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第二話

自転車を漕ぐ事10分で、目的の本屋に到着する。

季節も夏だけあって、本屋の冷房が最高に嬉しい。炎天下の中で自転車を漕いで来たので、少々汗を掻いてしまってるしな。

本当なら週刊少年漫画の跳躍ジャンプ日曜日サンデー漫画マガジンを立ち読みして1時間程度過ごしたいが、流石にそんな時間の余裕もない。

週刊誌を読むのは別の日にし、俺はお目当てのラノベが置いてある、ラノベのコーナーへ向かう。

昔はラノベは本屋の片隅に置かれていたが、最近では人気もあるので堂々と中心部に置かれている。

だけど、『見せられないよ!!』とボードを持った少し痩せた魔人ブ○らしき生命体が中絵を隠してしまうような、御フランスな小説も一緒の所に置くのはマジ勘弁・・・

あれは、ラノベではあるけどラノベに非ず・・・何て言えばいいのだろう・・・

上手く説明は出来んのだが・・・まぁ、色々と違うんだよ!!

そう!!主に買える年齢とか挿絵だ!!

そして、とある戦闘用メイドロボなら発見次第に「Hなのはいけないと思います!!」と没収しちゃう物だ!!


って、一般人に言っても分らんか・・・


俺は一直線に目的の物がある場所へと向かう。

え~っと、何処だ~何処だ~っと♪

獲物を追うカメレオンの目の如く、あちらこちらに黒眼を向けて、目的の物を探す。

そして、俺のカメレオンアイは目的の物を発見。

入荷の量と売れ行きが俺の予想と大きく外れており、残り1冊・・・う~ん、OVAも付いてるからセットて言うべきなのだろうか?

ともかく、あと1セットしかないのだ!!

あそこで俺の厨二病の怠惰が発動していたらと思うとゾッとするぜ・・・

え、怠惰がどんな能力かって?

そりゃもう、PC前から離れられなくなってしまうという恐ろしい能力だ・・・そして、日光を浴びると死ぬ!!

これが、御宅ニュータイプの立ち向かうべき使命なのかもしれない・・・


まぁ、IFの話は止めておこう。

今、この最後の1セットに手を伸ばしているという勝ち組の俺がいるこの世界こそが、全てなのだ・・・

そして、俺は・・・


触った・・・


ぷにっと云う柔らかい物体に・・・


明らかに本ではないその物体は、小さな手だった・・・


はぃ?


俺はその小さな手の持ち主を見る為に、小さな手を繋ぐ腕の先を見る。

そこには、何処かの清楚なお嬢様とも呼べるような女の子が居た。

ただし、全身を真っ黒のゴスロリ服で固めてなかったらの話だが・・・

ちなみに、俺と手が接触した所為だろうか、顔を真っ赤にしている。


「えっと、ごめん!!」


俺は咄嗟に手を引いてしまう。

これが相手が男だったら絶対にあり得ない行為だ・・・

相手が男なら、確実に蹴り飛ばす・・・ちなみに、相手が腐女子なら、黙って本を持ち去る・・・


「い、いえ・・・私こそスミマセン・・・あのぉ、その本を買われるのですか?」


その本とは、恐らく俺の目当ての物の事であろう。


「あ、うん。もしかして、君も?」


「はい・・・」


俺の問いかけに、彼女は白い肌を真っ赤に染めて頷く。

どうやら、恥ずかしがっているようだ・・・

俺からすると、この本を買う云々で恥ずかしがるより、その身に纏う服に恥じらいを持って欲しいのだが・・・


「えっと、じゃあ、君が買いなよ。俺は別の本屋に行ってみるから」


取り敢えず、これ以上彼女をこれ以上辱めるのも、変態しんしである俺には無理で・・・

おいっ、作者ぁ!!紳士じゃなくて変態になってるぞ!!ごるぁ!!

無理だから、この場は彼女に譲ることにしよう・・・まぁ、別の本屋こと隣町のNATAYAまで行かねぇといけないことになるのだがな・・・

NATAYAのポイントカードのNポイントカード持って来たっけな?


