第四話:最初の出会い
それは、ディオンがまだ記憶を失う前の、平和な日々のことだった。
リゼットは、王宮の庭園で、父王や母后と共に、穏やかな時間を過ごしていた。
そこに、騎士団長のアルフレッド・ハワードが、一人の若い騎士を連れて現れた。
「国王陛下、王妃陛下。この度、王女様の護衛騎士として、このディオン・ノックスを推薦させていただきます」
アルフレッドは、隣に立つ、漆黒の髪と濃紺の瞳を持つ青年に、静かに一礼を促した。
「ディオン・ノックス。王女様にお仕えできること、光栄に存じます」
ディオンは、無表情な顔で、しかし、その瞳には強い光を宿し、リゼットに一礼した。
彼の声は、静かでありながら、どこか芯の通った響きを持っていた。
リゼットは、彼の顔を見て、息をのんだ。
彼の顔は、まるで彫刻のように整っており、その瞳は、彼女の心を射抜くようだった。
「リゼット様、彼は若輩者ではございますが、その剣の腕は、騎士団の中でも随一。王女様のお力になれるかと存じます」
アルフレッドは、リゼットにディオンの紹介をした。
しかし、リゼットは、ディオンの瞳から目が離せなかった。
彼の瞳の奥に、何か、リゼットの心をざわつかせる、不思議な光を感じていたからだ。
「そうか。ディオン・ノックス、リゼットを頼んだぞ」
父王の言葉に、ディオンは再び一礼した。
彼の瞳は、その瞬間、リゼットの瞳を、まっすぐに捉えていた。
その出会いが、彼らの運命を、大きく変えることになるとは、まだ誰も知らなかった。




