サチの好きなもの。
眠たい、嫌になるなぁもう。
まぁ……そんな理由じゃ休んじゃいけない…
よし、勉強しなきゃ。わたしはシャーペンをぎゅっと強く握った。
保健室で考えていたことはやっぱり元カレのこと。
最近よく考えてしまう。もうどうしようもならないことだけど……、どうにもならないことなんだけど……、たまにふと、あいつの顔が浮かんでくる
はぁーあ、なにこれ、もしかしてあいつが運命の相手だったとでも言うの?あんなやつが……、
そんなことを考えていてもちろん授業も上の空
「おい、河村?」
でも、あいつだけかもしれない、あたしの浜子って変な名前、呼び捨てにしてくれる人…
「こら、河村浜子!!」
ビクッとして声のなる方へ顔を向ける。
先生の顔が冷たい。 教室のみんなの視線も冷たくなっているのが分かる。
「お前もう高校三年生なんだぞ?ずっとそんな調子ではいけないからな、……分かってるのか!!」
もう嫌だ……怒んないでよ…
最近、わたしは昔よりもっと泣くようになった。
分かってる…もうしっかりしないと、自分の人生が決まるんだから……この時期が大切なんだ。
「まだ春だからって安心するなよ!もう気を引き締めろ。他のみんなもだ」
「………はい…」小さな声がやっとだった 。
あいつは将来のことなんてなんも考えずにまた他の女とやってるんでしょうけどね、
ふと、浜子は辺りを見回した……なんか、静かだよな…昔はみんなうるさかったのに、もうみんな気を引き締めていってるんだろうなぁ……
「はーまっ♪今日パン食べなーい?体育あったし
弁当だけじゃ足んないっ~」
「サーチ子っ!いいよ~あたしはお腹そんなすいて ないけどっ ついてったげるよ!」
「ありがとはまーっ!」
まぁ、いっか、あたしにはこんな楽しい友達がいるんだし……、
でもサチ子は同じクラスではなくて隣の隣のクラス
一回も一緒になることは無かった。それでも一番の親友である。
「今日は混んでるね……行ける自信ある??」
「あーたりまーえ!見ててホットドック買ってくるから☆ミ」
明るいなぁサチは、あたしは笑って
「ハイハイ」
と、言ってサチの背中を押した。その時だった
ドンッ!! きゃ!!!
すごい勢いで誰かぶつかってきた。男の子なのは確かだ。 あたしはその場にすとんと座ってしまった。
「はまっ!?」サチが駆け寄る
「ぅっ……たたた……」痛みがやわらぐまでぐっと腕のなかで縮こまっていた ガサッ
あたしの腕のなかには、ホットドックが入っていた。