吉岡 千
吉岡千??あぁ、あいつー??
確か3組の、あんまり良くない人らと絡んでるよ
煙草してんじゃないの、あの感じじゃ~、
全然知らない彼のことが、気になるのは
何でだろう、やっぱりわたし最後のチャンスだと
思ってるんだ。気づけばわたしは、彼の情報を
集めては彼を知ろうとしていた。
3組、3組、3組……
「サチー!!3組に行こう!!」 わたしは3年生になって、こんなに大きな声を出したのは
初めてかもしれない。一気に恥ずかしくなった
「ど、どーしたの、はま!そんな興奮して」
「3組に行って、気になってる人がいるの!」
ガヤガヤガヤガヤガヤ……
かち、こち、かち…
「ん?はま?行かないの?」
「へ!?ええうん!行くよ!」
「てかてか、はまの気になる人ってどんな人
なの~っ」
サチは目を輝やせた ごめん、サチ……それが誰かは分かんないんだ… てなことも言えず。
すると、
「おい!もしかしてあの子ら千狙いの子じゃ
なーい?」
男の子達の笑い声が聞こえる……うぅ、来なきゃ
良かったのか……んっ!?千!??
「えーそうなの?」
にやけながらこっちを見る その男の子は窓の太陽の光に反射して……
なーんだか、怖そうな人だった。。。
「ちょ!待ってよはま!」
「やだっ……恥ずかしいよ!」
「大丈夫、はまが会いたいのはあいつじゃない
んでしょ!?」
あいつだよ……サチ…。変わった名前で、気になっただけ、 悪い噂聞いてたけど、もっと気になったの
あんな素敵な名前なのに何で悪いことするんだろう
って、
ただのやなやつだった。
はぁ、あたし、もう恋なんかできない
できないんだ、わたしに似合った人なんて、
いないんだ
不幸なシンデレラのよう……。どうにも出来ないもやもやを わたしは抱えて一日を終えた。
「……やば。追試とった……」
「 最近元気無いもんねはま……、
大丈夫!今回はしょうがない!次がんばろっ?」
「……うん、」
次々、次じゃだめなの~、県大会への練習に休むなんて…はぁ、バカバカ…あたしのバカ…
「んぢゃ、頑張ってね!」
「おーサチも~」
最近サチは彼氏と別れた。あんなに仲良かったのに
でも、サチはそんな素振りも一切見せず、彼氏の方からわたしは別れたことを聞いた。
サチは強い。
「……えーっと、語学教室B?」
どこだっけ、確か2階の…
ドン!!! 「きゃあ!!」
「……つっと、ごめんごめーん!」
いったい~……もー何なの、2回目だし……
「……ん?」 腕のなかに筆箱……。
「ちょ、ちょっと!!」
あれっ? 誰もいない…行っちゃった?
なんだろ、これ……もしかして前のパンの時と
同じ人っ……??!
「……あ!追試!!」 急がなきゃ
わたしは走った。 その男の子の筆箱を持って。