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お化け屋の葵シリーズ

お化け屋の葵

作者: 宝探しの靴

「しろふゆ」


 16歳の少女、白冬は名を呼ばれて驚いた。

 鬱蒼とした森の中、人の言葉を話す相手に出会ったのは初めてのことであった。

 それまで白冬の周りにいたうさぎもカエルもユニコーンも、あっという間に逃げて行ってしまった。


 声の方を振り向いてみると、二股に分かれた木の幹の間に、一人の青年が座っていた。


 青年は、滑らかな黒いマントに身を包んでいた。

 青年の頭からは、ねじれた2本の角が伸びていた。

 流れるような銀髪と、涼やかな同色の瞳が美しかった。


 白冬にはすぐに分かった。

 これは、魔界の王子様だと。


「その通り。私は魔界の王子アラン」


 正解。

 声に出して言ってもいないのに、さすがは魔界の王子様である。白冬の心の声に返事をしてくれた。


 なぜ、アランが魔界の王子様だと白冬に判断できたのか。




 簡単なことである。

 この世界は、白冬の夢なのだ。

 いわゆる、眠った時に見る、それである。




 白冬は、夢見がちな少女だった。


 目が覚めている時は空想にふけることが多く、眠っている時はこの森の夢を見ることが多かった。

 小さな頃から馴染んでいる夢なのだが、意外なことに、人の言葉を話す生き物は出てきたことがなかった。


 夢に現れる生き物たちは、白冬が好きな本や映画に出てくるキャラクターとよく似ていた。白冬が理解できない生き物は、ここには登場しないのだ。


 アランは初めての登場人物だが、白冬は間違えたりはしなかった。

 どこからどう見ても、そうだ。


 それにしても、魔界の王子様まで登場してくれるなんて、白冬の夢も出世?したものである。

 これは、日頃の妄想の積み重ねの賜物であろうと、白冬は感激した。




 ジーンとするあまり、言葉を失っている白冬を見て、アランは小さく微笑んだ。


「歓迎してくれてありがとう。君の幻想に呼ばれてきた」


 アランはするりと木から下りた。

 そして、何と、白冬の方へ歩いて来た。

 少し地から浮いているアランは、まったく音を立てずに白冬の前に立った。


 白冬の頭は真っ白だった。

 アランがあんまり素敵なので、間近で顔を見ることができなかった。


 今日の白冬は、夢で定番の青いドレスを着ていた。

 レースがたくさんあしらわれ、胸元にリボンが結ばれている、ふんわり可愛らしいデザインのドレスである。

 現実では着られないような洋服を楽しむのも、この夢での醍醐味であった。

 しかし、他人に見られることは想定していない。


 こんな素敵な人に見せていい格好なのか、これは。


 白冬は、頭の中がグルグルした。

 アランの、フッという笑いが、頭の上から聞こえたようだった。


「白冬、かわいいね」


 アランの気配が降りてきた。

 白冬の額に、柔らかな感触が当たった。

 白冬は固まった。


 これは、キスですか。


「ああ、そうだ」


 そう答えると、アランの気配は遠ざかっていった。


「幻想を愛する君に、祝福のキスを贈ろう」


 白冬は真っ赤になった。

 今日の夢は、想定外にもほどがあった。

 白冬は、気が遠くなってきた。


 それ以上、アランを見ることもできず、白冬は夢の中で気を失ったのだった。










「おはよう」

「おはよう」


 白冬の挨拶に、母親が返事を返した。


 それはいつもの日常、のはずだった。

 白冬は、高校の制服を着て、朝ごはんを食べようと食卓に座った。


「あの、お母さん」

「ん、なあに」


 母親の肩に、オウムが止まっていた。


「お母さん、そのオウムどうしたの」

「どこのオウムがどうしたって?」


 母親は出勤を控え、バタバタと朝の支度をこなしていた。まったくオウムに頓着していない様子だった。

 朝の忙しい時間帯である。

 父親もいつも通り、新聞を読んでいた。

 白冬は、それ以上何も言えなかった。



「いってきます」


 白冬は家を出た。

 繰り返される日常、面倒だけれどやらないといけないことを必死にこなす日々。覚悟を決めて、えいやと始まる一日。

 いつもの通学路のはずだった。

 