取り合えず、俺は未だに顔を赤らめてる彼女に背を向けて本屋から出ようと歩を進めるが・・・


俺自身は立派なファッションと思っているチェックの服の端をぎゅっと捕まれ、歩を進めることを妨げられる。

当然、振り向かなくても端を掴んでいる犯人は、能力の使えない駄目駄目シャーロックホームズや、体は子供頭脳は大人のバーロー探偵でなくとも推理可能だ。


「じゃ・・・じゃあ・・・い・・・一緒に見ませんか・・・」


そして、可愛らしい声で・・・俺を誘惑する・・・

じゃなくて、この誘いをどう対処すればよいのか?

ガッツク男はモテない、エロゲの主人公を思い出してみろ!!

朴念仁な人間ほどモテてるじゃないか!!

って、何で俺は小学生くらいの小さな女の子を攻略しようと考えてんだよ!?

いやいや、この物語に出てくる人物は全員20歳以上ですと云う落ちがあるんだよ!!きっと、この子も見た目は小学生だが、本当は20歳越えの大学生なんだよ!!きっと!!


「え~っと・・・うん・・・」


って、俺は何を肯定しているんだ!?


「じゃあ、今から本を買ってきますので・・・少し待ってて下さい・・・」


「あ、俺が御金出すよ?」


「い、いえ・・・そ、そのぉ・・・私の物を買うんですからぁ・・・」


あ、言われてみればそうだな。先程、譲るって言ったし。

これから一緒に読むとなると結構な時間を食いそうだし、俺の分はamagonで今夜にでも注文しておこう・・・


「う、うん。そうだね」


少女・・・いや、きっとメディア倫理委員会の目を誤魔化す為にも、きっと年齢は20歳以上だから少女と呼ぶのはオカシイな。

彼女にしておこう・・・だが、それだと恋人的な意味に間違えられ・・・今、「ねぇよ!!」と云う姉と母の突っ込みが聞こえた気がするので、彼女と呼ぶ事にしよう。


「終わりましたぁ」


さて、レジに向かった彼女が無事に清算した為、手を挙げて俺を呼ぶので、レジの店員さんと他の客が向ける何か変な視線を出来る限り気にしないようにして、彼女に近付き店の外へと出る。

変な視線は、彼女のゴスロリファッションが原因で、俺がその彼女と同類ではないかという疑いが理由であってほしい・・・お願いだから、ロリコンとか性犯罪者じゃねという疑いで無い事を祈る・・・


「へいへい・・・」


俺が彼女に近付くと彼女は、俺の服の裾を掴み店の外へ出ようと引っ張る。

そして、店から出ると俺は店内では他の人間に聞かれる可能性があったので聞くのを躊躇っていた事を聞くことにした。


「で、何処で一緒に見るの?」


すると、彼女は「う~ん」と口に出して悩み始める。

どうやら何も考えてなかったようだ・・・


「あ、じゃあ・・・」


彼女は顔を赤くして俺の服の裾をギュッと掴み・・・


「貴方様の家で良いですか?」


「あぁ、良いよ・・・ってぇ!?駄目だって!!ほら、レディが男の部屋にほいほい来るのは拙いって!!」


とか、口では言ってるが・・・本音は、俺の部屋の美少女天国カオスっぷりを見られたくないから・・・

部屋一面に張られている18禁ゲームのポスターや、美少女キャラの描かれた枕カバーやシーツ。そして、大量の美少女フィギュア!!

そんな部屋を見られた日には、軽蔑どころの騒ぎではない!!


「大丈夫です・・・貴方様は安全な方な気がしますし・・・それに、私には殿方を魅了する程の魅力なんてありませんし・・・体つきも幼いですし・・・」


大丈夫だ、問題無い!!俺はそんな小さい女の子に魅了される紳士へんたいだっ!!

って、作者ぁああ!!なんで、今度は変態じゃなくて、紳士へんたいなんだよ!!


「あはは、幼いのも需要はあるって」


「貧乳はステータスだ♪ですね・・・」


うん、そうだね・・・って、ら○☆すたのこなちゃんの台詞じゃねぇかよ!!


