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第二話:リゼットの日常②
朝食を済ませた後、私は執務室で父王と母后に今日の予定を報告した。
「リゼット、今日もディオンがついて回るのか?」
穏やかな笑顔を浮かべる父王が、冗談めかして問いかける。
「ええ、もう諦めておりますわ、お父様」
私が溜息交じりに答えると、母后は優しく微笑んだ。
「ディオンは真面目すぎるのよ。でも、リゼットのことは誰よりも大切に思っているわ。その気持ち、わかってあげてね」
母の言葉に、私は心の中で複雑な感情を抱く。ディオンの気持ちは痛いほどわかる。しかし、彼が私を特別に思う理由が、あの事故にあることを知っているから、素直に受け止められない。
「王女様、お茶でございます」
ノックの後に、侍女頭イヴェット・フォールが紅茶を運んできた。彼女は、私の孤独と苦悩を唯一知る存在だ。
「リゼット様、お辛いでしょうが、ディオン様はご立派な方です。どうか、彼のお気持ちを汲んで差し上げてくださいませ」
イヴェットの温かい言葉に、私は心が安らぐ。彼女は、幼い頃から私を母のように見守ってくれた。私の「予知夢」の能力を知る数少ない人間の一人であり、私が最も信頼を置く人物だ。