 カエルが空を飛んでいた。

 出勤中のおじさんの頭の上に、猫が乗っていた。

 燕尾服を着て、シルクハットを被った熊が歩いていた。


 白冬は目をパチパチとさせた。

 これは、夢の続きだろうか。


 白冬は、軽く頬をつねってみた。

 けっこう痛くて、つねったことを後悔した。


 何かお祭りの日であったろうか。

 首をかしげながら、白冬は学校へと急いだ。







「転校生を紹介します」


 朝、担任の先生が言った。

 先生の隣に立っている男の子は、「あおいです」とだけ名乗った。


 茶色の髪がサラサラで、さわり心地がよさそうだった。

 少しだけ吊りあがった丸い瞳は猫のように見えた。

 葵は、一番後ろの廊下側、空いている席に座った。





 休み時間、珍しい転校生という存在に、皆が群がるかと白冬は思ったのだが、誰も葵の所へはいかなかった。

 白冬は不思議に思い、教室の真ん中の席から葵を見ていた。


 ふと、葵が白冬を見た。

 白冬はドキッとした。

 白冬の動揺をどう見たのか、葵がニッと笑った。

 そのいたずらっこのような笑顔に、白冬の鼓動は早くなった。



 突然、教室の後ろのドアから、校長先生が入ってきた。

 白冬は驚いたが、他の皆は誰も反応しなかった。

 校長先生は、葵に何か話しかけた。

 葵はにこやかに応じた。


 葵は学生鞄から、何やら毛むくじゃらの生き物を取り出した。

 校長先生はそれを受け取り、上から見たり下から見たり、撫でてみたりしていた。

 葵が何か説明していた。

 校長先生はうんうんと頷き、ポケットから札束を取り出して葵に手渡した。


 白冬はぎょっとした。

 それでも、他の誰も葵と校長先生を気にかける様子がなかった。


 葵は、校長先生から受け取った札束を鞄に入れ、校長先生は毛むくじゃらの生き物を持って出て行った。


 葵が白冬に視線を向けて、手招きをした。

 白冬は、ドキッとした後、確認のため、葵を見ながら自分を指さした。

 葵が頷いた。

 間違いなく、葵は白冬を呼んでいた。


 なぜだか今日は、白冬もクラスの友達に声をかけられることがなかった。

 葵の席に着くと、座ったままの葵に聞かれた。


「名前は?」

「しろふゆ」

「白冬。全部、見えてるんだろう?よろしく」

「これ、夢?」


 思わず白冬は葵に聞いた。

 朝からの出来事は、どちらかというと夢と言われたほうが納得できそうなことばかりだった。

 その割にリアリティがあるところもあって、白冬は戸惑っていた。


 葵の笑顔は、何とも楽しげだった。


「そうだね。俺は白冬の夢かもしれないよ」


 葵は白冬の手を取ると、立ち上がって歩き出した。


「え!何!」

「せっかくだから、一緒に行こう」


 葵に連れられて、白冬は教室を出た。





「どこ行くの?あの、授業は?」

「俺ね、お化け屋なんだ。売ったお化けには責任持たないといけないから、様子を見に行こう。授業は大丈夫大丈夫」

「何が大丈夫なのか、さっぱり…え?お化け?え?え?」


 廊下の途中で立ち止まり、葵は白冬の両手を握った。

 白冬は真っ赤になった。


「俺、客以外の人間と話すの久しぶりなんだよ!浮かれてる、ヤバイ。友達になりたい」

「はい?」


 葵の言っていることは、白冬にはちんぷんかんぷんだった。

 だからこそ、これは、白冬の夢ではないと思えた。

 白冬の夢ならば、白冬には何でも分かるはずなのだ。


 葵は白冬より少し背が高く、白冬より筋肉質で、白冬より手が大きかった。

 学生服を着たリアルな男の子だった。

 魔界の王子様アランとは別の次元で、白冬のドキドキは止まらなかった。



 葵はリアルな男の子でありつつ、理解不可能なところがたくさんあった。

 葵の話もよく分からなかったが、葵のやっていることもどんどん謎に満ちていった。


「あ、校長先生、もう行っちゃったな。よし、急いで追いかけよう」


 葵は、手をパンパンと打ち合わせた。

 すると、空間に学生鞄が現れた。

 白冬は驚いた。


「手品?」

「細かいことは気にしないで。ほら、窓開けて」


 葵は学生鞄の中をゴソゴソと探り始めた。

 白冬は、訳も分からず窓を開けた。

 3階からは、校庭で体育をする生徒たちがよく見えた。


「ほら、これだ」


 折り畳んである白いハンカチだった。

 葵はおもむろに、白いハンカチを窓の外に投げた。

 白冬が目を丸くしているうちに、ハンカチは大きく広がった。

 白い大きな布が、広がった状態で、窓の外に浮いていた。


「魔法の絨毯?一反木綿?シーツ?」

「その中だったら、シーツ?ほら、青空の下に白いシーツって、似合うだろ」


 葵は当たり前のことのように、窓枠に足をかけ、宙に浮かぶシーツに飛び乗った。

 そして、ニッと笑って、白冬に手招きをした。


 不思議な世界の住人ならば、ここは、迷わず乗るところである。

 しかし、現実的に考えると、ここは3階。落ちたら無事では済まない。

 白冬は一瞬ためらった。


 葵が追い打ちをかけるように白冬を呼んだ。




「おいで。俺と一緒に行こう」

 



