだな、粗削りな技術に満足して実戦だけは達者なようだが。」
老人風情が!!
私は躊躇いなく、老人に容赦のない一撃をいれる
「...で、お主、何処の間者だ?」
視点が一転していつの間にか拘束されている、いつの間に!?
暴れてみるがしっかりと抑え込まれている。
コイツ何モンだ!!
「Who.....are you......」
「ただの老人じゃ。」
私はそこでブラックアウトした。
「見事だ。竜さん!!」
「いえいえ、これも執事の務め、次からは視線で止めて見せましょう。」
今日未明、キスメニアに産業スパイが逮捕されました。
なお、そのスパイは俳優のトム・クルーザーと同一ということが判明し世界中で話題となっており、ア○リカ側は何か手違いがあると言っておりますが、キスメニアは断固として間違いはないと言っているそうです。