誰からも必要とされない僕
※残酷な描写があります。閲覧は自己責任でお願いします。
「なんで…僕ばっかり…こんな目に…」
普通の高校に通う男の子、久我山 傷飛。彼は毎日を彷徨っていた。その理由は、自分に生きる意味、価値を見出だせなくなってしまったからだ。
生まれた頃はそうでは無かったが、物心ついた時から自分が生きてる理由を考えていた。どれだけ頑張っても失敗し、その失敗を咎められる。珍しく成功したかと思えば褒められる事はない。「まぐれだ」と言われるだけ。
彼の容姿はお世辞抜きにも美しいとは言えず、運動神経や頭も悪く、金銭面に余裕があるかと聞かれればそうでは無い。そして、とても細身だった。また、性格だけは良くしようと振舞っているがその様子が他者にどう見えているかは分からない。画力もそこまで良いわけではなく、音楽の才能や突出した何かがあるかと言われればそうでは無い。何かをしようとしてみれば問題を起こすだけ。
彼は生まれつき、普通の人よりも大幅に劣っていた。テストの点数も基本的に赤点で、60〜70点を取る事は稀だった。変わろうと努力してみた事はあったが、その努力が実る事は無かった。
中学生になって、彼の自己否定は更に強まった。自分よりも遥かに格上の存在がゴロゴロ居たからだ。他の人達は結果を残していくのに対し、自分は何も出来ない。そんな無力感に苛まれ、彼の自信は砕け散り、自己否定は強まる一方だった。
彼はふと考えた。なぜこの世界は こんなにも理不尽なのだろう、と。容姿が良い者ばかりがちやほやされ、成績上位はいつも頭の良い人達ばかり。周囲はこんなにも成功しているというのに自分はどうだ?何も出来ない。何も残せやしない。
そうして高校生。彼をさらなる絶望が襲う。自分よりも遥かに上位の存在が大勢居たのだ。彼の自尊心は粉微塵に砕け散り、遂に心が壊れてしまった。何とか努力をして追いつこうと試みるも、上手くいかない。自分の周りには絶対に超える事の出来ない壁が出来ていた。何度か死のうとはしたが、本能がそれを拒む。
彼は周囲に助けを求めようとしたが、内なる自分がそれを静止する。「何も出来やしない愚かな無能に誰が手を差し伸べる?」と。
そうして彼は「自分の事など誰も必要としていない」と確信した。そうして段々と人間不信になっていった。友達、と呼べる人はちらほらいたものの、彼は内心、自分なんて友達とすら見られていない。と思っていた。
彼は独りで泣くしか出来なかった。周りは成功していく一方で自分は出された課題すらもこなせず、ただひたすらに間違うばかり。努力をしてもそれが実る事など無い。そんな現実と無力感を嫌というほど押し付けられた。助けを求めようにも自分なんて誰も助けてくれない。「なんで…僕ばっかり…こんな目に…」彼は深く絶望した。
そうして、ある1つの残酷な結論に辿り着く。「自分1人が居なくなったところで世界は廻るのでは?」と。次の瞬間、彼は無意識に包丁を手に取り、自分を滅多刺しにしていた。赤い血が流れ落ちる。気がついた時には血だらけだったが、彼の理性はとっくに砕け散っていた。彼は高所から飛び降りた。全身をとんでもないほどの激痛が襲い、意識が消えてゆく。次の瞬間、彼の脳内に走馬灯が流れ込んでくる。薄れゆく意識の中で、彼は「あぁ…せめて…誰かの特別に…なりたかった…な…」と力なく呟く。その悲痛な声は車の音に掻き消される。そうして彼は涙を流し、意識を失った。