 白冬は幻想を愛していた。

 呼ばれた、と感じた。

 葵を通して、あちら側から呼ばれている、と白冬は感じ取ったのだ。


 白冬は走った。

 勢いよく窓枠に足をかけ、シーツに向かってジャンプした。

 ぼふん!という音が鳴った。

 白冬は、尻もちをつくように空飛ぶシーツに乗った。

 白冬が顔を上げると、隣には葵の笑顔があった。


「ようこそ!さあ、行こう」


 白冬は、不思議な世界に飛び込んだ。

 今ここに展開している不思議を、受け入れてしまった。

 退屈だった日常生活は、どこへ。

 ちらっと見ると、葵がうれしそうに笑っていた。




 真っ白なシーツがスーッと動き出した。

 紺碧の空を、白いシーツは飛んで行った。

 見慣れた町が眼下を流れていった。


「すごい!すごいね、葵君!いい気持ち!」

「だろう?」


 白冬は、風景も風の感触も楽しくて仕方がなかった。

 白冬の背中まで伸びた黒髪が、風にたなびいた。

 全開のおでこを見て、葵が言った。


「あ、それはヤバイ」

「ん?」

「おでこ。アラン様の祝福だろ?」

「アラン様、知っているの?」

「有名。そして、ヤバイ。こんな晴れた日は、見通しがいいから、たぶんバレた」


 葵は、急にキョロキョロ見回し、辺りを警戒し始めた。

 アランは、白冬の夢だけの登場人物ではなかったのかと、白冬は首をかしげていた。


「ほら来た!」


 遠くの空が、キラリと光った。

 白冬が唖然として見ていると、何かが物凄い速さで飛んで来た。


 葵は学生鞄から、木の棒を取り出した。


「すりこぎ?」

「何てことを。俺の武器だ」

「太鼓の」

「バチじゃなく武器だ」


 飛んできたのは、手のひらほどの大きさのガーゴイルだった。

 鋭い牙をむき、爪を立てて、白冬に襲いかかって来た。

 腰が抜けて動けない白冬の前に、葵が立ちふさがった。


「おら!」


 葵は力強く、木の棒を振るった。

 ガーゴイルにジャストミートした。

 ガゴッという痛い音と共に、ガーゴイルは空の彼方へと、打ち飛ばされて行った。


 葵は、目の上に手のひらをかざして、ガーゴイルの行く末を見送った。

 ガーゴイルが遠ざかり、姿が見えなくなると、葵は学生鞄に木の棒をしまいこんだ。


「今のは偵察だから、次が来る。ちょっと急ぐよ」


 葵がぽんぽんとシーツを叩くと、それまで、のんびりと進んでいたシーツが急にスピードを増した。

 不思議なことに、どんな動きをしても、シーツは二人を振り落とすことがなかった。

 安定感があったわけだが、あまりにも速くて、白冬は風景を楽しむどころではなくなってしまった。




 あちこち飛び回り、やがてシーツは動きを止めた。

 白冬は、怖くてギュッと瞑っていた目を、おそるおそる開けた。


 何てことはない、普通の町の上だった。

 白冬の知らない町のようだが、よくある住宅街の上空だった。


「下りるよ」


 葵がぽんぽんとシーツを叩いた。

 シーツはパタパタと自らを畳みながら、高度を下げていった。

 どんどん小さくなるシーツにドキドキしながら、白冬は着地の準備をした。


 座布団を2つ並べた広さのシーツに、葵と白冬は並んで座った。

 ぶらりと下ろした爪先が、あと5センチで地面に着くという高さに至った。

 せーの、で二人は一緒に着地した。


 白冬の足元は、まだふわふわとするようだった。

 シーツが小さなハンカチの大きさになった。

 葵は、ハンカチを学生鞄にしまった。


「あの、私、何で狙われたのかな」

「ごめん。説明が足りなかった。アラン様の婚約者が嫉妬深いんだよ」

「え」

「アラン様は次期魔王様だから、アラン様の祝福は皆が欲しがるんだけど、セットで婚約者レダ様の襲撃が付いてくる」

「ええ!」

「アラン様も悪いんだけど、分かってて、ちょっと面白がってるとこがあるんだ」

 