「あははは、もしかしてらき☆○た好きなの?」


「はい♪」


わぁお、腐女子って奴かよ・・・


「へぇ~、俺もだよ」


「そうなのですか?」


「そうだよ~・・・って、話が変わってるし!!」


「気にしては駄目ですよ♪それに、アニメが好きな方に悪い人は居ません♪」


いや・・・それかなり間違ってるよ・・・

というか、俺がアニメ好きと知るや否や多弁になったな・・・

明るいゴスロリ少女萌え~♪

これでツンデレ属性がつけばご飯三杯行けるZE!!ただし、ツンデレはツインテールに限る!!


「あははは、本当にそうなら良いんだけどね・・・じゃあ、俺のアパートに来ても良いけど、散らかってるよ・・・マンガとかで・・・」


「構いませんよ。私の部屋も大量のフィギュアとかで埋もれてますし♪」


斜め↑の回答来たぁーーーーーーーーーーー\(゜ロ\)(/ロ゜)/


「そうなんだ・・・それなら、俺の部屋のフィギュアに嫌悪を抱くとか無いね・・・」


「勿論、無いですよ♪寧ろ高感度がupうぷしました♪」


うぷって・・・2ch読み来たぁあああああああああああああああ(゜ロ゜屮)屮!?


「あっ、フィギュアって、どのアニメのフィギュアです?」


「え~っと・・・恋○†無双・・・」


「あ、恋姫†○双ですか!!ゲーム、凄く面白いですよね♪萌将伝もちゃんとプレイしましたよ♪」


お~にぎりわっしょーーーーーーーーーーーーーいΣ(゜ロ゜≡)!?

まだ移植版が出てない奴だから・・・つまり、18禁っすよね?それぇ!?

いや、落ち着け俺・・・逆に考えると、この子は18歳以上って事だ・・・

なら、合法ロリではないかっ!!

万が一、俺のアパートで何か恋に落ちちゃってつき会っても問題無いっ!!


「そうなんだ。俺もあれは結構萌えたなぁ~♪じゃあ、ここで立ち話もなんだし、俺のアパートに案内するよ。本屋には自転車か何かに乗って来た?」


「いえ、流石にこの格好では自転車を漕ぐのが大変ですので、歩いて来ました」


彼女は自分の穿いているスカートの裾を軽く摘まんで持ち上げて、ニコリと俺に微笑む。

やべぇ、マジで可愛い・・・MK5だよ・・・マジで恋する5秒前だよ!!


「じゃあ、俺のチャリの後ろの荷台に乗りなよ?」


「二人乗りですね?私、アニメのヒロインが良くしているのを見るので、二人乗りするのに憧れてたんです!!」


俺もですよ~☆

俺が自転車を自転車置き場から取り出すや否や、嬉しそうに自転車の後ろの荷台に座る。

って・・・俺がまだ乗って無いんすけど!?バランスが取り難いんだけど!?

という、突っ込みは飲み込み、自転車を倒さないようにサドルに座り、ペダルに足を掛けてゆっくりと漕ぎだす。

彼女が自転車から落ちないように俺の腰に腕をまわして抱きついてくれた時には、リアルで∩(´∀`)∩(こんな)顔になってしまったよ・・・


だが、俺は知らなかった・・・


その時、本屋の駐車場の黒塗りのベンツの中の男達が、俺を物凄い形相で睨んでいたという事に・・・






用語説明

NATAYA

深夜も営業する大手本屋。

決して「嘘だぁあ」が名台詞なアニメキャラの武器や、現実世界に存在するつたな本屋とは関係ない。


Nポイントカード

大手本屋NATAYAを始め、入店音を聞くだけで「ふぁみふぁみふぁみ~ま!!ふぁみふぁみま~!!」と脳内再生される中毒的メロディーが売りのコンビニから、カラオケ店でもポイントが貯まるポイントカード。

Nは持ってないが、Tの方は作者の財布に入っている。他にも「キリンさんが好きです。でも象さんの方がも~っと好きです」でも用いられるキリンの絵が書かれたチャージ式のコンビニ用カードや、平成の世では戦を行う事やお腹のポケットから便利な道具を取り出す事で有名なタヌキのポイントカードも持っている。


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