 白冬は、慌てておでこを擦った。


「ひどいー!知らなかったよー!」

「ああ、擦ってもとれないよ、落ち着いて」

「また襲われるの?」

「俺が追い払ってやるから」


 葵は、学生鞄から木の棒を出して笑った。


 葵君、トータルで見るとカッコいい。でも、そこだけ切り取ると、正直カッコ悪い。


 白冬は、余計なことを言わないように、口を慎んだ。





「それより、ほら見て」


 葵にうながされ、白冬は視線を向けた。

 住宅街の一角に、小さな神社があった。

 その鳥居の前に、校長先生が立っていた。


 道路を挟んだ向こう側にいたのだが、葵と白冬に気づく様子はなかった。

 学校と同じだと白冬は思った。


 校長先生は、誰かを見つけたようで、手を上げた。

 神社の方向に歩いて来ていた男性は、怪訝な顔をして、校長先生を見ていた。


「なくら君だね」

「あんた」


 50代とおぼしき、くたびれた様相の男性は、校長先生を見て目を見開いた。


「覚えているだろうか。柘植だよ。高校で担任だった」

「柘植先生」


 名倉は、校長先生を認識した。

 校長先生はそれに気づいて、うれしそうに笑った。


「覚えていてくれたか。久しぶりだね」

「ああ」


 笑顔の校長先生に対し、名倉は表情を変えなかった。

 校長先生は踏み出しかけた足を、後ろに引いた。


「いや、たまたまね、この辺に用事で。まさか、こんなところで会えるとはね。どう、よかったらお茶でも」

「急ぐんで。すんません」


 校長先生の誘いを、名倉はすぐに断った。

 背中を丸め、うつむいたまま、名倉は校長先生の前を通り過ぎた。

 校長先生は立ち尽くしていた。




「何やってんだよ」


 葵が慌てたように言って、指を鳴らした。

 校長先生の背広の内ポケットから、毛むくじゃらの生き物が飛び出した。

 校長先生はハッとしたように、毛むくじゃらを両手に持った。


「名倉君!」


 校長先生の声に、名倉が小さく振り向いた。


「私は君に謝りたいと思ってきた。君が学校を辞めて、その、例のことがあって、私は何かできることがあったんじゃないかと」


 名倉は顔を前に戻し、再び校長先生に背を向けた。

 そして、静かに歩き出した。


「名倉君!私の力不足だ!助けてやれなくて、本当にすまなかった!」


 名倉は立ち止まらなかった。

 頭を下げる校長先生から、毛むくじゃらが飛び出した。

 毛むくじゃらは弾みながら進み、名倉の頭の上にのった。


 髪の毛も薄くなってきていた名倉の頭が、毛むくじゃらになった。





 葵と白冬は一斉に吹き出した。


「失礼だな」

「葵君こそ。ダメだよ。笑うとこじゃない」


 こういうものは、ダメと思うほど、込み上げて止まらなくなるものである。

 葵と白冬は、不謹慎な笑いを噛み殺しながら、名倉を見送った。




「ひとまず、校長先生は、渡したい人にお化けを渡せた」

「葵君が売ったお化けね。名倉さんには見えてないみたいだけど、いいの?」

「うん。お化けって、夜に出るのがお約束でしょ。まだ、明るいから」


 校長先生がとぼとぼと帰っていく後ろ姿も、白冬は見送った。


「何だか、寂しそう。何があったのかな」

「それはね」


 葵は話し始めた。





 それは、校長先生が校長先生ではなかった頃のお話。

 若き日の柘植先生が、高校1年生のクラス担任を初めて持った時、クラスの生徒の一人が名倉だった。


 名倉は目立たない生徒だった。友達もいなかった。成績も悪く、運動も苦手だった。

 そのうち、学校を休むようになった。

 柘植先生は熱血指導をしたが、まったく通用しなかった。

 何も、名倉の心には届かなかった。


 名倉は単位を落とし、留年を拒否して、学校を辞めた。


 辞めてすぐ、義理の父親に殴られ、2週間入院するほどの怪我を負った。

 柘植は名倉が退院後に、耳ざとい同僚から聞いてそれを知った。


 近所の川の土手で、名倉が犬を遊ばせているのを見た。

 柘植が見たこともないような穏やかな顔の名倉がいた。

 小学校から名倉を知っている元クラスメイトが、事情を知っていた。


 その犬は、名倉の本当の父親が与えた犬だった。

 名倉はとても可愛がって、大事に世話をし続けていた。

 名倉が中学1年生の時に父親が病死し、中学3年生の時に新しい義父ができた。

 名倉は義父とも母親とも折り合いが悪く、家に居場所がなかった。

 犬だけが、名倉の拠り所だった。


 その後、土手で犬を遊ばせる名倉を見るたびに、柘植は声をかけた。

 もう一度、高校生になってみてはどうかと。

 名倉は応じなかった。


 働きもせずフラフラする名倉は、義父に犬を取り上げられた。

 この時から、名倉の転落が加速した。


 名倉は義父に包丁を向けた。


 幸い、義父の命は助かった。

 しかし、名倉は居場所を完全に失った。


 それからは、事件を起こしては少年院、そのうち刑務所、出ては入り、出ては入りの繰り返しになった。

 風の噂で名倉の話を聞くたびに、柘植は後悔にさいなまれた。


 初めての教え子の一人だった。

 何かできたのではないか。

 あの時、何とか高校卒業し、就職できていたら、今頃、名倉はまっとうに暮らせていたのではないか。


 名倉は、柘植にとって、何とも言えない心残りの存在であったのだ。

 






「そっか。校長先生は名倉さんのことが、ずっと心配だったんだね」

「うん。いろんなことをやり遂げた今だから、ずっと引っ掛かっていた名倉さんのことを、強く意識するようになったんだろうね。その声が、俺に届いた」

「お化け屋の葵君」

「そ。ついでに、こっそり高校生もしてみた。白冬に会えたし良かった」


 白冬の頬がピンクに染まった。

 白冬は恥ずかしくて、話題を元に戻した。


「あの毛むくじゃらは、お化け?」

「そ。校長先生が、名倉さんの心を支えてきた犬を求めた。俺が探しだしたんだ」

「何だか不思議」

「うん。これは、校長先生の夢の中だし、名倉さんの夢の中だから」

「え?」


 白冬は辺りを見回した。

 ちょうど、車輪のついたカブトムシが道路を走って行った。


「夢だねえ」

「さあ行くよ、白冬。名倉さんの犬のお化けを見に行こう」


 葵は白冬の手を引いた。

 白冬は葵に引っ張られて走った。

 息が切れた。

 白冬のいつもの夢ならばあり得ない、リアルな疲労だった。

 頭の中に、はてながいっぱいになったが、白冬は懸命に走ったのだった。




 知らぬ間に夜になっていた。時間の流れもいつもとは違っていた。

 空には月があった。

 いつもと違い、キラキラストーンでデコレーションされたピンクの月だった。

 可愛いけどちょっと落ち着かないと、白冬は思った。


「名倉さんの家は、あそこの部屋だ」


 古い木造アパートの1階の真ん中だった。

 古びた外観は、夜の暗さの中で見ると、少し不気味に見えた。


 葵は、学生鞄の中から水色の粉の入った小瓶を取り出した。

 小瓶から粉を少量、手のひらの上に出した。

 小瓶を鞄に戻し、今度は白いハンカチを取り出して地面に置いた。


「じゃあ、行くよ」


 葵が粉を上に投げた。

 水色の粉が、葵と白冬に降りかかった。

 白冬の視界がどんどん変わっていった。


 あっという間に、白冬は蟻と同じ大きさに小さくなっていた。


 同じ大きさになった葵が、巨大な白いハンカチを叩いた。

 すると、ハンカチがバタバタとひとりでに畳まれて、どんどん小さくなった。


「乗ろう」


 葵と白冬が小さくなったハンカチに乗ると、ハンカチは浮かび上がった。

 行き先は知っているようで、葵が何も言わなくても、ハンカチは名倉の部屋を目指したのだった。




 名倉の部屋の窓は閉まっていたが、隙間があった。

 ハンカチはその隙間をくぐって部屋の中に入った。


 殺風景な部屋だった。

 家具らしい家具は何もなく、生活感が薄かった。

 カーテンもなく、街灯が射し込み、部屋を照らしていた。

 6畳一間の1Kに、薄い布団が敷かれ、名倉が横になっていた。


 部屋の隅にいた毛むくじゃらが、葵に気づいたように動き出した。


「おぼえてるだろ?土手で一緒に遊んだ相手だ。怖くない。そうだ。行ってこい」


 葵が毛むくじゃらに声をかけた。

 毛むくじゃらはむくむくと動き、一匹のヨークシャーテリアになった。

 3Dの映像のような存在感で、名倉の枕元にトコトコと進んだ。


 ヨークシャーテリアが、名倉の頬をなめた。

 気配を感じたのか、名倉が目を開けた。

 名倉は目を見張った。

 しばらく黙ってそのまま、ヨークシャーテリアを見ていた。


 やがて、名倉が口を開いた。


「チロか」


 ヨークシャーテリアは、うれしそうにしっぽを振った。

 名倉はただじっとそれを見ていた。






「よし。行こう」

「え?これでいいの?」

「いいの」


 葵がハンカチをぽんぽんと叩くと、再び窓の隙間を通って、外に飛んで出た。


「名倉さんとチロは、これからどうなるのかな」

「贈り物を受け取った後は、その人次第だ」

「チロより、お父さんのお化けの方が、名倉さんはうれしかったりしないのかな」

「人間は複雑だから。かえって難しいんだ。その辺も説明したら、校長先生は、犬を贈ることを選んだ」


 葵が夜空を見上げた。

 ハンカチはそれに応じるように高度を上げた。


「さあ、帰ろう」


 葵が白冬に優しい目を向けて言った。

 白冬の胸が、ドキンと鳴った。



 葵と白冬は、キラキラの月の下を夜間飛行していた。

 街の灯りもきれいだった。

 白冬は隣の葵を見た。

 ピンクの月明かりに照らされた葵の横顔は、鼻筋が通っていて素敵だった。


 急に、真剣な顔をした葵が、白冬の方を見た。

 目があって、白冬の胸が再び大きく鳴った。


「白冬」

「はい」

「よく聞いて」

「はい」


 真剣な顔の葵が、一拍置いて、話を続けた。





「レダ様が来る」





 白冬の頭が真っ白になった。

 それって。


「ヤバイ」


 葵がガバッと顔を上げた。

 物凄いスピードで、遠くの空から迫って来る黒い物体があった。

 手のひらサイズのガーゴイルだった。


 ただし、葵と白冬は、只今、蟻サイズである。




 怖い。怖すぎる。





 その巨大さに、白冬はおののいた。


「葵君。私たち元の大きさに戻ろう」


 うろたえて話す白冬に、葵は恥ずかしそうに笑って見せた。


「ごめん。無理」


 白冬の顔から、血の気が引いた。

 葵は慌てて言った。


「粉の効力が、あと10分くらいで切れるはず。そしたら戻れるから。ほら」


 葵が手を叩くと、学生鞄が今の姿にジャストサイズで出現した。

 葵は急いで鞄を開けて、木の棒を取り出した。


「武器もある。何なら、もう一本ある。俺が白冬を守るから」


 葵は両手に木の棒を持って、構えて見せた。



 二本持つと、なぜだろう、余計に頼りなく見えるんだ、葵君。

 


 白冬は、口を慎んだ。






 ガーゴイルは、鋭い爪を振るってきた。

 葵と白冬を乗せたハンカチは、ヒラリと爪を避けた。

 ガーゴイルは、いら立つように何度も爪を突き立ててきた。

 しかし、小さすぎることが逆に良かった。なかなか、当たらないのである。ガーゴイルの羽が巻き起こす風にも飛ばされ、ますます命中率は落ちていくようだった。


「葵君!また来た!」


 白冬は、遠くから群れを成してやって来るガーゴイルたちを見つけた。


「逃げてるばかりじゃダメか」


 葵もガーゴイルたちを確認した。



 葵は一旦、木の棒をハンカチに置いた。そして、学生鞄から、直径5センチほどの金の輪を4つ取り出した。

 靴底の爪先側と踵側に1つずつ、縦に輪をくっつけた。

 両方の靴底に2個ずつ、金の輪が付いた。


 葵は、木の棒を両手に持ち、おもむろに立ち上がり、ひょいとハンカチから降りてしまった。


「きゃっ」


 白冬は、葵が落ちてしまうかと、小さな悲鳴を上げた。

 しかし、葵はけろっとして、空中に立っていた。


 葵の靴底の金の輪が、ローラースケートの車輪のように、靴の前後で縦に回転していた。


「追い払ってくる」


 葵は白冬に言うと、空中を滑るように走って行った。

 白冬は、葵の学生鞄を抱きしめながら、ハンカチの上で見送った。


 ガーゴイルは葵を狙って、爪を繰り出してきた。

 葵は風圧にも負けず、勢いをつけてガーゴイルに向かって行った。


「バイバイ!」


 葵は両手に持った木の棒を、ガーゴイルの腹に向け、突進した。

 ドウッという激しい音がして、ガーゴイルは吹き飛ばされていった。


「うっそー…」


 白冬は目を疑った。

 巨大なガーゴイルが、簡単に小さな葵にやられるなんて、嘘のような光景だった。


 葵は次々やって来るガーゴイルたちを、片っ端から吹き飛ばしていった。


 見ているうちに、白冬の気持ちも盛り上がってきた。


「いけいけ!よーし!やったー!」


 白冬は、自分でも気づかないうちに、声を出して、葵を応援していた。

 学生鞄はハンカチの上に置いて、すっかりファイティングポーズの白冬であった。


 葵は、空中を駆け抜け、ジャンプし、時には滑り、見事な動きを見せた。

 巨大なガーゴイルの群れは、すっかり散り散りになってしまった。




 白冬が少しホッとして、きつく結んでいた拳を緩めたとき、それは起こった。




 突然、夜空がぱっくりと割れた。

 そこから、金色の光が現れたのだ。




 葵がすばやい動きで、白冬の元に戻ってきた。


「レダ様だ」


 葵の言葉に、白冬はハッとして光を見た。

 光に目を焼くような激しさはなく、じんわりと夜空に沁みいるような柔らかい輝きを放っていた。

 そんな光の中から、一人の女性が現れた。


 白冬は目を見張った。



 女性は、豊満な凹凸のはっきりした体に、一枚の白い布が巻きつくようなドレスをシンプルに着こなしていた。

 腰の部分や肩、長い金色の髪を、蔦の葉が横切って飾っていた。

 真珠のような肌も眩しく、顔は彫像のように整っていた。



 そして、蟻サイズの二人から見ると、女性はとてつもなく巨大であった。

 白冬の中に自然と湧いてくる畏怖により、女性の大きさは更に何割か増して見えた。




 白冬は、頬を染め、目を潤ませ、感激にうち震えながら言った。


「女神様。きれい…」


 白冬は間違えなかった。

 レダは、白冬が思い描いていた女神そのものだった。

 その正しい畏怖と感動は、レダにも伝わった。

 レダは、心持ち満足そうに微笑んだ。




「娘。我が夫となるアランから、祝福のキスを受けたであろう」

「はははは、はい!」


 レダに話しかけられ、白冬は舞い上がった。

 レダ様、写メ撮って待ち受けにしたい。

 白冬の頭の中は盛り上がりすぎて、若干思考が入り乱れていた。


「しゃめ、まちうけ」


 さすがレダ様、白冬の頭の中などお見通しである。

 しかし、意味は分からなかったようで、少し眉をひそめた。

 そんな表情にも、白冬はぐっときた。



「レダ様、この娘、白冬は、何も分かっていません」

「お化け屋か」

「発言をお許しください」

「うむ」


 葵はハンカチの上で跪いた姿で、レダに言った。


「アラン様の祝福は、白冬が望んだものではありません」

「では、愛するアランが、その娘を求めたということか。それはそれで許せん」

「寝ぼけてました」

「うん?」

「アラン様は、寝ぼけて、白冬とレダ様を間違えたのです」


 葵はきっぱりと言い切った。


 白冬は、呆然として葵を見た。

 ないだろう。

 そんなはず。


 レダは面白そうに言った。


「その娘とわたくしは似ているのか」

「いいえ、まったく。レダ様の高貴な美しさは、誰にも似ていません」

「わたくしもそう思う」

「私も!」 


 ここぞとばかりに白冬は同意の手を上げた。


「きれい!こんなきれいな女神様、見たことない!もう最高!ステキ!どうしよう、葵君!」

「この、白冬のレダ様への思いを、アラン様は寝ぼけて読み違えたのです」

「ほう」

「アラン様の弱点は、寝起きの悪さです」

「うむ」

「その弱さを許すことも、レダ様にしかできないことではないでしょうか」


 レダは、くっきりと笑った。

 白冬はその笑顔の神々しさにやられて、鼻血が出そうになった。


「ばかばかしい。お化け屋に免じて、今回は許してやろう」

「ありがとうございます」


 葵が深く頭を下げた。

 白冬もそれに倣った。


「しかし、女の額にアランの祝福があることは容赦ならない。剥奪させてもらう」

「はい」


 白冬は返事をした。


「その祝福を取り去ると、娘はこの世界にはいられまい。お化け屋、娘とお別れだぞ」

「承知しています」


 白冬は目をぱちくりとさせた。

 そういうことか。

 思わず葵を見ると、葵が優しい目で白冬を見ていた。


「楽しかったよ、白冬。今日はありがとう」

「葵君」

「俺は、今日のこと絶対に忘れないから」

「私も!私も葵君のこと忘れない」


 葵は手を差し出した。


「握手してくれる?」

「うん」


 白冬は寂しくなりながら、手を出した。

 葵はその手をギュッと握った。


「さて、アランの祝福を返してもらおう」


 レダの美しい指先が、白冬に向けられた。

 白冬の額から、銀色の光が浮き上がった。


 白冬は葵を見つめた。

 見えなくなる前に、目に焼き付けたかった。

 葵は白冬の手をギュッと握ったまま、微笑んで言った。


「白冬、いつかまた会えたら、その時は」

「うん」

「いつかまた」

「いつかきっと会おうね」


 白冬の体は光に包まれた。

 白冬の視界が真っ白になった。


 突然、ジェットコースターに乗っているような、風を切る感覚の中に白冬はいた。

 上下左右も分からなくなった。

 ぐるぐると全部が渦を巻き、白冬は意識を手離したのだった。








 朝目覚めると、白冬は自分のベッドの上だった。


「おはよう」

「おはよう」


 母親といつもの挨拶。

 母親の肩にオウムはいなかった。


「いってきます」


 いつもの通学路。


「おはよう、白冬」


 友達が声をかけてきた。


 転校生は来なかった。

 いつも通りに授業は進み、いつも通りの放課後がきた。




 全部、夢だったのか。




 白冬は、夢ではなかった痕跡を探したが、見つけることはできなかった。

 ただ、白冬の幻想に、アラン様、レダ様、お化け屋の葵君、という登場人物が増えた。

 白冬は、その幻想を大切に胸に仕舞った。












 名倉は虚無感の中にいた。

 人生、いいことはなかった。

 罪を犯しては捕まり、塀の外に出ては虚しくなり、むしろ刑務所が懐かしくて再び犯罪に手を染めるような、そんな人生だった。


 終わりにしようか。


 名倉はそう思い始めていた。

 地域の篤志家が営む小さな工務店で雇ってもらい、働くことができた。

 働いて、待つ人もいない家に帰る、ただそれを繰り返す毎日。



 何の意味がある。



 名倉は生きることに飽き飽きしていた。


 大きな花火を上げるような最期にしようか。

 死ぬ時まで、一人は寂しい。

 周りも巻き込んで新聞に載り、生きてきた証を残そうか。


 名倉は半ば本気でそう思い始めていた。





 そんなある夜、枕元にチロがやってきた。





 名倉は驚いた。

 間違いない。昔可愛がったチロである。

 しかも、チロはそれから毎晩、枕元にやってくるようになった。


 仕事から帰宅する。

 寝る。

 チロがいる。




 名倉は、ただいま、と言って部屋に帰るようになった。


「お前は、俺の悪さを止めに来たのか」


 名倉はチロに話しかけた。

 チロはつぶらな瞳をキラキラさせて、尻尾を振るだけだった。




 そう言えば、と名倉は思い出した。

 チロが現れる前後に、夢を見た。


 高校時代の担任の先生に出会う夢だ。

 先生は、今も名倉を心配し、何もできなかったと悔いていた。


「お前が先生の夢を見せたのか」


 チロはペロッと名倉を舐めた。




 その時、名倉の胸に去来したのは、自分を想う人間が、この世に一人はいるのかもしれない、という思いだった。




 そうだ、あの先生は、ちょっと変わっていた。

 学校を辞めて、もう何の責任もないはずなのに、名倉を見つけては声をかけてきた。




 自分は、先生に思われていたのか。




 それは、突然に訪れた確信だった。

 今まで、誰ひとりとして、名倉がこの世にいることを見ていてはくれないと思っていた。

 孤独だった。





 あの先生は、今も俺のことを思っていてくれる。

 チロは、それを伝えに来てくれたのではないか。





 名倉のその思いは、何一つ確証がないにもかかわらず、名倉の心を温めた。

 新聞に載るようなバカな真似をしてはならない。

 柘植先生が見ている。

 きっと、今も。



 名倉は、それからの夜もチロと過ごした。

 名倉は前よりもずっと、寂しくなかった。











 葵は、名倉の表情を確かめると、乗っていたハンカチをポンポンと叩いた。

 ハンカチは窓の隙間から外に滑り出た。


 しばらく夜間飛行をしているうちに、葵の体は元の大きさになった。

 あわせてハンカチも広がり、風呂敷サイズになった。


 葵は少し寂しく感じた。

 隣に人を乗せてしまったからだと気づいていた。










 白冬は、真夜中に目を覚ました。


 呼ばれた。


 なぜかそう思った。

 白冬はベッドから降りて、カーテンを引き、自室の窓を開けた。




 驚きに目を丸くする葵が、風呂敷シーツの上に座っていた。




「葵君」

「君は」


 葵は口元を手で覆った。

 信じられないものを見る顔だった。


「見えるの、白冬」

「うん」




 アランの祝福はすでになかった。

 幻想を愛しすぎる白冬の心が、ゲートを開いたのか。




「白冬、なんて不思議なんだろう」

「うん」


 葵はなかなか驚愕から立ち直れないようであった。




「白冬、君は、俺の見ている夢なのかもしれない」




 葵のつぶやきが白冬の耳に届いた。


「そっちに行っても、いいかな」


 白冬が言うと、葵は頷いた。


「一緒に行こう」


 葵が手を差し出した。

 白冬は窓枠に足をかけ、葵の手を取った。









 こうして、葵と白冬の世界はつながった。

 遠いどこかで、アランとレダが微笑み合っていた。

 葵と白冬が生みだす幻想は、これからの物語。









 完

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

もし、少しでも楽しんでいただけたなら、とてもうれしいです。

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